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365日  作者: くらいいんぐ
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第一話

「これだ!」ある朝起きてみると、一枚の怪しげなチラシが郵便受けに入っていた。そのチラシには「睡眠中もお金を稼ぐ」と書かれていた。隆志はチラシを片手に朝の支度をした。

この男、働き者で中学を卒業し、電気工事の会社に入り、その仕事の傍らコンビニエンスストアでバイトをしていた。また、電気工事の仕事は暗くなる前に終わるので、家に帰ると簡易作業の内職をした。いわゆる365日休みなく働いていた。しかし、そこまでいくとひとつ納得いかないところがあった。それは、睡眠時間だった。隆志は寝なくても生きていけるようにならないかなと思っていた。そんな矢先の事だった。睡眠中にもお金を稼げるという広告に目が引かれた。これなら睡眠中もお金を稼げるんじゃないか、自分の理想の生活が送れるのではないかと期待に胸を膨らませていた。

朝の支度が終わると、さっさと現場に向かった。仕事中もあのチラシの事が気になって仕方がない。午前中働いてお昼休みになると早速チラシに載っていた連絡先に電話した。

「はい、夢の中研究所です。」

「あの・・チラシを見て電話したんですけど・・・」

その夢の中研究所の受付によると、今日にでも来られますかと言う事だった。隆志は仕事が終わり次第伺いますと答えた。

日も落ちかかった頃だった。隆志はあるビルの前にいた。このビルの6階に夢の中研究所がある。中に入ってみると案外きれいな内装だった。ただ人の気のない静けさを感じさせる、緊張感のある室内だった。隆志はエレベーターに乗り、6階のボタンを押した。まだ誰ともすれ違ってない。エレベーターの階数がカウントアップされる表示板をじっと見つめていた。1・・2・・3・・とても遅いエレベーターだなと思った。6階に着くと、複数のテナントの入った場所案内図があった。どのテナントも大手ばっかりだ。建設会社や不動産。薬品会社もあった。その一室に「夢の中研究所」とあった。案外ちゃんとしてるんじゃないかとそこへ向かった。

        *

隆志はぢだった。お尻から血が出ることもあったが、まあ治るだろうと放っておいた。でも最近、穴の周辺で痛みを感じるようになった。用をたした後、特に痛みがひしひしと感じられる。何とかしないといけないと思いながらも、仕事を休むことはできなかった。なんたって、中学を卒業して就職。それから10年、無遅刻、無欠席の皆勤を続けていたのだ。そんなことで休むなんて発想はこれっぽっちもなかった。

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