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紫天の剣光  作者: 桃姫
第五章
51/57

51話

 清華は、息を殺していた。偶然にも、敵と遭遇してしまった。そのことから、極度の緊張状態で、木陰に隠れた。気配の無さでは、定評のある清華は、見つかることなく素通りできたが、清華は、敵の腰元の剣に、思わず、息を呑んだ。

(『エクスカリバー』……)

 カラーコードで言えば、0105。黄金色の輝きを持つ、聖なる剣。伝説の聖王の剣。「エクスカリバー」。

――「エクスカリバー」――。伝承によれば、「アーサー王伝説」に出てくる伝説の剣。アーサー王が王になるために引き抜いた選定の剣と同一視されることもある。湖の魔法使いから授かった聖なる剣。「カリバーン」、「エクスカリバー」、「コールブランド」。様々な名前を持つ、その剣は、聖剣の中でも最高の力を持つと言われている。

 それを再現した魔装大剣「エクスカリバー」は、通常、柄を起点に、魔力を注ぎこむ魔力収束回路が、全面に出ており、相手を切ったときに、相手から魔力を吸えるし、魔力を集めて放つ、「収束砲」を魔装大剣でありながら放つことのできる、規格外の剣。

 「デュランダル」が鋭さの象徴であるなら、「エクスカリバー」は、破壊の象徴としか言えない。

 清華は、それを相手にできるか、一瞬迷い、無理だと諦める。無謀以外の何者でもないからだ。

「誰かな?」

 不意に男が、声を発した。清華は、ばれたかと思い、周りを探る。すると、近くに、一人気配がした。

「熾神裕騎だ。キングに使えし、『ナイト』。俺は、お前を倒しに来た」

 熾神裕騎。C支部特別対策班の「ナイト」。

「ほう。ナイトか。オレは、レオン。レオン・ベルデス。聖王にして円卓の騎士の剣「エクスカリバー」を携えたただの凡人だ」

 そう言って、彼は、「エクスカリバー」を抜いた。

「君は騎士と名乗った。この剣以上に君に相応しい剣は無いんじゃなかろうか」

「急になんの作戦だ?」

 裕騎が訝しげに聞く。しかし、レオンは、笑う。

「オレは、もう、この戦いに生きる意味を見出していない。俺には、生きる意味ができた」

 何の話かと裕騎は構える。

「時に君は、キスをしたことがあるかね?」

 裕騎と清華は、同時にズルッと、古典的な漫談のリアクションのごとく、大きく滑った。

「なっ、何の話だよ、いきなり」

 裕騎は、大きく咳き込みながら、レオンに怒鳴る。

「い、いや。その、オレ。ついさっき、好きな奴にキスされたんだが……どうすれば良いのか分からないし、もう、ぶっちゃけ剣とかどうでもよくなっちまって」

「好きな奴って、いつから好きだったんだよ」

 裕騎は興味本位に聞いてみた。

「いや、その、昔から、な。あいつをずっと見守っていたんだ」

(ストーカー?)

 清華は思ったが声には出さなかった。

「そうしたら、だんだん好きになっていったんだ」

「その人も、今、この戦いにいんのか?」

 裕騎の問に、レオンは、首を横に振る。

「あいつは、戦闘好きだから、きっと、あの空の『世喰らい』を殺しに行ったんだと思う」

 清華は、ふと、違和感を覚える。

(あれ?どこかで聞いた)

 しかし、そんな清華の違和感とは、無関係に話は進んでいく。

「へぇ?あれに挑む無謀な奴が、いるとは思わなかったぜ」

「いや、ずっと見てたから分かる。あいつは、……ネオンは、人のために戦って、そして、戦いを楽しむような奴だから」

 清華は、ふと、頭に思い浮かべる。

(零士も、他人のために突っ走るし、戦いを楽しんでるようなところがある。それにネオン。確か、零士の師は赤羽音音)

 清華の中で何かがはまりこむ。

「じゃあ、その剣は、受け取れねぇよ。好きな人が死地に突っ込んでいくなら、お前は、それを止めなきゃならねぇんじゃないのかよ」

 裕騎の言葉は、まるで自分に言うかの様なふうに言う。

「死地に突っ込む女をほっといて、それで、死なれちまったら、後悔してもしてきれねぇんだよ」

 裕騎は、静かに怒鳴る。

(キング)も、そんな奴だ。勝手にどっか行って、戦って。自分は絶対に殺されない、殺されることは、向こうに不都合、だとか言って、敵ん中突っ込んでさ。いくら強くても、そりゃ、心配になっちまうじゃねぇか。今も、また、どっかに行っちまって、きっと戦ってる。俺らには、何も言わねぇで、さ」

 裕騎の言葉にレオンは、頷いた。

「そうか。そうだな。オレは、あいつのところに向かうよ。君も来るかい?君の言うキングも、戦う人なら、あそこに居るかも知れない」

「ああ。俺は、もとより、あそこに向かうつもりだ」

 二人が頷きあい、駆けながら、「世喰らい」に向かう様子を見て、清華は、静かに溜息をついた。そして、一応、皆に連絡を入れる。

「熾神裕騎が、『エクスカリバー』の使い手と共に、戦線を離脱。こちらへの害は無いと思われる。二人して、人探しらしい」

 そう告げ、無線を切った。


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