プロローグ1
これはあくまでゴジラをリスペクトした作品です。勿論公式ではなく消されるの覚悟で投稿しています。
※この小説は都合上かなり無理のある設定をしています。
本当の地獄を味わったことはあるか?
目の前で大切な人が死んだことがあるか?
鉄のように冷えた血の臭いを嗅いだことはあるか?
助けを必死に乞う断末魔を聞いたことはあるか?
初めて自分が無力だと分かったことがあるか?
奴の足音が聞こえるか?
奴の咆哮が聞こえるか?
その咆哮が聞こえた時、人類は始めてその犯した罪を知ることだろう、だが、その時はもう遅い、人類に反省する余地すら与えずに神々「怪獣」たちは人類を蹂躙するだろう。
この日、夜がこんなにも明るいとは思わなかった。
夜空はオレンジ色に染まっている。オレンジ色に染まった夜空の正体は淡々と燃える炎だった。
今日、この日、東京は業火に包まれていた。
その業火が深夜の東京をオレンジ色に照らしていた。
まさしく地獄絵図。
火の海に溺れるかのように逃げ遅れた多くの民間人が群集となり迷いに迷う。
右も左も前も後ろも全方位が炎が囲まれ逃げ場を無くして行く。
同時にこちらに迫り来るかのように巨大な足音と耳の鼓膜が千切れるような巨大な咆哮
それらが群集を恐怖のどん底に叩き落としさらに混乱させる。
破壊したビルが轟音と共に瓦礫や炎が逃げる群集に容赦なく襲い掛かる。
瓦礫に押しつぶされたり身動きがとれなくなったり、炎に包まれ火だるまになった人達が助けを乞うかのように「アヅイッアヅイよぉ!」と断末魔を上げる。だが今助けるなどそんな事している場合ではなく皆自分の身を守るのに精一杯で混乱し周りなど見ずに逃げ続けた。
まさに阿鼻叫喚の様相を呈していた。
その群衆の中に紛れるようにある少年はいた。
あるのは死の恐怖だけ、断末魔がいたるところから聞こえる。
逃げ惑う群集が密集して人ごみが出来る中、しかし握っていた母の手の温もりが唯一の安心だった。
だがその安心は一瞬で絶望に変わった。
突如、奴が吐いた青白い一筋の熱戦が近くにあったビルに直撃すると、凄まじい爆発と共にそのビルがこちらに瓦礫と共に崩れ落ちていきのだ。
ドシャアア、とした轟音と共に視界は一瞬で真っ暗になった。
意識が朦朧とする、鼻には焦げたような異臭が広がる。
体全体が重く感じた。
何か重い物に押しつぶされている感覚がする。
少年は体を動かそうとするが身動きが取れなかった。
重い・・・重い・・・・
重い瞼を開くと目の前にあったのは大量の瓦礫だった。
そこでようやく少年は今の状況を知った。
瓦礫の下敷きなっているいう事を、朦朧とした意識が段々と戻ってゆくと、突然、体全体に鋭い痛みが走る。
その痛みに耐えられず少年は瞳の奥から水滴が漏れる。
あれほど握っていた母親の手の感覚はもう感じない。
だがこの状況で下敷きになったのは不幸中の幸いで普通なら体は押しつぶされて当然だった。
しかし、少年の中にあった安心感はもう感じられず徐々に少年の感情は死の恐怖で染まっていく。
怖い・・・苦しい・・・熱い・・・助けて・・・
助けを乞いたい、だが声が出ない、重いコンクリートが体全体に押しかかり肺が圧迫していた。
そのため声が発せ無い、それどころか呼吸するのもやっとの状態だった。
しかし唯一、右手だけは動かせたが、まだ五歳にもならないいたいけな少年にこの状況を脱せるほどの力など無い、少年は自分の無力さに打ちしびれる。
瓦礫と瓦礫の狭間から微かに見える外の光景、波をなびかせるように火の海の覆われた東京の姿、その時、奴の足音が聞こえた。
ドン、ドン、と共にこちらに振動が伝わる。
そして少年の見ていた光景に奴が見えた。
火の海の中、黒き巨体が映し出される、奴だ、堂々と立ち竦む奴の姿だ
その黒き巨体の姿はまるで罪の姿にも似ていてその背中には巨大な背鰭が何本と連なっていた。
そして奴は上を向いて高らかに巨大な咆哮を上げる。
その姿を見ていた少年は右腕を奴のほうに伸ばすが届くはずが無い。
少年の感情から恐怖は無くなり、変わりに奴に対する憎悪と復讐心が芽生える。
奴は神では無い、奴は生態系の秩序そのものであり生態系の王者に君臨する者。
人は奴を「ゴジラ」と呼んだ。
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小説家になろうで初めての小説投稿です。
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批判コメでもオケです。