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2話 島崎優介の性格

ホームルームが終わると同時に俺の机の前に秋が立ち止まり

「優介俺はわかったぜ!お前が今日調子が優れない理由がな」

「え?」

理由?わかるはずもないが聞くだけ聞こうと思い俺は秋を見た。

「へへ、お前!これが原因だろ?」

ドンッ

笑顔を浮かべながら自信満々で俺の机に何かを大量に置いてきた。

「…え」

この時俺は改めてここは漫画の世界なのだと確信した。こいつやっぱり漫画の中キャラなのだ。そう思うしかない行動に俺は思わず笑った。

「お前…ふ、…俺が調子悪いからもしかしてこの大量の食べ物をくれるのか?」

「ああ!そうだ!俺も腹空いてると調子悪くなるからな!朝飯を食い損ねたんだな?朝遅かったもんな」

そう言いながら秋は笑顔で机に置かれた大量の食べ物を俺に押し付けてきた。改めてこいつの好感度が俺の中で上がった。なんて良い奴なんだと思いながら俺は笑いながら

「いやいいよ、これはお前のだろ?朝飯は食ったからお腹は空いてないんだ。秋ありがとな」

「…お、おう?そっか!なら俺が食うけど…やっぱりお前でも…なんかおかしいぞ?いや!ダメなわけじゃない!いや…なんて言うか…今のお前いいな!」

「…え、そ、そんな違う…?」

秋のリアクションで、もうわかってしまった。俺は多分島崎優介と性格が違いすぎることに、島崎優介を知らない限り俺は自分の話し方で行くしかない今、会話を重ねすぎたのでは無いかと後悔しつつ相手の様子を伺った。

「自分で意識的に変えている訳では無いのか?そうだな!前のお前も俺は好きだが、今のお前ならきっとみんなにもお前のことを好きになってもらえそうだ!!」

「へ、へぇー…」

非常にまずいことが起こっている。この会話からわかることはひとつ。島崎優介はあまりクラスのやつらと交流がないということだ。秋とばかり話していたのだろうか?たしかに漫画でも島崎優介の回ではよく秋といるシーンが多く書かれていたような気がする…とにかくクラスの中の島崎優介のキャラを壊しかねない行動を俺はとってしまったのかもしれない。

「いや俺は俺だよ、はは…」

「そう、それもだ!前は俺といる時は笑ってくれたがクラスの中でそんなに笑うのを見たのは初めてだ!」

待ってくれ。もうダメだ。ここまで来たらどう挽回する?まさかのあまり笑わないキャラそしてクラスと交流少なめ。島崎優介がクラスでどんな感じか少しづつわかってきたと同時に真逆のことを俺は見事にしていることが判明した。とりあえず、あまり笑わないようにしよう。今俺に出来るのはそれくらいだ。

「いや笑ってない。秋の気のせいだ。」

「いや俺は嬉しいぞーーみんなにこのお前の笑顔を見せてやりたいくらいだぜ!」

「いや、まじでやめてくれ、これ以上壊すわけには」

「壊す??」

「いや、なんでもない!」

「??」

まだこの世界が最新巻の続きの漫画の世界なのかそれとも、俺の読んだことのある過去の漫画の世界にいるのかさえわかっていないこの状況で、下手な真似はもうしないためあまり話さないようにしようと決心した。

「優介!次の授業は現代文だぞ?用意して席に着くぞ!」

「あぁ…えっと秋…俺のロッカー…どこだっけ?」

「何ー?11番だろ?やはり腹がすい」

「いや空いてない」

そうして俺はロッカーから教材を取り、席に着いてすぐにチャイムがなり秋の号令とともに授業が始まった。


そして1時間目2時間目と時間が過ぎ、4時間目が終わりやっと昼休みになった。

「はぁー…やっと終わった、こうなんて言うか疲れた…精神的に…」

俺はそう呟きながら机に突っ伏した。正直もう大変だった。クラスメイトからの謎の目線と秋の対応で。俺は思わず

「もうヤダ…島崎優介辞めたい…」

「それはいけないなぁ、相談なら乗るぞ?優介」

「いやー相談してもねぇー…ん?」

「うん?」

「うわぁ!」

ガタッ

独り言のように小さく言ったセリフに返答が返ってきたことも驚いたがそれよりも

「せ、先生?」

「お?なんだお前?ほんとに悩み事でもあるのか?ふはは!先生って、ふは、おう俺はお前の先生だぞ?」

ここで大笑いをしているやつは確かに先生だ。保健室の先生で名前は安井蒼夜。比較的若い先生でヒロインの相談役としてよく漫画に出てきていた。なのになんだこの感じは?妙に先生と生徒のはずなのに距離感が近いような気がした。こちらの騒ぎに気づいたのか秋がこちらに駆け寄ってきた。

「おー!蒼夜兄ちゃんじゃないか!」

「おいおい、その呼び方はやめなさいって、あと敬語を使え秋」

「あーすまない…です!先生!」

蒼夜兄ちゃん?下の名前で呼び、そして兄とまで呼ぶほどの仲なのか秋とこいつは?いやもしかしたら、俺たちかもしれない。先程の先生の反応。明らかに先生といつもは呼ぶような感じではなかったのだろう。昔からの先生含めこの3人で何かあったのだろうか。家が近くてよくお世話してもらったとかだろうか。だから先生と呼ばれたとき驚き笑ってしまった。そういうことなら納得がいく。つまり島崎優介も秋と同じく蒼夜兄ちゃん呼びの可能性が高い。だがこの考えも結局俺の憶測でしかない。だが1度俺も呼んでみるか。そしたらわかるはず。

「蒼夜兄ちゃん…な、なにか俺にようがあって声をかけたの?」

「…」

「…」

2人が驚いたようにこちらを見てからそして

「優介…やはり腹が減っているんだな!先生もそう思いますよね?」

「秋それは違うと思うが…」

結局俺の憶測は憶測に過ぎなかったようだ。3人には何かの関係性があることは確定だが、呼び方が違ったのだろうか?そう考えていると先生は不思議そうに話し始めた。

「いやぁ…今日のお前はなんだか大人しいな?もっといつも反抗的だろ?俺が声をかけたら嫌そうな顔して呼び捨てで『蒼夜どっかいけよ』なーんて冷たい感じなのにー?」

今この瞬間に俺はこの男から多くの情報をゲット出来た気がする。つまり島崎優介は口が悪いキャラの可能性が非常に高い。いやもう確定だろう。この一日の出来事を振り返って見ればわかる。秋が俺に言った「今のお前ならきっと好かれる」などの発言、俺のおはようで驚くクラスメイト、あまりクラスで笑わない、昔からの馴染みだとしても先生を呼び捨てに軽い暴言。島崎優介はクラスメイトとはあまり話さず、冷たい印象で口のが悪いキャラ。この世界に来て俺はやっと島崎優介という男についてあらかた理解したのだった。

「いやー今日の優介なんだが…可愛いね?」

そう言いながら蒼夜兄ちゃんこと安井先生は俺の頭をわしわししながら笑顔で撫でてきた。そして俺は今学んだことを実行すべきと思いそんな先生の手を軽く叩き心苦しいが少々激しめの暴言を吐くことにした。

「触るな!可愛くなんてない!離れろよ」

そう言うと先生と秋は

「あれー?元に戻っちゃったの?優介?あっちの方が蒼夜兄ちゃんは好きなんだけどなー」

「おお!その冷めた口調は優介だな!」

この世界に来て1番島崎優介を演じられた瞬間なのではないだろうかと思いながらも、こんなに激しめの暴言を言うやつなのかとこれから先思いやられた。しばらくすると秋がハッとしたようにこちらを見てきた。

「優介!調子が戻ったとこ悪いが飯の時間があと10分くらいで終ってしまうぞ!」

そう言いながら秋は先程俺に渡してきた大量の食べ物を自席の方から持ってきて俺の席の前に座った。

「おーもうそんな時間か?珍しい優介も見れた事だし俺もそろそろ保健室戻るかーじゃあなお前らー」

そう言いながら手をヒラヒラさせながら教室を後にした。

「優介!むぐ…お前も食わんと昼休みが終わってしまうぞ?」

「いやまだ10分くらいあるよな?そんなに急いで食うと詰まるぞ」

そんな会話をしながら秋はもぐもぐと大量のパンやらおにぎりを詰め込み飲み物で流し込んだ。そんな秋を見ながら朝、鞄に入れられたお弁当を取り出し俺はそれを食べた。



そうして昼休みが終わり、5時間目6時間目と時が経ち放課後になった。

「んー終わった…」

漫画の世界だからなのだろうか。実際授業は受けているのだが現実世界よりも早く授業時間を感じるのは。少女漫画だからそこら辺はメインでもなんでもないから適当なのだろうか。そうこう考えいると秋がこちらに駆け寄ってきてた。

「よし!帰るか優介」

「おう」

いつも二人で帰っているのだろうと思いここは素直に一緒に帰ることにした。俺は早く島崎優介の家に戻りやつの部屋で俺のこれからの手助けになるような情報を手に入れて今後に役立てようと考えいた。そうして寄り道もせず秋と俺は家に向かった。そして

「じゃ!また明日な!明日は寝坊しちゃだめだぞ?」

そう言いながら手を振り島崎優介の向かいの家の中に入っていった。

「思っていたより家近いな…」

そう呟きながら俺は島崎優介の家に帰った。



俺は家の中に入り違和感はあるが言うべきだろうと思い

「た、ただいまー」

そういった。しばらくしてすぐに

「おかえりー」

とすぐに返ってきた。その声を聞きなんだか一日の終わりを感じながらそのまま部屋に向かった。そして俺は島崎優介の部屋に入りすぐに荷物を置き部屋を調べることにした。

「はぁ…やっと独りだしゆっくりしたいが、調べないとな…」

そう言いながら部屋のものを調べ始めた。

「何か…こいつの性格をもっと知れるようなものとか…趣味とか…」

そう呟きながら漁っていると。だんだんわかってきたことがあった。こいつの趣味だ。とてもわかりやすかった。音楽鑑賞だ。ひとつのグループを押す感じではなく、様々なバンドグループのアルバムを所持していた。

「確か、鞄の中に音楽プレイヤーが入ってた気がするな」

そして俺は鞄の中を確認した。やはり記憶通り音楽プレイヤーがあった。島崎優介を演じるためにも必要なものだと感じ明日の昼休みにでも聴こうと決め鞄の中の音楽プレイヤーを後にした。

「趣味はわかったぞ。これくらいしか無かったからこれで確定だろうな」

そして俺はまた部屋の探りを再びはじめた。あらかた机付近のものは調べ終わり他の場所も調べ終わった。そして最後に残ったのは本棚だけになった。本棚といってもさっき調べたバンドなどのアルバムなど特集記事などが入っているだけで他に目立ったものは本棚の中にはなかった。

「はぁ…全然ないじゃないか、趣味くらいしか情報がつかめなかったわ」

そう言いながら俺は部屋の床に寝っ転がった。そうすると、俺はベッドの下にある分厚い数冊の本らしきものを見つけた。

「ん?なんだこれ…」

俺はベッドの下に手を伸ばし、1冊だけその本を引っ張り出した。

「あれ?これもしかして!」

俺は今までの中で一番情報が詰まってそうな代物を見つけた。

「これなら!けっこう情報掴めるんじゃないか!」

そう言って俺はベッドの下の本を全て引っ張り出すことにした。



2話終


登場人物

島崎優介(主人公こと長谷悟)

原谷秋


安井蒼夜…保健室の先生で秋と島崎優介と親しい仲の様子。ヒロインの相談役として漫画には度々出るキャラ。



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