1-1 寵姫の儀、あるいはただのイチャつき
感想、評価、誤字報告ありがとうございます。
励みになります。
第一章開始…といいつつただのイチャ百合回
序章はプロット、下書き、本書きで書いた上に本書きでプロットと下書きを全部無視するという書き方
多分プロットが雑だったんでしょうね…
ところで第一章はまだプロットのみ
……
つまり、次回以降の更新は遅れ気味になると思われます。
「クリシュラ…来て」
「ごくっ…いいのね?リズ」
吐息が首筋を撫でる。
背後に愛しい人の温もりを感じる。
彼女の鼻頭がうなじを撫でる。
髪をのけようとしたら、そのままがいい、なんて言われて、私の羞恥を呼び起こす。
深い呼吸の音、うなじに鼻息を感じる。
何度も、何度も。
その度に込み上げる羞恥は、熱病になって私の顔を赤く染め上げる。
大きな部屋の中、2人のだけの秘め事。
私と彼女の吐息の音だけがして。
私の吐息は溢れ出るものを堪える様な、抑えたものが漏れる吐息。
彼女の吐息は情欲に盛る犬の様な、無遠慮に私のうなじを嗅ぐ吐息。
やがて満足したのか、私のうなじが解放され、そのまま顔を擦りながら、首筋へ。
「ひゃぁ…」
濡れた筆で撫でられる様な湿気を伴った接触。
その正体は、クリシュラのべろ。
特有の弾力と、嫌という程思い知らされた強引な舌使い。
丹念に、丹念に、べろが首筋を行ったり来たりする。
痛みを抑える効果と、傷口を綺麗に塞ぐ効果があるらしい。
だから嫌がらないで、と説明された。
もちろん信じたし、いいよ、と答えた。
だけど、首筋から感じる彼女のべろは、私の舌をいじめる時と同じぐらいねちっこくて。
本当にここまでする必要があるのか…
もしかしなくても、必要以上に楽しんでない?
「ひゃ…ぁん」
だけど、そんなこと聞く余裕はなかった。
舌が這う度に、全身の力が抜けて行くのだ。
さっきまで1人でしっかり座っていたのに、今やもう、クリシュラにべったりと寄りかかって、彼女なしではその場に倒れてしまうだろう。
それがなんだか彼女の行為全てを受け入れている様で恥ずかしかった。
私だって彼女の全てを受け入れてあげたい…
だけど、思っていたよりクリシュラの欲求が凄いものばっかりで。
一緒にお風呂だとか…いかがわしい服(本人いわく可愛い服)着せたいとか…1日ずっとキスしてたいだとか…私を縛った上でキスしたいとか…
どれも聞いただけで頭がグルグルになるぐらい卑猥なもので、まだ受け入れられない…そのうち、受け入れられようになれたらな、とは思うのだけど…
首筋を未だべろが我が物顔で占有している。
クリシュラは、許した範囲で私の想像以上のことばっかりする。
今もそうだ。
クリシュラに血を吸わせる。
ただそれだけのはずが、ずっと匂いを嗅がれて、首筋を舐め回されて…
それだけ求められてると思えば嬉しいのではあるが…
単純に恥ずかしさが強いのだ…
だが、もし今後もこういうこと、を受け入れていくのであれば、この程度のことで音を上げたりはしていられない。
可能な限り、私の羞恥心が許すだけ、全部クリシュラに明け渡す。
舌が離れた。
直後にチクリと、針で刺されるような痛みがして、血が溢れ出す。
そのままチュウチュウと音を立てて吸われていく。
そして訪れるのが、酔ってクラクラする感覚。
耐えよう、耐えよう、正気を保って…なんて考えているうちに意識が飛んだ。
+-+-+-+
血は命の根源。
それはこの世界に生きるもの全てにとって共通の事実。
だが我らが吸血鬼にとってその意味は少し異なる。
血こそが我らの本質なのだ。
生き物は身体がありそれを動かすために血液が流れている。
だが、吸血鬼は逆だ。
血液があって、それを生かす為に身体があるのだ。
故に我らの命は身体に依存しない。
例え心臓が貫かれようと、脳を破壊されようと、血液さえ無事なら再生可能。
故に我らは不死と呼ばれ、その生命力の糧として生き血を啜るのだ。
どうでもいい。
果てしなくどうでもいい。
この目の前のご馳走に比べたらあらゆるものが些事だった。
美味しい。
とっても美味しい。
彼女の血は、瑞々しくて、甘くて、力強くて。
これがリズベットの味なんだ、と脳髄に刻み込ませる。
舌から感じる幸福感がとてつもない。
一滴一滴を絶対に零さないように丹念に吸う。
目の前でぴくんぴくんと震える様がなんともそそる。
リズベットとの会話を思い出して内心ニヤリと笑ってしまう。
-頑張って慣れるから。クリシュラのして欲しいことなんでもしてあげるから。それまでゆっくりして欲しいなって
これってつまりは、私好みになるように調教してください…ってことよね?
その様を想像して心が震えた。
この可愛らしい少女を、自分色に染め上げられる事実に、なんとも胸踊ってしまう。
もちろん、リズベットのことは好きだ。
愛しているし、生涯のパートナーにするつもり満々だ。
だから、彼女に嫌われるようなことは絶対にしないつもりで、だから今も押し倒して全てを奪ってしまいたい衝動を抑えていられる。
でも、それは同時に今のリズベットにはまだ受け入れられないような凄いことをしたいという意味でもあり。
だから、早く染まって欲しいと思う。
私色に染まったリズベットに、
-クリシュラ!ちゅーしよ…ねぇちゅーしてよ…それとももっと凄いことする?
なんて強請られたい。
自分の妄想で鼻血が出そうになる。
だが、そうでなくてもリズベットが無防備になる瞬間がある。
牙を離して、傷跡を治癒する。
こちらを振り返るリズベットの目はトロンと溶けていて。
ここからがボーナスタイムの始まり。
「なんでぇ…」
「んん?」
「なんで辞めちゃうの…くりしゅら…私のこと嫌い?」
「そんなわけないじゃない…あぁもぅ…」
可愛い、とっても可愛い。
吸血後に、血を吸われた側は強い酩酊状態になる。
そして、理性のタガが外れて、1匹のケダモノになるのだ。
リズベットの場合は、超甘えモード(命名クリシュラ)。
ぎゅうっと抱きしめると、リズも抱き返してくれる。
嬉しくなって、もっと抱きしめると、リズももっと抱きしめてくれる。
「えへへ…わたし、ハグ好き」
「〜〜〜っ!!」
ぱぁと咲く笑顔は、羞恥混じりなのか真っ赤で、それ故に増した破壊力がとてつもない。
「クリシュラだからだよ?クリシュラじゃなきゃヤなんだから」
反則だと思う。
こちらは鉄の意志でこれ以上の行為をしないつもりで居るのに、彼女は破城槌の様な破壊力で私の理性を攻撃するのだ。
目が合う。
えへへと笑う彼女が躊躇いがちに口を開く。
「ちゅーしてもいいよ?」
遂に私は陥落した。
長く(正味40秒)辛い戦いの末、敗北を喫した。
突き出すように準備してくれた彼女の唇に、己の欲望をぶつける。
たっぷり唾液を交換して、リズの呂律が回らなくなるまで舌をいじめ抜いて、お互いが最高潮といった時。
もはや押し倒すしかないと思った。
リズをひん剥いて、自分という存在を叩き込みたい。
リズもそれを望んだ目をしていて。
これ以上は正気に戻った時に怒られる。
最悪嫌われるかも知れない。
その常にあった不安が、結局私を押しとどめて。
自身の指を切って血を溜める。
それを半開きの口のまま荒い呼吸をするリズの元へ。
口元へ運ぶと、リズから咥えてくれる。
可愛い。
溢れた血がリズベットに入っていくのが分かる。
これが寵姫の儀。
お互いの血液を交換する、最も神聖な儀式。
元々、これが目的で血を飲んだのだ。
リズベットも今こそへにゃへにゃだが、前もって了承してくれていた。
ほんの少し、リズベットに私の魔力が宿ったのが分かる。
指を抜こうとすると、リズベットに抵抗された。
可愛い。
「や…くりしゅら…行かないで…」
でも、あまり血液を与えすぎてはいけない。
寵姫の儀はおよそ3年に渡って行われる。
魔の月が満月の夜、魔族の血が最も魔力を持つその時に、対象へ少しずつ血液を与えるのだ。
そして儀式が完了すれば、身体が完全に変容して寵姫となる。
肉体の老化も次第にゆっくりになる。
リズベットはおよそ17~18歳ぐらいの姿で長い間過ごすことになるだろう。
それでもいいのか、と言う疑問に対して、
-早くクリシュラのものになりたいもの…
という彼女の破壊力も凄かった…
序章プロット
出会う
仲良くなる
喧嘩する
仲直りして結婚する
でした。
下書きではオクタヴィアとクリシュラが戦闘したりしてました。