3話
「・・・はい?何だって?」
「だ・か・ら!わたしに協力してって言ったのよ」
と、里崎さんに屋上の柵に迫られながら頼みを聞いているのだが、時と場合が違っていればとても最高なんだろうが、実際は目くじら立てながらのためそんな気持ちになるわけない。
なんでこんなことになっているかというと、時は少し遡って昼休み直後
幸いなことに朝のホームルームが終わってから、朝の出来事について俺に質問する人は誰もいなかった。だが、逆に里崎さんにたくさん質問したり、気になってか近づいている人さえいた。
多分、いや多少の人はこれを機に里崎さんに近づこうって下心があるんだろう。
実際普段だったら遠目で見てるいわば2軍の奴らも他の連中の後ろで答えを聞こうとしてる。
でも、さすがと言うべきだろうか上手く質問を躱したり、いつも一緒にいる友達が質問を遮って会話を続けて答えないようにしてる。
別に誰か来てほしいわけじゃないし..
里崎さんみたいに上手く質問を躱せる自信もないけどさ。
おんなじようなやりとりが休み時間のたびに行われた。
そして時は巻き戻って昼休み里崎さんに呼び出されたと思ったら開口一番お願いされた。
「協力っていっても何をすればいいのさ。君自身が何を目指してるのかも、何で周りに隠してるのかもわからないけど黙っててほしいなら話さないし、忘れてって言うなら頑張って記憶から無くすからさ」
実際のところ昨夜の里崎さんのことを俺がみんなに言ったところで、ほぼ100%信じてはもらえないだろうし、それに里崎さんがどんな夢を持っていようと俺には関・係・な・い・ことだから誰かに言いふらしたりするつもりもない。
「そりゃあ‥出来れば記憶から抹消してほしいけど、完全に忘れるなんて無理でしょ?だったら叶えるために手伝ってもらった方がわたしには都合がいいのよ。」と、真っ赤になりながら言うと背を向けながら空を見上げた。
顔を真っ赤に染めながらそう言われると正直恥ずかしいのだが、それ以上にこれ以上里崎美月に関わっていくと余計にいろんなことに巻き込まれる未来しか想像出来なかった。
「悪いけどどうやっても君に協力できることなんて俺にはないだろうからやめておくよ。あと信じてもらえないかもだけど、言いふらすつもりは全くないから安心しなよ。」
なんていいながら逃げるように屋上を後にした。後ろから里崎さんが呼び止めようとする声が聞こえてくるが、無視して教室へ向かっていく。
協力することもいやだったが、それ以上に目立ちたくなかった。必要以上に
『三日月智哉』という存在を名前を知られたくなかった。