第三話 或る吸血鬼
色々な理由でこの話だけ文字数がものっそい少ないです
side ???
嗚呼、今日もまた陽が沈んでいく・・・。
これで何度目だろうか。いや、もう既に諦めてしまっているのかもしれない。私は永遠に眩い陽の照る外に行けないだろうと、この館で何も知らぬまま長い寿命を過ごす運命なのだろうと。
「・・・・・・・・」
吸血鬼だから飢えることはない。だからどんなに退屈だろうと死ぬことはない。我ながらよくこれで200年も生きていたものだと思うわ、こんなの死んでいるも同然だもの。
この館は先代が死闘の末に人間から奪い取ったものらしいけど、今となっては住む者は私しかいない。悲しくはないけれど、虚しいとは何度も思った。
「・・・・・・・」
部屋にはかつて人間から奪い取った財宝やらなにやらで埋め尽くされていている。中でも、一番大きく、価値が高いとされている『マジェントの宝玉』は、手に入れた者を吸血鬼にすることができるらしい。まあ、私しかいないこの館にとっては、何の関係もないことだ。
「・・・そろそろ生贄が来る時期ね」
なんでも先代がある村を襲った時に作ったものらしいけれど、私はあまりよく分からない。何故ならここまで生贄が来ることができないから。ここに来るには魔物が数多く棲む森を越えてこなければならない。故に、しがない村人はここまで来ることすらできないのだ。
「・・・・・今年はここまで来ることが出来るかしらね」
そう思うのも、今年で何度目だろうか・・・。