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第一話 目覚め

※この第一話が本編です。

 


 両腕と首にひんやりとした鉄のような感触がある、視界は真っ黒で意識は朦朧としていた。

 核山 竜介は少し体を動かすが鉄のような奴に拘束されているせいか全くと言って良いほどに身動きが出来ない。首も動かせない。鳴り響くのは鎖のような音だけだった。

「バイ・・・異常ありませ・・・」

「そう・・・とりあえ・・・問題はないな」

 その時微かだが男女の話声が耳鳴りのように聞こえてくる。そこで竜介は自分が目を瞑っていたことに気づき、恐る恐る目を開いた。その瞬間、目の前が一気に明るくなった。

 最初は目が眩むほど眩しかったが徐々に視界が晴れてゆくと、目の前にあったのは、巨大なガラスだった。そのガラスの奥には人影のようなものも確認できる。

 左目に眼帯のようなものを付けていて、見た目は二十代の男で白色の研究服のようなものを羽織っている。その男が竜介に睨みついていた。その目は、人間ではなく怪物を見ているかのような目だった。それと同時に竜介は自分の置かれている状況に気づくと再び体を動かすがやはり頑丈な鎖のようなもので拘束されていて身動きが出来ず竜介は両膝を付けたまま腕も十字架のように鎖で伸ばされていた。するとガラスの奥にいた。眼帯の男はガラスの内側にある小さなマイクを取り出すとそのマイクを使い

「目が覚めたようだね核山 竜介君。」と話しかけてきた。

「ここは・・・どこだ?」

 竜介は眼帯の男にきいた。

「ここは特別な研究所だ、安心しろ私達はあくまで敵ではない」

 安心させるために言っているのであろうが竜介には全く理解できなかった。

「敵ではない?敵で無ければ鎖を付ける必要もないだろうが、お前は・・・誰だ?なぜ、おれの名前を知っている?」

 するとその質問に眼帯の男は少し驚いた顔をする。

「私の名前は、山根隆二 私は医者でありここの研究員だ。」

 自己紹介を終えると山根の隣にいた女性らしき幹部が山根に話しかける。

「どうやら多少の記憶障害が発生していますね。」

「あぁ、ゴジラ細胞が脳に何らかの障害をもたらしているのだろう。」

 竜介は山根と幹部の話の内容までは聞けなかったが微かにそして確かに、ゴジラ細胞、と聞こえた。

「おい?ゴジラ細胞って何だよ?」

 すると山根はまたしても驚いた表情を一瞬浮かべると、

「君、自分の体がどうなっているのか分からないのかい?」

 そう言われると竜介は何らかの違和感を覚えていた。まず背中から腰が少し重くお尻と腰の間に何らかの違和感がありそして一番左腕に違和感かを感じる。しかし竜介は首に首輪状の鉄の塊を付けられ首を左右に振ることは出来ず目を左右に向けるがやはり見えない

 それを見ていた山根は、隣にいた幹部に「首輪を外してあげなさい。」と言う

「よろしいのですか?」

「あぁ、かまわない首だけなら安全だからな」

「分かりました。」

 すると女性の幹部は左手に持ったタブレット状の端末の画面を人差し指を動かすと竜介の首輪は、パカッと半分に分かれる。これで竜介は首を自由に動かすことが出来る。

 そして違和感が感じる左腕を見る、その瞬間、竜介は、一瞬幻覚を見ていたのでは無いかと思った。だがそれは自分の体の光景を信じたくなかっただけなのだろう。

 その左腕は太く色は黒く皮膚はゴツゴツとしており指は四本でその指には鋭い爪のようなものが付いている。それを見た瞬間、竜介は自分の左腕が自分の腕では無くなっていることに気づく、そしてこれだけでは無い竜介の首のうなじから腰らへんまで小さいが背鰭のようなものが連なるように生えており、そして尻と腰の間からは一メートルほど長い尻尾のようなものも生えておりその尻尾も色は黒く左腕のように皮膚はごつごつしていて背中から連なっていた背鰭は尻尾の先端に行くにつれ小さくなっていった。その状況に気づいた竜介から出てくるの感情は、なんとも言えないパニックと絶望だった。

「なんだよこれ・・・なんで?・・・なんで、俺の腕が・・・何で?俺のか・・・体は・・・こんな・・・こんな・・・怪獣みたいな体になっているんだよ!どうして?・・・どうしてなんだ!?」

「山根博士!これ以上は核山竜介の精神が!」

 竜介のパニック状態を見た女性幹部は隣にいた山根に叫んだ。すると山根は内側にあるマイクを片手に「落ち着け竜介君!」と話し掛ける。

「落ち着けって!?・・・こんなんどうしたら落ち着けられるかよ!?お前らは、俺を!軍事的目標に使いたいだけなんだろ!」

「違う!私は言っての通り医者だ!そして君をこの状況から助けるためにいるんだ!信じるか信じないかはどっちでも良い!だけどこれだけは信じてくれ私は君の敵では無いむしろ味方だ!」そう竜介に言うと竜介は、しばらく何も言わなくなり少し黙り込むと間を空けて山根に聞いた。

「本当に・・・信じて良いんだよな?」

「あぁ、君が何もしなくてそのままじっとしてくれるなら君に危害を加えることも無いし、私がいる限り君を軍事的目標なんかに使いはしないから。分かったか?」

 竜介は少し黙り込むとしばらく間を置いてから口を開いた。

「分かった・・・俺はあんたを信じてみるよ・・・」その返答を聞いた山根は少しホッとした感情を竜介に見せた。




































 山根隆二は、竜介と話を終え部屋から出てから通路の左に曲がりその直線の白い通路を歩きはじめた。隆二はいつも暗そうな顔で幹部たちの人気はあまりなさそうな人柄だった。


いつものことだ子供の頃の悲劇を今も鮮明に記憶に残っていて、それが時として表情に出てしまうからであった。

別にそれを気にしているわけではない。山根 隆二は一九五四年の大戸島の調査隊の一人である生物学者、山根恭平の親族に当たる人だった。一九八八年の五月八日の札幌で生まれた。


だが、三年後に隆二がまだ三歳の頃、一九九一年にゴジラが札幌に襲来した。そこで両親が死んでしまった。ゴジラによって家族を殺された隆二はそのまま親族の祖母に預けられる


その祖母の名前は、山根恵美子である。祖母は女で一人で隆二を育ててくれた。


小学生の頃、隆二は理科と数学の成績はいつも上だった、それは中学生のときも高校のときもだった。多分、これは生物学者である山根家のを引き継いだからだろう。隆二は、生物学者の道に行くと思われたが、隆二は医者の専門学校へ行った。その理由は単純で医者になりたかったからである。


隆二はその専門学校を見事高成績に卒業し医師免許も取ることが出来、一九九五年の二二歳の時に医者と言う夢を掴むことが出来た。これで隆二は多くの人を救えると胸を張った。しかし、現実は残酷なものだった。


隆二が医師になってから四年後の1999年、隆二が二六歳の時、怪獣の出現が頻繁になると被害はさらに拡大してゆく、そして毎日のように傷で血だらけの患者が隆二の勤めてる病院にやってくる。その患者の数は莫大でとてもじゃないが対応しきれないほどだった。ベットや医療品、ストレンジャーはもう底を尽き始めていた。ベットが無くなると今度は病院の廊下などに怪我人などに横にならせそこで治療をする、それが毎日ように患者の断末魔が響わたる。その地獄のような日々が重なるごとにその病院の廊下は、患者の血で赤く染まっていった。だがこれはまだマシなほうだった。ある日、ある症状を訴える患者が急増した。その症状と言うのは、嘔吐や出血、下痢や脱毛などだった。隆二は初めこれは「急性放射線症」だと思った。


 だがこの「急性放射線症」はかなり特殊だった。普通なら被曝して一ヶ月内に症状が現れるのにこの症状は、被曝してから数時間内に特定の症状がおき、さらに骨髄の傷害と血液細胞の減少が凄まじいほどに早く、さらに特徴的なのは肉の腐敗もすごかった。そう、これはただの放射線症ではなかった。これは「特殊放射線レベル1」であった。


 これは、ゴジラから噴出する放射能が周囲に拡散しその周囲にいた人がそれを大量に吸ってしまい体内で甚大な傷害をもたらす最悪の病気である。普通、被曝した人の治療法には防護服の着用が必要であるが、隆二の勤めている病院はもうパンク状態で医療品なども底を突いていた。なのでその症状を訴えている患者のことを優先せずできるだけ助けられる患者を優先した。一週間に五千人の患者が隆二の勤めている病院にきて助けられた命はたったの二千人だけだった。


二○○六年、隆二が三十二歳の時、その後、どんどんと看護師や医師が病院をさって行き、気づいたらその病院にいるのは隆二、一人だけった。勤めていた病院の患者は、他の病院に分散するように運ばれた、なので隆二に勤めていた病院は無人だった。隆二が一人病院の庭のベンチで座っている時に目の前に現れたのがこの国連Gフォースの役員だった。


もともとこの研究所は隆二の勤めている病院を応用して作ったものだ。隆二は、第二錬に向かっていた。通路を真っ直ぐ進むと第二錬という看板が見えた隆二は第二錬に入るのは、これがはじめてだ。目の前の自動ドアが開き第二錬の巨大生物細胞研究施設に入ると、前に「待っていたぞ山根博士。」と向かえてくれたのは、研究所の管理人、鈴木貞夫だった

 鈴木は、隆二に丁寧に挨拶をするが「遅れてすいません。それより例のやつを見せてくれませんか?」と冷たく返した。隆二は貞夫に案内され、その例のやつ、を見せる前に

 貞夫が隆二に先に見せたいものがあると違うところに案内された。

 案内された場所は、いかにも重層な扉がありそれを開くと薄暗い一本道が続いていた。その奥に進むと貞夫は目の前で止まり右側の窓を見つめた。

 隆二も同じように右側を向くと目の前に防弾ガラスがありそのガラスの奥には波のように滑らかに尖った外側は青白く内側は焦げたかのかのように黒い。

 まるで何者かの巨大な背鰭のようなのが置かれている。

 そして、それも見た瞬間、隆二の体は硬直した、単なる見間違えか・・・今、目の前にある背鰭のような存在が信じられなかった。

「どうやら、かなり驚いているようだね」

「貞夫博士、これは・・・」

「見れば分かるだろう?これは、ゴジラの・・・背鰭だよ」

 それを聞いた瞬間、隆二の中に恐怖と言う名の感情が押し寄せていた。

「何故・・・もう存在しないはず背鰭がここにあるのですか!?」

 隆二は驚きのあまり声を荒げた。

「落ち着け山根博士、これが発見されたのは東京で任務中の自衛隊がこれを発見したんだ。幸いな事に背鰭に放射能は検出されなかった、私もこれを見たときは動揺を隠し切れなかった・・・今はこうやってこの研究所に隠しているが」

「隠す、何故?」

 すると貞夫は一呼吸入れると

「例の国だよ」

 それを聞いた瞬間隆二は驚愕した。

「例の国・・・まさか・・・」

「ああ、サラジア共和国だよ」

「サラジア共和国ってあの工作員騒動の!?」

 すると貞夫は首を縦に静かに振る。

 サラジア共和国とは中近東の国家。自国の広大な砂漠地帯を緑の穀倉地帯に変えて、ポスト石油の世界戦力の展開を狙っている国でありその国内にサラジア生物工学研究所がある

 サラジアの砂漠地帯にある世界一の設備を誇るといわれている研究所だが、サラジア・シークレット・サービスの拠点でもある。

 元々サラジア共和国と日本の関係は友好的でありサラジア共和国大阪市街のビルにはサラジア・オイル・コーポレーション、サラジア航空、サラジア航空貨物、といった本国の関連会社の日本支社を持ち、神戸港から週1回日本とサラジアを往復する貨物船を出していて経済的には良好的であったが抗核バクテリアとG細胞巡る工作員騒動や先の怪獣大戦後ロシアと軍事的同盟を締結したことから日本とサラジア共和国の間に深い溝が生じた。

「あの国の政府は未だゴジラの細胞が喉から手が出るほどほしいらしい、君も知っての通りあの国は中国・ロシアと軍事同盟を結んでいる、そして情報によるとあの国々は怪獣の細胞を使って新たな生物兵器を創り出そうと企んでいる、そのためアメリカ・・・いや、第二日本政府はこの事を下手に公表できないらしい」

 工作員騒動と言うのは、サラジア共和国は諜報機関「サラジア・シークレット・サービス」を有し、裏で遺伝子工学に関するさまざまな工作活動を行っている組織。

 1985年から1990年に掛けて当時開発中だった「抗核エネルギーバクテリア」

 略して抗核バクテリア、または抗核菌、英名であるAnti Nuclear Energy Bacteriaの頭文字をとってANEBとも呼ばれる。

 G細胞に含まれる、核を食べる遺伝子から作り出された核物質をエネルギー源にするバクテリア。ゴジラの体内に撃ち込んで核反応を抑え込み、エネルギーを奪うことを目的として大河内財団の協力の下で白神源壱郎博士らが開発した、

 しかし、これを開発した白神源壱朗博士はサラジア共和国の工作員によって殺害された。

 なので抗核バクテリアは芹沢博士が開発したオキシジェン・デストロイヤーと同じように二度と開発されない物となってしまった。

「さらに噂によるとアメリカのバイオメジャーもこの事につるんでいる可能性があると・言ってしまえばこの背鰭は国家の最重要機密と言うことだ」

 バイオメジャーとは、アメリカ遺伝子工学産業大手4社の共同機構で、サラジアの計画を阻止し、遺伝子工学分野での市場独占(食料支配の覇権維持)を狙って、1985年時からサラジア・シークレット・サービス同様、日本にコマンドやエージェントを派遣し、活動させていた組織だ。

 すると貞夫は隣にいた幹部から数枚の資料を受け取りそのまま隆二にも渡された。

「これは背鰭を解析した資料だ、」

 隆二は渡された資料に目を通すと

「これは・・・」

 驚きのあまり声を漏らした

「見ての通りだ・・・この背鰭だけで戦車七千両分の装甲があることが分かった・・・そして、さらに解析を重ねた結果、この背鰭は三体目であることも分かった、多分あの戦闘の時だろう」

 自然に資料を持っている両手が小刻みに振るえ隆二の表情はどんどんと恐怖に染まるかのようになっていた。

「人間とは愚かだよ、先の怪獣大戦であれ程の犠牲を払ったのに、罪に対しての反省すらしない、それどころかまた新たな脅威を作り出そうとしている・・・もう、戦争は御免だ・・・」

 すると内ポケットから一枚の写真を取り出すと貞夫はその写真をジッと見つめた。

 その写真に写っていたのは一人の女の子だった。

「貞夫博士、それは?」

「私の娘だ」

 そう返答すると写真を再び内ポケットに入れた。

「この背鰭はいずれモナークに預ける話になっている。その間我が研究所に保管しておく、サラジアは勿論、反乱自衛隊から守るためにな」

 モナークとは1946年、トルーマン大統領はこれらの巨大生物「後の怪獣」に対する調査を進めるべく、特務研究機関を設立した。これこそがモナーク(MONARCH)である。MONARCHは戦後、急速に発展した衛星技術なども駆使して地球の各地を調査し、地球には未だ多くの未開の地があり、そこに人類の叡智を遥かに超えた巨大生物が多数棲息していることを突き止め、これらの調査を極秘裏に続けている。ベトナム戦争前後の1970年頃にはこれといった研究成果を出せていなかったことから組織の規模をかなり縮小されたが、1984年のゴジラの再襲来、それに続けて他怪獣の出現がきっかけで解散は免れた。

 1992年に設立されたG対策センター(通称Gフォース)に対してモナークは怪獣に対する情報提供も行っていた。

 すると貞夫は再び廊下を歩き始めた。

「貞夫博士、何処に?」

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