第十一話
節子とのデートが過ぎて、数日が過ぎていた。
隆志は夢の中研究所の神崎に電話をした。「なんだか最近やる気がでないんですよねぇ。」
神崎は答える。「やはり、『オサマラヌイカリ』を飲んだほうがいいですね。」
隆志はハッキリさせたかったので言った。
「これは処方じゃないですよね。新薬のデータを取るためのバイトですよね?処方じゃぁ、病院に言ったほうがマシですので。」
「そうですね、こういったら悪いですが、モルモットのようになってもらうのが、我が研究所の需要です。」
「・・・」
「もちろん、私は隆志さんの事を知ってますし、個人の健康状態データもかなり揃ってきました。その上でこの薬を提案しています。」
「そうですか。私の言い方が悪かったです。でも今回は、その『オサマラヌイカリ』の効果を聞きたいです。どんなものなんですか?」
神崎は、書類を探していたのか、ひとつ間を置いて話しだした。
「ええと、これはですね、名前の通り怒りの感情が出ます。」
「それってまずくないですか?薬で感情へ影響を与えるなんて。今までは、下痢とかもたれとか、外的要因による目に見える作用だったのに、感情となると、ちょっと気が引けるなぁ。」
「ご安心下さい。今からその怒りについて説明します。これもいわば外的作用なのです。」
神崎の言うにはこうだった。
便意をもよおすのだけれど、オナラしか出ないという。
体の便意をもよおす神経をオナラが刺激するだけのことらしいが、トイレに駆け込むと、オナラがぶぅ!とだけしか出ない。しかも、オナラのガスが溜まるような効果も含まれているらしい。
オナラがお腹に溜まる=便意を催す → トイレに行く ⇛ オナラしか出ない
しかし、気をつけてほしいことがあるという。本当に便が出てしまうこともあるらしい。
この時の便意をもよおす感覚も、この薬を飲んだ時とまったく同じらしい。
かなりの勢いでオナラのガスがお腹に溜まるらしい。
それを聞いて、隆志は答えた。
「それって、『オサマラヌイカリ』ではなくて、『オサマラヌ オナラ? ベンイ?』じゃないんですか?」
「いやいや、いちいちトイレに行くという苛立ちと、いざ発射するときに、ぶぅ〜で終わる空虚感、それが怒りを引き起こす・・・とは書かれています。」
「まあ、お金になるならいいですが、そんなに頻繁にトイレに行けないですからねぇ・・・」
神崎さんは最後にこう書かれていますよと話し始めた。
「最初はくだらないことの繰り返しですが、そのうち、体の中の悪いものがオナラと一緒に出て、2週間後には体がスッキリ。そして、何と言っても、服用中は悩み事なんて考える暇なんてなし。なぜなら、どんな人でも、便意をもよおすと、それが第一優先で頭のなかを占め、悩みなんてどうだっていいと思うからです。」
隆志は後日連絡しますと電話を切ったが、次の日、夢の中研究所を訪れて、その新薬の試験者になることを告げた。




