第四話:初任務
ええと………とりあえず謝罪から。
投稿遅れてすみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
実は39度オーバーの熱をだしまして。
言い訳です、すみません。忘れてました。
やばい、ストックがなくなってきた(泣)
『内容:小鬼の殲滅』
全然『こんなもん』じゃねえよ!
横でしばらく頭上にハテナマークを浮かべていた千尋が、「なるほど!」という感じで手をポンッと叩いた。どうやらこの女の子、俺が何でビックリしているのか分からなかったらしい。
「正直、大河は運がいいと思うよ?」
「どこが!?」
「だっていきなり経験が積めるじゃない」
「それはいきなり死の危険性があることと同意義じゃねえか!」
「それが運がよかったって言ってるんだよ」
「は?要するにテメエは死ぬ確率が高ければ高いほどいいって言いてえのか!」
ついつい喧嘩腰で怒鳴ってしまう俺。だが俺は間違ったことはしていないと思う。死ぬ確率が高くて悪いことはあってもいいことはないだろう。
千尋の表情は変わらない。あくまで落ち着いた表情をしている。
そのことにまた苛立ち、怒鳴り付けようとする俺。だが怒鳴らなかった。いや、違う。怒鳴れなかったのだ。
千尋が本気で怒っていることが分かったからだ。
表情は変わっていない。それなのに怒気がひしひしと伝わってくる。
千尋はそのまま静かに口を開いた。
「大河、勘違いしないで。僕は死ぬ確率が高い方が良いなんて一回も言ってない。
ただ、初めはこれくらいの危険度で丁度いいと思っただけだよ」
俺は一言も喋れず、聞き手にまわっている。千尋は続ける。
「怪しいから調査、みたいなものだと現場の緊張感が経験出来ない。それに、万が一その調査で高ランクの霊なんかと出会ったら……後に訪れるのは『死』だけだ」
「……………」
俺は、自分の考えが浅はかだったことを知った。千尋は俺の身を案じてそう言ったのだ。
なのに俺はその言葉を表面だけで受け取り、勝手に激昂したのだ。
「ゴメン……千尋」
俺は千尋に謝った。千尋に申し訳なかった。何より、馬鹿な自分が恥ずかしかった。
千尋は一瞬穏やかに笑うと、いつものニカッとした笑みに戻り、こう言った。
「あーあーあーあー………何だよ急にシンミリしちゃってさ!
ちゃっちゃと仕事を終わらせてご飯食べよ!」
まだ会って少ししか経っていないが、千尋は凄くいい奴なのだと分かった。だから俺は、千尋の気遣いに答える。
「だな!あー、また肉が喰いてえ!」
アッハッハッハと横で千尋が笑った。
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「……で、小鬼って何なんだ?」
「まあそうなるよねー………」
俺と千尋は、仕事の場所に向かっている最中だ。歩いて30分くらいのところらしい。
「鬼って聞いて、大河はどんなイメージをする?」
「鬼、鬼、そうだな……角が生えてて、でかい金棒を持ってて、寅柄のパンツを履いてて…」
「はあ、それじゃあ絵本の鬼じゃないか………」
「だってよぉ、鬼についてちゃんと考えたことなんてないしさ……」
「まあそうだよね……。
実は鬼は化け物というよりは、人間とは進化の過程で別れた人間の亜種とも言える存在なんだよ」
「は?」
「要するに、人間とそんなに変わんないんだよ」
鬼が……人間の仲間だと?
鬼のことなんて、さっきも言った通りほとんど知らない。せいぜい知ってるのなんて絵本に出て来る鬼くらいだ。そして絵本の鬼は大体、人間に害を及ぼす。
町を襲ったり、金目のものを盗ったり、若い女を盗ったり………。
要するに、悪者なんだ。
その鬼が……人間の亜種だって?じゃあ何でそんなに──
「何でそんなに悪者扱いされてるのかってなるよね、普通は」
「あ……ああ」
「ところで大河、人間はどうしてこんなに脳を肥大化させたか知ってる?」
「なんだよ急に……確か、人間の祖先は初めは木の上で暮らしていた。そんで、地上で生活しし始めたときにこのままじゃ喰われるだけになるってことになった。だから頭をよくするために脳を肥大化した………って感じじゃなかったか?」
「うん、大体そんな感じ。じゃあ他の肉食獣みたいに体を大きくして、筋肉を増やしたやつはいなかったのかな?」
「………」
「それが鬼。鬼は脳を進化させるのをやめた代わりに強くなったんだよ」
「でもそれじゃあ何で世間一般では空想の生き物扱いされてるんだ?」
「ん?人前に姿を現さないし、絶滅寸前だからだよ」
「そうなのか?」
「うん、過去に人間が殺して殺して殺しまくったからね」
「…………え?何で……」
まさか肉が美味かったわけじゃあるまい。まさか人間の育てた家畜を襲ったとかか?
事実、オオカミは鹿を襲っていたから乱獲されて絶滅したわけだし。
「そんなの決まってるじゃん。怖かったからだよ」
「怖かった?」
「だって鬼は地上で生活してるし、頭も普通の猿よりはよかったし、それでいて凄く強かった。鬼は人間にとって恐怖の対象にしかならなかったんだよ」
「…………」
ありえない話ではない。生活する範囲は同じで、尚且つ自分達より強い。人間達は種を存続させるために戦ったのだろう。
鬼と人の争いは人間の勝利に終わり、鬼は人間の寄り付かない地域に逃げるしかなかったのだろう。
「俺達は今からその僅かな生き残りを殺しに行くのか……?」
普通だったら絶滅危惧種に指定されたりして、保護されるべきだろう。
「そうなるね」
「……断っちゃ駄目なのか?」
正直、俺は鬼を殺したくなくなっていた。僅かしか残っていない鬼達を、これ以上追い詰めたくなかった。
だが答えは残酷だった。
「無理だね。その瞬間僕達は消される」
「消される……だと?」
「そう、僕達は国に逆らえない。国の命令は絶対なんだ」
「何でそんな………」
そうすると千尋は自分の胸にトンと手を置くと、とんでもないことを言った。
「僕達の体の中には、政府関係者がいつでも起爆出来る爆弾が仕掛けられてるんだよ。
当然、大河にも………ね」