あなたの記憶、買い取ります
「貴方の人生、買い取ります。」
雑居ビルの中の一角。電気が付いたり消えたり。。。
まるでホラー映画のワンシーンを彷彿とさせる場所。
目の前には【(幽)廻灯籠】と札のかかった扉。
私が何故ここにいるのか。。。
「今日は確か。。。」
学校に遅刻しそうで急いで家を出て、駅に着いて有紀に会って。。。
「痛ッ!」
急に頭痛が襲う。痛みで立てない程の痛み。
フラついて先ほどの扉のドアノブを掴む。
ガチャ。
えっ?開いた?
「いらっしゃいませ。ようこそ、幽限会社 廻灯籠へ。」
「高木姫乃様。」
私の名前を呼ぶ笑顔の男子。
特徴を端的に言うならば「黒髪の男子」「塩顔男子」「身長高め」
世間で言われるイケメンの分類である。
「な。。。何で私の名‥」
イケメンは私のありきたりの私の疑問を遮り
「高木様、入口では何なので、中へどうぞお入りください。」
と笑顔で案内する。
黒い三人掛けソファーが木のテーブルを挟み2つ
その奥に教員が座るようなテーブル。
壁には背の高い本棚と難しそうな本が並ぶ。
殺風景と言えばいいのか、シンプルな事務所らしいと言えば事務所らしい部屋。
「どうぞ、お座りください。」
「あっ、は、はい。」
私が座ると中学生くらいの男の子が無言でコーヒーをだす。
「あっ、ありがとうございます。」
私の言葉を無視して目も会わさずにその子は去っていく。
「すみません。無愛想で。彼は胡摩隼人と言います。ここのバイトのようなものと思って頂ければと。」
「はぁ。。。あっあの。。。」
「私はこういうものです。」
私の質問をまた遮り、名刺を渡された。名刺を渡して私の向かい側のソファーに座る。名刺には看板と同じ社名と彼の名「伊邪那走馬」が書かれていた。
「いざな そうま。。。さん?」
「よく読めましたね。最近の若い方は読めない方が多くて。。。イジャナと読む方もいて。」
と笑顔を見せる。
「伊邪那さん、教えてください。私はどうしてここに?貴方はどうして私の名前を。。。」
「記憶のないお客様でしたか。では、説明させて頂かないといけないようですね。」