何でもは無理だぞ主よ
今の自分の部屋を見て、思いついたものを書きました。実際には自分は掃除していませんが。
いま、俺の主が重い腰を上げようとしている。
おい、フローリング。
久々に主が俺を使うようだぞ。
そうか。
なら、ちゃんと吸ってくれよ。
なめるなよ。
この、サイクロン様の吸引力を。
ブイ~ン
どうだ、フローリング。
これでも文句はあるか!
さすがサイクロン。
散り一つ落ちてない。
だろ~
次はどれだ、主よ。
む、机野郎の周りの掃除か。
しかたがない。
おい、机よ。
お前の周りも吸ってやるから、ありがたく思えよ。
うん、たのむよ。
じつは、俺は机が苦手だ。
いつも主が、机を利用しているから、少し羨ましい。
それは、仕方がない事だとわかっているが、羨ましさのほうが勝ってしまう。
つくえは、良い奴なのだが苦手だ。
おい、掃除機。
ちゃんと掃除しろよ。
うっさい!
椅子は黙ってろ!
俺は、この家にあるものでは、椅子が最も嫌いだ。
いや、こいつだけ嫌いだ。
掃除のとき、こいつについているローラーのおかげで、邪魔にならないところへ、軽く行ってしまう。
それをこいつは、恩着せがましくしてきやがる。
ローラーなんか、壊れちまえ。
終わったのか、掃除機よ。
ああ、終わったぞ。
ご苦労であった。
くっ!
ありがとうサイクロン。
こんな狭いところまで。
なんの、礼を言うなら主に言うんだな。
フローリング。
一時間ほどで、部屋の掃除は終わった。
かべ、天井、までも。
主は、掃除機さえかければ綺麗になると、思っている節がある。
俺の声が聞こえるなら言ってやりたい。
「駄目だぞ主よ。拭き掃除もしなければ」と。
ん、主よどうした。
まだ、何かを吸うのか?
主は、棚の上に飾っているフィギュアを手に持った。
そうだったな主よ。
主はいつも、サッとあいつらのほこりを俺に吸わせてから、細かいところは自分で掃除していたな。
ひさしぶりだな、さいくろん殿。
ああ
それではたのんだぞ。
まかせろ。
ブオ~っ
おお~気持ちがいいぞ、さいくろん殿。
そうか、それはよかった。
視線を感じる。
たぶん、もう一体のフィギュアの奴の視線だろう。
そして、土方歳三のほこりを俺は吸い取った。
細かいところは、主に取ってもらうんだな。
ああ、そうだな。
次は、こいつの番だ。
あんた!スカートの中見たら、承知しないからね!
誰が見るかボケ!
違う意味でこいつは苦手だ。
きゃ~っ!
ぎゃ~~っ!
こわい~!
ぎゃ~ぎゃ~うるさいぞ。
だっ、だって、こわいものはこわいのよ!
うぎゃ~~~!
逆さになったくらいで、情けない声で叫ぶな。
うっさい!
うぎゃ~~~っ!
こいつは、いつもこれだ。
もう、うるさいのは嫌だ。
次行きたい。
ずぽっ
「あっ」
ずぽっ?
うぎゃ~~~!
だずげで~~~っ!
吸い込んでしまった。
主は、強のままほこりを取っていたようだ。
暫くするとこいつは、主の手によって救出された。
も~う、なんてことしてくれるのよ。
ゲホッゲホッ
す、すまん、アスカよ。
すまんで済んだら、警察はいらないっていうのよ。
ほんとにすまん。
まあ、わたしは心が広いから許してあげるけど。
俺が悪くないとは言わん。
だが、これは主がどう見ても悪い。
その言葉を俺は飲み込んだ。
今度から気を付けてよね。
そ、そうだな。
よくありますよね、ずぽっ、ていうの。