あとがき
初めましてな人は初めまして。いつもお世話になってる人は毎度どうも。
野菜嫌いで大雑把野郎な創作活動人。てっちです。
さて、作品説明にある通り、この作品は高校時代に書いたものの再リメイクです。「再」と書いているのは、大学時代にも一度リメイクしたからなんですが……。
それは一旦さておき、如何でしたでしょうか、「Black Memories~復讐の刻~」。
最初にあとがきから読んでしまう人のために改めてざっくり説明しますと、この作品は昔いじめに遭っていた主人公・鈴蘭春香が「復讐」を遂げる過程と結末が描かれています。
作品ページを開いてくれた読者は、恐らくその多くがいじめを経験してきたことでしょう。心中お察しします。何故なら、俺自身も同じ経験があるから。というより、そういう経験があったからこそ、この作品(厳密にはこれの再リメイク元)を執筆することになった訳で(勿論いじめ経験の無い人も、この作品を通して現状を知って頂ければ幸いです)。
年配の人達の中にはいじめをそこまで深刻に捉えていない人もいます。彼らが学生時代だった頃のいじめというのは、身内だけで解決出来る範囲だったからです。いじめられている側が「自殺しよう」と思うまでに、所謂ガキ大将な子がそれを止めに入るのが解決の代表例だったようです。
変わって、現代。そのようなガキ大将的役割を果たせる子が一体どれだけいるのでしょうか。自分さえ良ければそれでいい。同級生など、ただの蹴落とす対象。それが現代のいじめを陰湿化且つ長期化させている原因だと俺は思っています。そういういじめが、春香や奈枝美が受けてきたものであり、俺が受けてきたものでもあります。
いじめについての解説本等を貴方は読んだことがあるでしょうか。真剣に読もう、って思わないと中々頭に入ってこないですよね。学生ぐらいの年頃だと尚更だと思います。
そういう読みにくい形式ではなく、キャラクター小説、現在で言うライトノベルのような形式で自分のいじめ観を説明出来たらな、と生まれたのがこの作品です。春香、京子、奈枝美、葉月。彼女達を見てラノベの登場人物のようだと思ってくれたならば、俺の思惑が上手くいっているということです(既に「キャラ立ちもしており、魅力的です」という感想を頂いていますが、まさにそれがそうだと思います)。それぞれのいいとこ取り(?)って感じでしょうか。
以下、暫く余談が続きます。
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先程も書いた通り、初めて書いたのは高校生の時でした。その時はキャラの名前が、
鈴蘭春香→畑野春香
花町京子→関口エレン京子
小野久→小村久(茜も同様)
となっており、更に春香の同級生兼元恋人して加賀一郎なる人物まで登場していました(pixiv版なかがきその1を参照のこと)。当時は当時なりに必死に書いたつもりですが、今から見れば「何と稚拙な作品か」と溜息が出る程のものでした。大学時代にも一度書き直しましたが、あまり根本的な部分(登場人物含む)は変わっていませんでした。
そして、今回の再リメイク。プロットを、リメイク開始までに書いた短編やメモ書きなどの要素を全て取り込んだ上で一から書き直しました。結末もそれまでの2作とは大きく変わっています。
作中作『君だから』も、元は当時mixi上などで批判しまくった某ケータイ小説()が元ネタです(携帯から『小説家になろう』のページを開いた時にその元ネタ作品が広告で出た時には、心の中で「皮肉か!」って思い切り突っ込んでやりました)。
『君だから』に限らず、今回のリメイクにあたって元ネタの存在するものが多数あります。
まずは登場するキャラクターについて。春香サイドの人間は主に地元ローカル線・神戸電鉄から取っています。
鈴蘭春香→鈴蘭台
花町京子→フラワータウン
「小野」「横山」「木幡」「丸山」などはそのままですね。それ以外だと、
綾小路海→「綾小路」はあまりいいイメージの無い名字から適当に。「海」は元になった人間の本名を逆にしたもの。
瀬戸幸一、森川健太、東岡美弥子→俺にとっての「奴ら」の名前を捩ったもの。担任の「駿河」も同じ要領。
和哉→父の名前から1文字拝借。
裕美→友人の妹の名前から読みの一部を拝借。読みが2文字という点は母と同じ。
大体こんな感じです。
また、舞台の一つである「神木市」はお察しの通り、地元神戸市から(矢島町の方は特にありません)。春香が京子達と歩いた商店街はほぼまんま三宮センター街がモデルです。
更に、矢島第一高校に赤山学院高校の「男子校」という要素を足せば我が母校になります。そこでお世話になった教師も、「桑マン」「青枝」等の形で出演させています。
春香達が使っている電車は「矢神鉄道」といい、そこにも色々とネタを仕込んでいます。各線の駅名を以下に記載しておきます。
(本線)笹野―瀧ヶ谷―矢島中央―中山橋―田口岬―矢島北口―花池―神木商店街―矢神山田―神木市役所前―大泰―千葉―湊山
(須供線)矢島中央―須供町―須供温泉
(木追線)矢島北口―矢島ニュータウン―ニュータウン西―矢神天宮―天宮北―秋原―木追
それから、「元ネタ」とは少し違いますが、キャラの台詞や地の文の中には、Twitterでの自動postの内容などのネタ台詞をそのまま或いは一部捩ったものがあります。以下、その一覧。
・「春香……もう少し寝ていなくて大丈夫か?」「大丈夫、問題無いよ」→エルシャダイより、「そんな装備で大丈夫か?(ルシフェル)」「大丈夫だ、問題無い(イーノック)」
・「おぉっ、ちょっと見てない間にまた成長しましたなー。念願の美しいおっぱいを手に入れたぞ!」「殺してでも……じゃなくて! ちょっと、やめっ……男子に見られるって!」→ロマンシングサガより、「ねんがんの アイスソードを てにいれたぞ!(ガラハド)」「殺してでも うばいとる(主人公/選択肢)」
・何、気にすることは無い――とでもいうような口調で少年は言った。→テイルズオブデスティニーより、「何、気にすることは無い(ウッドロウ)」
・天気予報など元からあてにしていなかったが、自分の感覚に任せるのもまた愚鈍だったか。→ファイナルファンタジーⅣより、「あてにしてるぜ カイン(セシル)」「フッ まかせておけ(カイン)」
・「……優しいんだね、アンタ。そういうとこ、春ちゃんにそっくり。これも生き物の性、なのかな」→魔界塔士Sa・Gaより、「これも いきものの サガか(かみ)」
・少なくとも春香のような優しい少女にとって優しくない世界だった。→ヨルムンガンドより、「この世界は優しい君に優しくない(ココ・ヘクマティアル)」
・「……『諦めたらそこで人生終了』、だったか?」→スラムダンクより、「あきらめたらそこで試合終了ですよ(安西先生)」
・「因みにアタシにとって春ちゃんは人生!」→「CLANNADは人生(2ちゃんねらー)」
・「おはよう春ちゃん、昨晩はお楽しみでしたね!」→ドラゴンクエストより、「ゆうべは おたのしみでしたね(宿屋の主人)」
・「とにかく、もうそんな時のことはさっさと忘れて前向きに笑って生きていけばいいと思うよ」→新世紀エヴァンゲリオンより、「笑えばいいと思うよ(碇シンジ)」
・「話を聞いていたかね春ちゃん? いや、聞いてなかったね。1000m望遠の目をしてたから」→ヨルムンガンドより、「話を聞いていたかね? バルメ。いや、聞いてないだろう。1000m望遠の目をしていたから(ココ・ヘクマティアル)」(この台詞自体にも元ネタがあるそうだが失念)
・――みんな違ってみんないい。自分を傷付けてくる人は例外だけど。→「すずと、小鳥と、それからわたし、みんなちがって、みんないい(金子みすずの詩)」
・「ウボァー、もう訳分かんなーい! 何をどうすればいいの、ここは何処私は誰ぇぇぇ」→ファイナルファンタジーⅡより、「ウボァー!(こうてい)」
・「そう? 有難う。じゃあ、お邪魔するよ」「邪魔するんだったら帰ってくれ」「はいはーい……って――」→このへん!!トラベラー(関西版)より、「邪魔するでー(チュートリアル徳井)」「邪魔するんやったら帰ってー(ノンスタイル石田)」「あいよぉ~……どついたろか!(徳井)」
・「いやいやいや、そんな訳無いでしょ。旧オランダじゃあるまいし……」→ラスト・ピュリファイより、「いつ結婚したんだ、あたし達は。オランダは、もうなくなったよ(流鏑馬淳)」
・今、春香の心では深淵たる憎悪と漆黒の殺意が渦巻いていた。→Twitter上でバルバトスbotに使っている攻撃術の冠詞が4つ連続して(「深淵」「憎悪」「漆黒」「殺意」)入っている。それぞれ「深淵のストーンブラスト」「憎悪のヴァイオレントペイン」「漆黒のブラックホール」「殺意のメイルシュトローム」。
・「何その瞬間移動するビームでも撃ちそうなポーズ?」→冥王計画ゼオライマーの「次元連結砲」のこと。
・「どう見てもこれ春ちゃんのことだって、間違いない!」→「間違いない(長井秀和)」
・「それなら仕方ないね」「彼氏に用事じゃねぇ。じゃあ、アタシらだけであんかけチャーハンでも食べに行きますかね」→ガチムチパンツレスリングより、「仕方ないね」「あぁん、あんかけチャーハン?」(どちらも作中での空耳)
以上です。
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余談ここまで。
ともあれ、これで俺の「復讐」も終わりです。……そう、これは春香の「復讐」であると同時に、俺自身の「復讐」でもありました。「奴ら」を殺してやる――そう思い始めて数年、結局会えないまま大人になってしまいました。
一応、東岡の元ネタになった人物とは前いた会社の入社式の日に偶然再会しています。再会したのがそんな日でさえなければ、俺は本気で彼女を殺していたかもしれません。だから、この作品はその代わりです。この現実世界に『いじめ被害者救済法』は存在しません。森川と付き合っているというのはこの作品で付け加えた設定(現実世界でどうなっているかは知りません)ですが、それが結果的に春香の殺意に結びつくことになり、今となってはあの再会も無駄じゃなかったなと思っています。
さて、この作品の話はここまでとさせて頂きます。
次回作は魔法がバンバン出てくるようなファンタジー物(但し舞台は本作と同一)にしようかと計画しています。またそれを書く時にでもお会いしましょう。
さよなら、さよなら……さよなら。