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序
この世界には対になる世界がある。
この世界には陽、即ち肉体の部分が存在し、対の世界には陰、即ち精神が存在する。
魂はこの二つを繋ぎ、境界の上に中立を守っている。
普段対の世界を我々が感じないのは、肉体の五感すべてがこの世界にあるからだ。
ではもしも対の世界で死を迎えてしまったとすれば。
精神の欠如を補うため、魂且つそれを司る肉体の一部は対の世界へと引きずられる。
そしてこの世界を主に存在する肉体との均衡を保とうとするだろう。
されば対の世界を我々は実感できるようになるのではないか―――