50話
百合は、桜子が戦っているのを尻目に、火音と対峙していた。
「向こうの使ってるのが、『デュランダル』なら、あんたのも何か伝説の剣?」
火音の問に百合は、答える。
「ただの魔装太刀よ」
その答えに、意外そうな顔をする。
「へぇ~、それはおかしいぜ?だって、それじゃあ、あたしのカタナが切れた理由がわかんないじゃん。普通の魔装武装にも対抗できるフソウのカタナを易々と切っちまったんだから、伝説の武器かなんかじゃねぇと説明つかねぇだろ?」
「伝説は、あくまで過去の遺物よ。私のこの剣は、未来への希望。これから伝説になる剣。天才の作った魔力の効率化を極限にした最高の剣」
魔力を込めて、魔力伝達回路がキュルルルルと音を立てる。魔力が通り、幾多にも分岐し、刀身の魔力伝達物質に大量の魔力が行き渡る。それは、まるで水風船に水を入れたら膨れ上がるように、剣が大きくなったような幻覚が見えるほどだ。それほどまでに大量の魔力が刀身に溢れている。
「天才?」
「トーマス。トーマス・エジソン。稀代の天才開発技術師。私が知る限り最高の技能者よ」
百合が自信いっぱいに言う。
「へぇ。そんな凄いのか。でも、いくら補ってもあたしには、勝てやしないさ!」
火音は、拳を振るった。が、それは、届かない。
「斬らないように手加減はしてあげます。だから、不用意に手を伸ばさないことですよ!」
百合は、鋭い閃光を放つ「グリッター」を振るう。それを火音は、避ける。攻防戦ではなく、攻避戦だ。攻撃して避けて、避けて攻撃して。その繰り返し。防御などしない。それは、敵の攻撃を喰らえば、ただですまないことが分かっているからだ。
「ぶっ潰す!」
「貴方が、潰れなさい!」
拳と「グリッター」がぶつかり合う。弾け飛ぶ火音。
「ばっ、馬鹿な」
火音は、驚きながら吹き飛んだ。
「『グリッター』の出力は、生身で勝てるほど柔じゃないわ」




