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あなたの記憶、買い取ります
「もう、いい加減、起きなさい!姫乃!学校、間に合わないわよ!!」
一階から再三に渡る忠告が聞こえる。
その声で寝ぼけ眼に見る時計。
天使の羽根で包まれたかのような、ふわふわした羊の群れの中にいた心地よさが一瞬にして、極寒の地獄にいるかのような焦りに変わる。
「え?え?!あー!!!なんでもっと早く起こしてくれないの!?」
叫び声が家中に響き渡る!
いつもの事のように、呆れた顔をする母。
ドタドタと地響きを聞きながら、平然と食パンを口にする弟。