1.大親友からの手紙
朝起きると、枕元に一通の手紙があった。
開きっぱなしの窓からは、そよそよと心地よい風が吹き込み、レースのカーテンが揺れている。
封を開けるとほのかに甘い花の香りが漂う。中には二つ折りの上質な紙が入っていた。
いつの間に? いったい誰が、なんのために?
震える手で手紙を開く。
『ラルナート家のじゃじゃ馬娘サラへ
随分とご無沙汰じゃないか。君が会いに来てくれないものだから、ぼくのほうから出向いてしまったよ。
しかし遠路はるばるぼくがやって来たというのに、君は布団を蹴り上げ、お腹を出してすやすやと眠っている。
あまりに大胆かつ気持ち良さそうに眠っているものだから起こすのが悪いような気がしてしまってね。
今夜のところは、君の大事なものをいただくだけにしておこう。
返して欲しければ、ぼくに会いにおいで。
君の大親友マティより』
「大事なものっ!?」
わたしは部屋の中をぐるりと見渡した。
なにか無くなっているものがあるはず。
わたしの大事なもの――ジャンからもらった木彫りの動物の置き物、ジャンからもらった髪飾り、ジャンからもらった耳飾り、ジャンからもらった手紙の数々。
それと、それと……。
サイドボード、机の引き出し、ドレッサー、クローゼット。
ありとあらゆるところを確認する。
――ない。無くなっているものが、ない。
どういうこと?
わたしは茫然と立ち尽くす。
目に入った姿見には、青い瞳に腰まで届くぼさぼさの金髪、そして夜着を着たまま立ち尽くす間抜けなわたしの姿が映っていた。




