1話
誰だって隠している秘密が1つや2つはあると思う。それがたとえほんの些細なことでも、生活が環境が一変するような秘密でも。
もし、クラスの有名人の秘密を知ってしまったらみんなはどうするか?
証拠として写真を撮るか、何も見なかったと180度方向転換をして来た道を戻るだろうか?
なぜそんな答えるヒトがいない空間で質問を自問自答しているのかというと、実際にその現場に“偶然”にも出くわしてしまったからだ。
「・‥見た?」
なんて答えるのが正解なんだろう。なんて考えていると
「き・い・て・る!」
普段の彼女からは想像出来ないような、低くあきらかに怒っている声で詰め寄られながら聞かれて驚いて後ろに倒れながら「は、はい!」と泣きそうになりながら答えていた。
(決死て怖くて泣きそうになったわけじゃなく、びっくりしたから泣きそうになっただけで怖かった訳じゃない)
倒れたことにびっくりしたのか、きょとんとした彼女だったが本来の目的を思い出したのか、廊下と教室に横たわるように倒れてた俺をすぐに立たせ、教室を閉めると顔を近づけ、
「さっきの見た?」と改めて聞いてきた。
おそらくごまかしても、意味ないんだろうなと思いながら首を縦に1回振って肯定を表現した。すると正しく意味を受け取ったのか徐々に顔が赤くなっていき、手を離してうずくまりながら何やらブツブツ言っていると思うったら、また突然立ち
「何でこの時間に教室いるのよ!」と俺が彼女に対して思ったことを逆ギレされながら聞かれた。
「忘れ物とりに戻ってきただけだよ。そういう君は何してたのさ?」
理由を答えながら思ってた疑問を聞いてみると、
「何だっていいでしょ!そもそもなんでいちいち言わなきゃいけないのよ。いつどこにいろうと私の勝手でしょ?」
「それだったら俺だっていつここに来ようが俺の勝手じゃないか!」
「それとこれとは話しが別よ。私がいたところにあなたが突然来るのが悪いんじゃない。少しは空気を読むってことをしてほしいわ!」
「だから、何も言わずに教室から出て行こうとしてたんじゃないか!そしたら君が!」
「なによ!私が悪いわけ?」
「そうだろ!こんな時間に教室で何やってたかは知らないけど見られたくなかったんならやらなければよかったじゃないか!」
などと言い争っていると、窓の外が黒みを帯びたオレンジ色になってきたことに気づいた。
「こんな時間だからもう僕は帰るよ。見回りの先生に見つかって怒られたくないからね」
校門が閉まる時間が近づいてきたため、本来の目的である忘れ物を取りながら落ちてるカバンを肩に提げながら言って教室を後にした。実際彼女が何をしていたのかについては深くまで聞きたいとも知りたいとも思わない。
いやそもそも聞かなくてもわかってるんだと自分自身理解してる。
なぜなら今日見た彼女の姿は少し前の自分ととても似ているから。
一方そのころ教室では―――
そんな気をつけてたはずなのにいろいろ確認したりしてみんなに気づかれないようにしてたのに・・・
クラスで目立たないやつだったとはいえ、クラスメートにばれるなんて。広められることは多分ないと思いたいけど、一応明日しっかり話しておかないと私のために。名前は覚えてないけど顔は何となく覚えてるし、明日また確認すれば大丈夫。
絶対今の生活を壊してたまるもんですか。
・・・わたしも怒られる前に帰らないと