ギリムの講義 2
「とまぁ、講義はこの辺にして仕事をするぞ」
「はは、そうですね。 ありがとうございます」
「良いってことよ」
そう言いながら、ギリムは輝くコアをもう一度板状の塊にぶつけた。
「光が収まった…?」
「そうだな、コアを光らせたままだと劣化していくし暴発しかねないからな。 作業するときはこうしておいた方がいい」
ギリムは箱にはまっているコアを外しながら言った。
「この箱は船長室のコアからのエネルギーを中継する役目がある」
「中継…ですか?」
「ああ、エネルギーは遠くに届かせようとすると力が弱くなっていくんだ。 それをこの箱を使って船全体に行き渡らせる」
そう言って新しいコアを嵌め込んだ箱を閉めた。
「どういう仕組みなんです?」
「さぁ」
肩をすくんだギリムにジグは苦笑した。
「そんな適当で良いんですか?」
「良いんだよ、動けばな」
自信満々にギリム言った。
「んで、この劣化したコアだが」
「劣化してるかは、どう見分けるんですか?」
「ん? それはほら、このコアの外側らへんが濁ってきてるだろ?」
「確かに黒ずんでいますね…」
「真っ黒になったら爆発する」
「なっ!」
二人はコアを見ながら話すが、ギリムの言った言葉にジグは驚いた。
「嘘だ」
「冗談じゃないですよ」
ジグは苦虫を噛み潰したような顔をした。
「はは、まぁ爆発はしないが灰のようになって崩れ落ちるのさ」
「…本当ですか?」
「今度こそ本当だ」
そういうギリムをジグは怪しんだ。
「信用ないな」
「嘘ばかりつくからでしょう」
「はは、まぁそうだな」
ため息をつくジグをギリムは笑った。
「そんで、この劣化したコアは外殻みたいなでかいのを動かすには不安だから交換しちまう。 だが食堂の料理用の火を起こすくらいにはまだ使える」
「なるほど、再利用ですね」
「ああ、無限にあるものでもないからな。 再利用は大事だ」
そう言いながら劣化したコアをジグに渡した。
「届けろと?」
「よく分かったな、偉いぞ」
「わかりましたよ…」
悪びれの欠片もない顔で言うギリムにジグは諦めたように言った。
「決して面倒だからじゃないぞ、適材適所って奴だ」
「分かってます」
取り繕うギリムをジグは笑った。