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紫天の剣光  作者: 桃姫
第三章
34/57

34話

 見渡す限りの荒野に、咲いた一輪の花。赤く、紅く、赫く。とても赫い、その華の名前は、「朱頂蘭(アマリリス)」。アマリリスは、綺麗に咲き誇る。周りは、荒野にも関わらず、そのアマリリスだけは、なぜか綺麗に咲き誇って居た。おかしいことではあるが、荒野の花など、誰も目もくれない。そもそも、荒野に人はいない。いるのは、蟲。蟲も、花は見ない。何も、おかしいものをおかしいと思わない。それは、果たして、どう言うことになるのか。

 いや、人が、居た。現れた、だろうか。

「あら、アマリリス。綺麗ね」

「何?この花」

 淡い桜色の髪。ゆるくカールのかかったその髪が垂れてきたので、耳に掛け、しゃがみこんでアマリリスを見る女性。大人っぽく、大きく膨らんだ胸部。少し肉つきのよい体。しかし、太っているわけではない。美しい大人の色気を持っている。

 その横に居るのは、赤い目を持つ、黒髪の女性。鋭い目つきと肩ほどで切りそろえた髪。胸はあまりない。大きな魔装太刀を背負う、その姿は、一人の剣士を髣髴とさせる。いや、「和」の武士と言う雰囲気か。黒い羽織を着ている。

「もう、ネオンは、情緒が無いのね。アマリリスよ」

「アマリリス?聞いたこと無いわよ、リオン」

 ネオンとリオン。二人は、しばらく花を見て居たが、背後からの声で、見るのをやめる。

「そろそろ、蟲が動き出す。動こうぜ」

 青年が言った。

「レオン。そう。もう、そんな時間?さあてと、この場所ごと潰すとしますか」

 ネオン……、赤羽音音は、魔装太刀・「ユキカゼ」を抜き、魔力を大量に込める。

「叢雲流・奥義『十束』」

 白い魔力の斬撃が十字に地面に落ちる。蟲は、来る前に、切り裂かれた。十字の斬撃に。

「狩り残しはやめてくれよ」

 レオンが魔装大剣・「エクスカリバー」を抜き、駆けて、蟲のあまりを全て切り裂く。

「これは、私の出番無しかしら?」

 リオンは、しゃがんで、両手の上に顔を乗せ、暇そうに、眺めている。

「ちょっと、サボってんじゃないわよ」

「え~、嫌ですよ~」

 そして、彼女達は動き出す。


 ――「死の音を奏でる者(おわりのうた)


 世界を揺るがすその組織。それは、気づいた時から始まって居たのだ。


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