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「…ん」


ちゅんちゅんと小鳥の囀ずる声が聴こえた。

窓から明るい光が射している。朝だ。

しかし、なんだが起きたくない気分だった。

昨日のテトーリオとユーシスの会話もあるし、何より頭や髪に感じる温もりに身を委ねていたい。

温かさは頭頂から耳の側まで。

ゆっくり、一定のリズムで移動する。

ロルファは反対側にも温もりが欲しくて、寝返りを打とうとした。


「…おはよう、ロルファ」


……ん?

囁くようなかすれ声が鼓膜に心地よい。

と同時に耳をくすぐられる。

温もりは、テトーリオがロルファの頭を撫でていたものだった。


「ぁ……ぁぅ…………おはよう…」


テトーリオとは夫婦だし勿論ベッドを共にするが、やはりなかなか慣れない。

朝の寝顔を見たり、見られたり、とか…………

たじたじになりながらも、テトーリオを見上げると、藍色の瞳をきゅッと細めて


─────微笑んだ…………


あああ!! 恥ずかしい! テトーリオ! 素敵ッ

もはや照れたり、称賛したり、挙げ句悶えたり。

こんなに、す、好きなのに…!

ロルファは自分の好意表現の仕方がズレていることに薄々気づいているものの、うまくそれを伝えられないし、伝え方が分からない。

うまく、いかない───────

ロルファは両手で顔を覆って、テトーリオの手にすり寄った。






テトーリオは黙々と書類整理に取りかかる────ユーシスを傍目に、今朝のロルファを思い出していた。



すうすうと寝息をたてて猫のように丸まっていたから、つい撫でてしまった。

薄桃色の頬をつついて唇をふにっと割って指先を入れたりもした。

そういえばキスはあまりしてないな、と思いながら。


『…ん』


ロルファの瞼が微かに動いた。

あの夜以降、彼女に手をだしてはいない。我ながらよく我慢していると思う。

……撫でるくらいなら…………

そう考え、髪を梳くように撫でた。

目を開けたロルファは、何故かすり寄ってきてくれた。



「はぁ…………」


「悩まずとも相思相愛なはずですよ、テティ」


「いや、一方通行だ」


「…………何をふざけたことを。口下手な花嫁の真意を知りたければ身体に訊けばよいのですよ」


「…それは抱け、ということか?」


「ええ、勿論」


驚いた

幼なじみが、ユーシスがこれほどまで女性に対し積極的とは…!

ポカーンと情けなく口を開け、判子を捺しまくるユーシスを凝視する。

タン、と最後の一枚に印を捺し、書類業務は終了した。


「まったく…花嫁に振り回されて仕事も手につかないなんてシャレになりませんからね。今回はおおめにみて差し上げます」


ユーシスはテトーリオでも分からない何かを知っている。

ロルファの、何か

ユーシスは「では」とだけ残し、去り際に鼻で嗤った。

やはりロルファのためにも、悪い噂をもつ夫とは縁を切った方がいい…


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