2話 説明する
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私立華凛主真高等学校。お母様やお父様をはじめ、国内外で活躍するにっぽん人の多くが卒業した、超有名校である。
校風は、「にっぽんを支える“本物”たれ」という、かなりの尖りっぷり。
その校風通り、各地から今後この国を支えるであろう厳選された天才たちを引っ張ってきて、世界と戦えるように徹底的に才能を磨き上げる。
同時に、今現在にっぽん国に影響が強い名家の御子息やお嬢様たちも集め、その家のブランドや権威を決して途絶えさせないように育て上げる学校でもある。
私のような名家は、セレブ科。天才は庶民科に分けられているという、嘘みたいな学園なのだ。
そんな嘘みたいな高校でも、そのカリキュラムの内容は本物だ。
私の在籍するセレブ科には、超実践的な教育はもちろん、かなり高いレベルでの勉学も求められる。
複数の言語を流暢に話す。大学レベルに一歩踏み込んだ計算問題や証明問題。古典の原文読解、現代思想評論の精読などは、最低限の教養らしい。
これらについてこられないと、どんな名家の御子息やお嬢様だろうが、決して卒業することはできない。
私はこの勉学の方は、かなりギリギリだ。数学だけなら余裕なのだが、多国語が平均点よりちょい下で、国語が相当足を引っ張っている。名門大学の文学部教授の娘なのに、恥ずかしい限りだ。
……昔から、国語、特に古典・漢文分野が苦手なんだよね。小中学校レベルならまだ誤魔化せても、高校レベルになると誤魔化しが効かなくなってきて困る。
一方、私は昔から数学だけは得意だ。最初は「数学ってやり方によっては楽できるから助かる」と、要領よく最低限だけ勉強していたのだが……いつの間にか数学沼にハマり、他の教科より圧倒的に数学に時間を割いて勉強していた。
私、脳内で覚えた様々な公式の中から、「正解」を引っ張り出すのが楽しいんだよね。
この事をお母様に話すと、数学に少し苦手意識のあるお母様が、気持ち悪いものを見る目で見てきた。そんな蔑むような目で見られたら……やめてよもう、ムラつくじゃん。
その後、「ああ、そこはお父様に似たのね……」と、一応納得はしていた。
ここまででもかなり尖った高校だが……この学校の一番の特徴はそれではない。
カリスマレベル。
この学校では、セレブ科の各個人に、そんな厄介なものが割り振られている。
この学校に入学したとき、校長はこう語った。
『ただ勉学ができて、ただ器用に私たちが求めるレベルを超える人材など、このセレブ科には不要だ。諸君らが“本物”であるならば、カリスマレベルで示せ』
要は、求心力、リーダーシップ、人を惹きつける魅力などで、自身が本物であることを示さねばいけないというわけだ。
それを示す指針が、カリスマレベルという数値だ。
このカリスマレベルが一定の値に達しなかったセレブ科は、どれだけ優秀であろうが、決して進級、卒業することはできない。魅力が乏しいセレブは、ここを卒業するのが難しいのだ。
このカリスマレベルの数値を上げるのに、「庶民科のみんなからの投票」が必要になってくる。月に一度、庶民科のみんなが自由に投票し、その票数によってカリスマレベルが決まる仕組みだ。
このような仕組みがあるので、庶民科とセレブ科はかなり密接に交流している。
そういうところからも、この学校は私たちセレブ科に、天才たちへ金銭的なサポートをしてほしいという期待が見え隠れすることがある。ただ天才たちだけを集めただけでなく、セレブたちも集めたのには、こういう狙いがあるのだろう。
ダンスパーティーも、学校が用意した交流の一つだ。
セレブ科のみんなは、年に一度、ダンスパーティーの主催を義務付けられている。
まあ、義務付けられていなくても、ほとんどの人は進んで似たような会は開くけどね。
だってこれは、庶民科とセレブ科の交流イベントかつ、カリスマレベルを上げる絶好の機会なのだから。
このダンスパーティーでは、参加者に「赤い薔薇の造花」が配られる。この日だけは、その花びら一枚一枚が「一票」となるのだ。
参加者から直接もらった花びらの数が、カリスマレベルに大きく影響を与えるので、みんな必死でパーティーを主催するってわけだ。
お姉様などはこの学校で一番のカリスマレベルがあり、余裕で進級、卒業できるが、私は違う。というか、お姉様が例外なだけで、ほとんどのみんなが私と同じだろう。
お姉様、ほんとに凄いんだよ。にこりと笑い、コクリと頷く。それだけで、その場はお姉様の風が吹く。庶民科のみんなはお姉様を見て腰を抜かすし、泡を吹いて気絶する人までいたって言えば、伝わるかな。
お姉様に慣れているセレブ科の奴らだって、お姉様が纏うお嬢様オーラに、それはもうたじたじだ。実際に「おっふ」って言うやつ、初めて見たもん。
そんなお姉様自身は、「上ばかり見る癖」があり、あまり自分に自信がないものだから……かなちゃんはお姉様の全てが、愛おしくて仕方がないのだ。
あー、マジムラつく。双子だろうが関係なく、全然余裕でちゅーしたい。
……ていうか、一度本気でちゅーしようとしたら、すっごく怒られたんだけどね。
あの時の真っ赤になったお姉様、すっごく可愛かったなあ……ぐへへ、じゅるり……
おっと、話がそれちゃったね。
だから私は、ノリで赤い薔薇の造花をくれるように、「アイドルライブ」なんていう邪道を行った。
結果は大成功。みんな熱狂的な空気に飲まれ、じゃんじゃん花を投げてくれた。あの花は持ち帰れば、お金やその他便利なアイテムに変えられるのにも関わらず、大盤振る舞いしてくれて、本当に助かった。
流石のかなちゃんも、自らのアイドル力におそれをなしたな……
まあでも、お母様からは常に「あなたはアイドルにある意味向いているけれど、一気に転落する資質もしっかり兼ね備えているから、絶対にアイドルにだけはなるな」と口を酸っぱくして言われているんだけどね。
それに加えて、一応お姉様と顔がそっくりではあるから、私が有名になれば、お姉様にまで迷惑がかかる可能性がある。だから、そもそもダンスパーティーでしかアイドルはやるつもりないんだけどね。
でもまさか、そのダンスパーティーですらアイドルを禁止されるとは思わなかったよ。あれのおかげで確実に進級できたと言っても過言じゃないのに……ほんと、これから先、どうしよう。
感想、ツッコミ等、じゃんじゃんお待ちしています。




