私は清少納言になんかなれない
「ふぅ……」
ぽうっと卓上ランプのみが暖かい明かりが灯す部屋で私は軽く息を吐いた。
私は創作活動をしているのだが、どうもこの雰囲気でないと、筆が進まない。まぁ、創作活動といってもパクリに近いのだが。
きっかけは単純なものだった。古文であつかったなんかの文。日常のつまらないことに対して批判的なコメントをする、といった文章だったはずだ。それがあまりにも面白かったので自分でもやってみようと思ったのだ。それが案外続いた。
さて、このノートもこのページで終わってしまった。新しいノートは……ないか。
せっかくだから、私はノートを見返してみることにした。
「興ざめなもの、目覚まし時計に起こされる朝。今日も今日とて平凡で退屈な一日。」
「興ざめなもの、定期テスト。面倒くさい。」
「興ざめなもの、満員電車。苦しい。おっさん消えろ。下心見え見え。」
「興ざめなもの、クラスのパリピ共。とくにアノ3人。極めて表面的な人間関係。うるさい。目障り。うざい。うっとうしい。消えろ。」
「興ざめなもの、卑怯な自分。堂々と奴らに物申すこともできない自分。弱虫め。…変わりたい。」
「興ざめなもの、クラスの奴ら。見て見ぬ振りをかます。臆病者め。私は違う。お前らとは違う。」
「興ざめなもの、クラスのクソ共。寄ってたかって弱者にとってかかる。集団でないと行動できない弱者共め。」
「興ざめなもの、アノ3人以外のクラスの奴ら。アノ人たちは私を許してくれた。私を仲間にしてくれた。私を守ってくれた。こんなの生まれて初めてだ。」
「毎日が楽しい。今が一番人生で楽しいと心の底から思える。生まれて初めてオシャレをした。生まれて初めて友達と遊園地に行った。生まれて初めてプリをとった。また明日から学校。でもアノ3人と会えるから楽しみ。
「興ざめなもの、アノ3人に害をもたらすもの。許さない。私に任せて。3人のためなら私はなんだってする。たとえ、体を売ることになっても。」
「興ざめなもの、この世の全て。何もかもが面倒くさい。」
「興ざめなもの、そんなものこの世にはない!目に見える何もかもが美しい。世界は素晴らしいことで満ち溢れている。見よ、人々が平和な生活が遅れる豊かな環境を。見よ、それを祝福する天使たちを。」
「最近よく虫を見る。」
「だるい。今日はやす□□」
「□□□□□□きょ□□□□□だ。□□□□□」
「最近アノ3人と会ってないなあ。」
「もう、我慢の限界。欲しい。□□□でもいいか□、□□□が欲しい。」
「今日、人を□□た。1人□した。□□□□□□」
「3人に伝えた。みんな震えてた。どうして?」
「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□!□□□□□□□□□□□□□□□!」
「ひとりぼっちになっちゃった」
「興ざめなもの、自分。依存症でみじめで救いようのない自分。弱虫だけど、今日勇気を振り絞った。私もやればできるんだ。4人も殺□□□□□□□、□□□、許してくれるかな?」
私はなんてことをしたのだろう。悲しみで胸が苦しい。涙が止まらない。何度も何度も咽び泣いた。
まるで懺悔をしているかのように、女は両手で祈りを捧げ息絶えていた。
その側には七輪の中にある練炭が煌々と輝いていた。
いつか、異世界ものも書いてみたいなあ