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アキザクラ  作者: ゆずの香
第一章
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路地で

「お先に失礼します。」


挨拶をして、私はいつもの通り17時で仕事を上がる。

就職する時に、先生には事情を話して採用してもらっているのだが、私はいつも17時に上がり病院にお見舞いに行っている。

母が入院してもう3年。

私は母のたった一人の家族なので、こうして毎日通っている。


「じゃお母さん、また来るね。」

母に別れを言い、病院の外に出ると、すっかり暗くなっていた。


毎日通る病院からの帰り道を歩いていると、後ろから誰か付いてくる気配がする・・・


・・・な、なに?怖い・・・


怖くなった私は足を速めて先を急ぐ。

幸いここは大通りに面していて人通りが多いので、危険はなさそうだけど・・・


とにかく急いで家に帰ろうと思い小走りになった時、


「んむっ・・・!!」


突然後ろから口をふさがれて路地にひきずり込まれた。

そのまま壁にドンッ!と背中を押し付けられ、「ゲホッ」とむせた。

「な、なにするんですか!!」

目の前には見知らぬ男が二人。

見るからにガラの悪い二人は、ニヤニヤしながら私の腕を頭の上に押さえつけてまた口を塞いだ。


「んっ!!んーーーーっ!!」


私の必死の抵抗は全く意味がなく、男二人の力の前に私は無力だった。

目だけ動かし路地の向こう、人通りの多いほうに目を向けると、運悪く誰一人通らない。

車の光は行き来しているが、こんな路地の隙間で起きてる事に気づく人は居ないだろう。


もう・・・だめだ・・・!!


そう思った時、低い声がした。

「もしもし、警察ですか!女性が襲われているのですぐ来て下さい!」


ガラの悪い男二人は驚いて私をおさえている手を離した。


声の主のほうを見ると、そこには背の高い爽やかなイケメンが・・・

「さ、さわださん・・・!」




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