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1ページ目 トリップしました。

みきりはっしゃーぁっ!!

 皆さん、異世界トリップってご存知ですか?


 なんらかの拍子――――トラックに突っ込まれたり、何処からか滑り落ちたり、何の因果か刺されたり。或いは勇者や聖女として召喚されたり、救世主ではないのに巻き込まれたりして、気がついたら異世界なアレです。

 最後辺りは異世界トリップではなくて世界を跨ぐ誘拐だと思うのですが、どうなんでしょう。


 まあ、それは今は置いておいて。




 この私、深雪(みゆき)冬璃(ふゆり)は、どうやら知らない世界にトリップをしてしまったようです。




「ちょっと待って……え、私、さっきまでショップにいた、わよね……?」


 1限の授業から出席した、まではよかったのですが……生憎、授業中にシャープペンシルの芯がなくなって。流石に残り1cm程度では使い辛いと思ったら、そんな日に限って替え芯を忘れて。

 ついでに500mlのお茶と、新学期が始まったばかりなのにまだ買っていなかったからと、予備のノート5冊組を買って————ショップを出た、筈。


 なのに、目の前に広がるのは木、木、木。いえ、大学の構内にも木は植えられていますけれども、所謂『森』が私の四方八方を取り囲んでいます。


「大学の近くに山はあったけれども……こんな平らな森じゃないし。ていうか、こんな不気味なピンクしてなかったし」


 紅葉の季節になると、それっぽい赤色に染まる葉っぱはあった気がしますが。

 でもこんなショッキングピンクの葉を繁らせる木なんて、生まれて初めて。幹どころかうねうねと地面に覗いている根っこすら、綺麗に染まっています。なんという名前なのでしょうか、めっちゃ目がチカチカしますよ。


 なのでただいま絶賛、私のいるココが地球なのかどうか……疑っています。そもそも、日本はまだ春なのに。ピンクはピンクでも、もっと淡い色が溢れる季節なのに。


 左手を見ると、時計は10時半を少し過ぎたくらいでした。講義の合間にと思っていたのに、2限はとっくに始まっています。


「2年とは言え、新学期早々遅刻とか笑えない……オリエンテーションで課題説明するって、シラバスにあったのに……」


 そもそも、これは遅刻で済むのでしょうか……今日中に、下宿しているアパートに戻れるのでしょうか。

 スマホの回線が、4Gどころか3Gですらないのですが。このご時世なのに、ブラウザを開いたらエラーになるのですが。勿論、通信を必要とするアプリ系もアウト。広がらない地図なんて、最早地図じゃないです。


 自身の性格としては歳の割に落ち着いているつもりではありますが、流石に予想外過ぎて頭が痛くなりそうです。


 取り敢えず、うねうねショッキンピンクのお陰で足場もそうよろしくないですし。手を空けておきたいので、レジ袋をリュックサックの中に詰めて。


「第一目標、現在地の確認、かな……」


 その為には、この森を抜けなくては。





 ――――なんて考えたのが、今は可愛らしく感じられます。


「…………」


 時刻は夜の10:00。あれからおよそ半日が経ちました。しかし、私の目の前は相変わらずケバいピンクだらけです。

 日が暮れたので、視界はほぼほぼ真っ暗。月明かりはか細く、枝葉の狭間から零れるくらいしかありません。

 未成年なのでライターの類は持っておらず……そもそも嫌煙者なので成人しても恐らく持たないでしょうが、この時ばかりは喫煙家が羨ましく思えます。強烈な色彩が目に入らないだけマシ、と言えましょう。


 もともとお昼を跨ぐつもりだったのでお弁当を持っていたのですが、残念ながら大喰いではない私のお弁当箱は両手サイズ。2段式でしたが、お昼と先程でほとんど食べてしまいました。

 あとはご飯が三分の一と、卵焼き一切れ、ウインナー2本。夜越しして食中毒になったらと思うと怖かったので、メインのハンバーグはお昼に、おひたしは先程、私のお腹の中に消えて行きました。

 リュックサックの中に飴玉ポーチがありますが、その日持ちのする中身には、どうしても手を出すことができませんでした。


 地面に直接座ると身体が冷えるので、うねうねの上に腰を下ろし、身を添わすようにしています。幸いにして、まだ肌寒いからと今日の私の装いは春というよりも晩冬寄りでした。

 もしかして遅くなるかもと、厚手のパーカーを選んだ今朝の私、グッジョブです。大きめサイズ愛用者の私もグッジョブ、お尻まですっぽりですよ。ただスカートを選んだ私、あなたはナシです。寒いです。


 そう言えば……学部のオリエンテーションで、防災用の簡易グッズを貰っていました。何気なくリュックサックのポケットに入れていた小さい包みを開けると、中から笛とキーホルダーサイズのライト、そしてアルミシートが出てきました。

 私はアルミシートを広げ、剥き出しだった足にかけました。外気が遮断され、これなら冷える心配は少なそうです。


 私は、ほぅと溜息を吐きました。袖の中に隠した両手を合わせ、身を縮ませて。



 目を醒ましたら、1限の講義中で。実は私は夢を見ているだけで。

 もしかしたら、私はまだ、起きてすらいなかったのかもしれない。アパートのベッドで、眠っているのかもしれない。


 そう期待したいのに、アルミシートの音は嫌に耳について。



「かえりたいよぅ……っ」


 まだ2年目な上に仮の住まいなのであまり愛着はありませんでしたが、この時ばかりは下宿のアパートが恋しくて恋しくて仕方がありませんでした。




今は簡易防災グッズを配っているのかなぁ……

私は幸いにして使うことはなかったのですが,ライトは壊れていました.

でもそんなものですよねーと何処かへ行きましたね.


投稿しようとして燻っているお話の頁を使っているので,最低第13部まで行く予定です.

がんばれ私.


取り敢えず,明日2018/03/02の17:00に次話投下します.

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