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エコー・イミューン ―終末世界の守護者―  作者: 泉水遊馬
浦波ビレッジ

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第18話 鋼の墓場

米軍基地のドックに、再び泉透と鈴木猛、綾野司の三人が立っていた。

今回は岩瀬源三も同行し、船体構造の専門家として加わっている。


「よし……本気で中に入るぞ。」

泉は落ち着いた声で言った。


「セキュリティが生きているのは確認済みだ。

無理に壊すな。可能な限り解除する。」


巡洋艦の舷側から慎重に乗り移り、外部ハッチをこじ開ける。

内部は薄暗く、埃と金属の匂いが濃く立ち込めていた。


非常灯が所々で弱々しく点滅している。

最初にぶつかったのは艦内セキュリティシステムだった。

霧島零が事前に用意したハッキングツールと、鈴木が持ってきた旧式のバイパス機器を使って挑むが、


「くそっ……まだ生きてる。

AI監視ルーチンが残ってるみたいだ。」



鈴木が額に汗を浮かべながら呟いた。零からの無線が途切れ途切れに入る。


「……3番回線を切って、物理遮断を。

私のアルゴリズムを……入力……」


泉は無言で工具を渡し、鈴木と綾野が交代で作業を続けた。

何度も警告音が鳴り響き、非常用シャッターが降りかける危機もあった。

岩瀬源三が太い腕でドアを支えながら「焦るな、慌てるな」と繰り返す。


約40分に及ぶ苦戦の末、


「……解除、成功。」


鈴木が大きく息を吐いた。艦内のメイン電源が一部復旧し、廊下の照明がぼんやりと灯った。


「では、内覧といこうか。」


泉透が先頭に立ち、慎重に船内を進む。


ブリッジ(艦橋)

広大な窓と無数のモニターが並ぶ。

AN/SPY-1レーダーのメインコンソールはまだ生きていた。綾野司が操舵席に座り、軽く触れてみた。


「……これ、俺が動かせそうだ。」



発電機室

4基のガスタービンエンジンが鎮座している。


宮本電次が後に来たら狂喜しそうな光景だった。

岩瀬源三が太い声で言った。


「こいつが半分でも動けば、村の電力は当分安泰だな。」


通信・衛星管制室

霧島零が最も欲しがっていたエリア。

軍用SATCOMアンテナの制御パネルとデータリンク装置が無傷に近い状態で残っていた。

泉は静かに頷いた。

「零のECHO-NETが本物になる……これで村の目がかなり遠くまで届く。」



医療区画・淡水製造装置

手術室レベルの設備と、大型海水淡水化装置も確認。

白峰凛が喜ぶ顔が容易に想像できた。


泉は一通り見て回った後、薄暗い通路で立ち止まった。


「……予想以上だ。

ただし、完全復旧には相当な時間と人員が必要になる。

鉄狼団に嗅ぎつけられたら一気に狙われるリスクも高い。」


鈴木が興奮を抑えきれずに言った。

「でも、泉さん。これを手に入れたら村は一気に次のステージに行けますよ。」


泉は静かに微笑んだ。


「ああ。やる価値はある。

ただ……皆が無事に戻れるように、慎重に進めるぞ。」


四人は船内から一旦退出し、夕暮れのドックで作戦の第一段階終了を報告した。


巡洋艦は、静かに、しかし確かに浦波ビレッジの未来を大きく変える可能性を秘めて、そこに横たわっていた。



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