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「…ル。…ール!」


声が響く。




「ん…」


その声から逃げるように彼は寝返りをうった。




「ユール!」


「うわっ!」


しびれを切らせて叫ばれ、ユールは寝床から飛び起きた。




「…なんだ、ジグか…」


「なんだじゃない、交代の時間だぞ」


ジグと呼ばれた彼はユールと同年代の知り合いだった。


彼はまだ寝ぼけているユールに呆れたように交代をつげる。




「ん…、もうそんな時間か」


そう言って気だるそうに身支度を始めた。




「どうした?いつにもまして気が抜けてるな」


「んー…。まぁな、少し変な夢を見ただけだ」


「ははは、お前はそんなに繊細な奴だったか?」


頭をかき、眠そうな様子のユールをジグは笑う。




「うるさいな、俺だって気が滅入ったりするさ」


「そうか? どんな悪夢だったんだ?」


「んー?それが…」


聞かれたユールは不貞腐れながらも、考え込むように頭に手を当てる。




「…。なんだったかな…」


「はっはっはっ、もう忘れてしまったか。お前らしいな」


「五月蝿いな、夢なんてそんなもんだろ」


茶化すジグをユールは睨んだ。




「っと、こんな事話してる場合じゃないな。交代の時間だ、早く行かないと親父に怒鳴られるぞ」


「お前が聞いてきたんだろ!ったく、怒鳴られたらお前も道連れにしてやるからな」


はっとした顔で言うジグにユールは文句を言った。




「それで?何か見つけたのか?」


「いや、何も無いさ、水ばかりだな…」


部屋から出て歩きながら聞いてくるユールにジグはつまらなそうに答えた。




「そうか…。島の一つでもあればなぁ」


「そうそう見つかるものじゃないだろう。流れ岩でもあれば良いほうだ」


「お前なぁ…。 望みくらい持っても良いだろ? 只でさえ最近は何も成果が無いんだし…」


「まぁ…その気持ちはわかるが…。 俺達は偵察だ、例え島が見つかっても調査は上陸部隊の仕事だ」


落胆するユールにジグはそう言った。




「分かってるよ。 俺も向こうのチームに入れたらなぁ」


「お前なら実技は大丈夫そうだが…筆記が無理だな」


ジグは笑いながら言った。




「五月蝿いな…。 なんで試験に筆記なんてものがあるんだよ…」


「お前みたいな何も考えないで突っ込む奴を死なせないためじゃないか?」


納得がいかないというユールにジグは返した。




「俺はそこまで馬鹿じゃないぞ、行動する前にはちゃんと考えてる」


「その言葉が既に馬鹿っぽいな」


むっとしてユールは反論するが、そんな彼を笑いながらジグは茶化した。




「さて、俺は食堂に行く。 お前も怒られない内に見張りにいけよ?」


「あっ、こんな話してる場合じゃなかった! やべぇ!」


「転けるなよー」


焦って走っていくユールにジグは適当に注意した。





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