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4.大親友に会いに

「……サラ、やっぱりおれは遠慮したいんだけど」


 草木がうっそうと茂る森の中、数歩後ろを歩いているジャンがぼそりと言った。


「大事な婚約者をたったひとりで森の中に放置するって言うの?」

「いや、だって、いつもはひとりでうろついてるじゃないか」


「結婚前の大事な時期なのに、間違って何かが起こったらどうするの?」

「それは困るけど、おまえの友だちがいるんなら平気だろ」


「その友だちに紹介したいって言ってるの」

「おれは別に会わなくても……」


「ジャン」


 足を止めて振り返ると、わたしにぶつかりそうになったジャンが慌てて立ち止まる。

 腰に手を当ててジャンに迫ると、ジャンが上半身を後ろに引いた。


「な、なんだよ」


 ジャンの翡翠色の瞳が揺れる。

 前髪の奥に隠れがちなので気づいている人は少ないかもしれないけれど、実はジャンの瞳は澄んでいてとてもきれいだ。


「わたしの大親友に挨拶もせずにわたしを嫁にするつもり?」


 実はラティとジャンを引き会わせるのはまた別の日でもよかった。

 ジャンの言うとおり、わたしひとりでもなんの問題もなくラティに会える。


 でも、ジャンと一緒にでかけるのはすごく久しぶりで、できればこのままもっと一緒にいたかった。


「え? いや、そういうわけじゃ……」

「じゃあ、行きましょう。ラティはもしかしたらやきもちをやいているのかもしれないわ」


「幻獣が? もしかしておれ、かなりやばい立場なんじゃ……」 

「報告しないまま結婚してしまうほうがやばいかもよ?」


 本当のところ、ラティはちょっとすねている程度だろうけれど、ここはちょっとジャンを脅してみる。


「えぇ?」


 ジャンの腰が引ける。


「大丈夫。わたしが守ってあげるから」


 にっこりと笑いかけると、ジャンは空を仰いで長いため息を吐いた。

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