2話
翌日、昨日のことを思い出しながら教室に向かうと中からたくさんの話し声が聞こえてきた。
「ねえ、昨日のドラマ見た?」
「放課後このお店行ってみようよ。」・・・などなど
中身が全くない会話が教室内の至るところから聞こえてくる。特に目を惹くのは陰キャの俺とは正反対の陽キャグループだ。
もちろんその中には里崎 美月がいる。
無意識に彼女のいるグループに目を向けてると後ろから突然、背中をたたかれ振り向くと、
「よっ!」と叩いた手を挙げながら挨拶してきたのは、クラスメートで中学からの友人である大前 璃久だった。
「おはよリク。とりあえず挨拶前に背中叩くのやめない?びっくりするのとか苦手なんだけど‥」
「知ってるよ、だからやってるんじゃん。おまえの反応とか見てて面白いんだよ。」
「やめるって選択しとかないの?」
少ししかめっ面で聞くと、答えは決まってるかのように口角を上げながら「ない!」と即答した。
悪気があるわけでもなく平常運転だからこそちょっとは変わってくれないかなと思いながらため息をつくと、突然リクから
「んでさ、なんであのグループ見てたのさ」
「・‥特に理由はないけど」
昨日のことが忘れられなかったからだけど、さすがに言えないからな。
リクが新しく質問しようと口を開いたとき、里崎さんが歩いてきたと思ったら「昼休み屋上に一人で来て」と要件だけ伝えられてグループに戻っていった。
一瞬、クラスが静かになったような気がした。いや気がしたわけじゃなく確実にしたんだと思う。
そして静寂を壊すようにリクが、涙目になりながら
「なあ、一体何があったんだよ~トモ!なんでおまえがあの里崎さんに呼ばれるんだよ~」
「俺だって何でかわかんないよ」
それを引き金にまたクラスで会話が生まれた。
心当たりがない振りをしながら、「昨日の事だよな」と思っていると今度は前から声がかけられた。
「おはよリク、トモ。相変わらずリクは元気でトモは覇気がないというか元気なさそうだね。あとリク、そろそろ揺らすのやめてあげなよ。トモの首もげそうなくらい揺れてるんだけど」
「おはよう~サエ。出来ればもっと言ってくれ。当分言わないと多分止まってくれなさそう」
「だってよ~。聞いてくれよサエ~さっきトモがさ里崎さんに話しかけれたうえに屋上に呼ばれたんだぜ」
榊 沙英小学校の頃からの友人で何でか知らないがとっても息があって、気づいたらよく遊ぶようになっていた。声とか姿は女の子何だがところどころ抜けてたり、時折男の子ぽい考えや行動をするため、小さいながらもサエのファンクラブがあるらしい。
本人は気づいてないようだし、特に興味があるわけでもない。
「へ~妙なこともあるんだね。トモは心当たりないの?」
「へ~って軽いな!サエは気にならないのかよ。トモとあの里崎さんだぞ。全く接点がないはずなのに、なんで突然呼ばれるとか気にならない?」
「接点がないって・・・いや確かにその通りだし、俺自身気になってるけど、とりあえず話聞いてみるしかないか」
少し乱れた服を正しながら言うと、二人も諦めたように話しを終えるの待っていたかのように始業のベルが鳴った。