41話
支部長室に揃った面々は、十九名。対「死の音を奏でる者」チーム。戦力としては、かなりのものだ。
「それで、見知らぬ顔がちらほらあんだけど、自己紹介とかしといたほうがいいっぽいな」
零士の言葉で、桜子が口を開く。
「大半の人が知っているでしょうけれど、染井桜子よ。このメンバーにランクは関係ないでしょうけれど、一応言うならAランク候補生よ」
桜子の自己紹介が終わると、百合が次いだ。
「藤堂百合。Bランク候補生です。使用武装は魔装太刀・『グリッター』」
聞いたことの無い武装にほとんどの面々が首を傾げる中、百合の隣の、零士の見知らぬボロボロの白衣を着た少女が、口を開く。
「藤堂さんの武装を作ったトーマス・エジソン。今回の武装面でのバックアップ担当だ。よろしく!」
なんと言うか自由奔放そうだ、と零士は思った。そして、次に口を開いたのは、璃桜。
「私は、橘璃桜です。Aランク候補生です。主な役目は、トーマスさんと同じバックアップになると思います。私の特殊技能は、オーラがはっきり見えることだけですから」
璃桜の控えめな自己紹介を終え、次は、厄魔。
「椎名厄魔だ。俺自体は、それほどではないが、俺の相棒達は、『ナハト』に『魔力増幅機能』を積んだ、魔装人形『風林火陰山雷』だ。戦力としては、かなりのものだ。信頼していい」
そして、次いで、
「火榮だ、よろしく!火力だけなら負けねぇぜ!」
「黒減林華です。無音にする力しかないですが……」
「黒減風華よ。勢い任せって言われるけど、そんなんじゃないんだからねっ!」
「黒減山華だぜ。俺は、どんな攻撃でも耐えてやるさ」
「黒減清華。特になし」
「黒減雷華ですわ。スピードなら、誰にも負けませんわ」
「風林火陰山雷」が言った。その後に、続くように、零士の見知らぬ女性が言う。
「サーリャ・キル・キリエでございます。Bランク候補生。そして、キングのビショップです。選ばれた以上、戦い抜きます」
それと同じように、見知らぬ男性が言う。
「ボクは、ルッサッド・クロー。Bランク候補生だよ。そして、ルークだ。キングのため、この身を粉にして戦うよ」
二人に続いて、特殊対策班の裕騎が言う。
「俺は、熾神裕騎だ。キングのナイトでもある。ランクは、Aランク相当」
真白の自己紹介。
「北園真白。ここにいるのは場違いな気がする。Aランク候補生」
そして、シルフィー。
「し、ししっ、シルっ、シルフィー・ラ・マーズでしゅ。よ、よよ、よろしく、おねがっ、お願いします!」
緊張でがちがちのシルフィーが自己紹介を終え、オルビアが口を開く。
「ええっと、D支部から唯一招集されたヒクレシア・オルビアです。病気療養で戦力になりませんが、ご飯等のバックアップは私に任せてください。特に零士君」
なぜか名指しで指名された零士は、頷いた。そして、零士が自己紹介をする。
「ああ。えっと、北園よりも場違いな気がするが、D+のCランク候補生、紫雨零士だ。今回の作戦指揮、まとめ役をなぜか任命されちまった、哀れな馬鹿だ。よろしくな」
零士の実力を知らない、真白、キリエ、クロー、トーマスは不思議な顔をする。なぜこの男が、作戦指揮官なのか、と。そして、アリスが口を開く。
「君は、こういうときまで、そう言う言い方をするのかい?君ほど優秀な人間も珍しいだろうに。知らないであろう君たちに僕から教えてあげるよ。彼は『漆黒の剣天』さ。これは事実だよ。まあ、紫麗華の一件で、彼は、そう名乗るのをやめてしまったが」
と零士の方を見る。しかし、零士と桜子は、怪訝な顔と意外な顔でアリスを見ていた。それは、零士の妹の名前が出てきたからだ。
「さて、僕の自己紹介だね。はぁ、まず、何度も言うようで悪いが、僕は、キングであって、クイーンであって、ポーンでもある。キングとだけ呼ばれる筋合いは無い。さて、僕の名前は、アリス・ミラージュ」
と言ってから笑う。
「と、言いたいところだけど、これは、僕がとある絵本からつけた偽名だよ。彼は見抜いた見たいだけど、その理由は僕にも分からないかな?」
そう言って零士を見ると、零士は、オルビアを指差した。
「俺がお前の偽名を見抜けたのはオルビアが昔、『カガミの国のアリス』と『フシギの国のアリス』を読んでくれたからだ」
オルビアは、懐かしそうな顔をする。
「まあ、これを気に、明かそうか。僕の本名は、朱頂蘭」
アマリリス。そう名乗るアリス。いや、アマリリスか。
「さて、と、これで満足かな?」
零士は、聞く。
「待てよ、何で、お前が紫麗華を知ってるんだよ」
零士の低く鋭い声に、アリス……アマリリスは笑った。
「君は、五歳の頃を覚えているかい?」
「あ?何だよ、急に。覚えてねぇけど、それがなんだ?」
アマリリスは笑う。
「その頃、紫麗華は、君の妹じゃなかったのさ。そう、その頃の紫麗華は、君の姉だった」




