02-48.グダグダ作戦会議
「答えが出ましたのね」
「覚悟を決めたのだな」
うん。決めたよ。二人にも恋人に加わってもらう。もちろんティエラは本人の意見も聞いてみてからだけど。
「まだわかっていませんわね。カゲリ」
「口説き落とすのも器量の内だ。影裡殿」
えぇ……。
「作戦会議ですわ」
「微力ながら力を尽くそう」
あ、はい。
……なんか意外だね。二人がこの手の話題に積極的なの。
「恋バナがですの?」
ううん。そうだけどそうじゃなくてさ。二人ってどちらかと言うなら私を独り占め……というか、一対一の時間を大切にしたい派だと思ってたからさ。それが少なくなる選択をそこまで強く推してくるとは思わなかったんだよ。
「負けるつもりはありませんわ」
「影裡殿を信じているからだ」
そっか。
「他に疑問はありますの?」
「今のうちに全て吐き出しておくといい」
疑問……。なら一つだけ。
「「はい」」
……二人はさ。帰りたいと思う? 元の世界に。
「ええ。必ずカゲリを帰してみせますわ」
そうじゃなくて。アリシアちゃん自身はさ。
「もちろんカゲリと共に帰りますわ。これは決定事項です」
そっか。うん。心強いよ。
凜火ちゃんは?
「皆と共に在れるのならどちらであっても構わない」
それは……。
「帰りたくない理由があるわけではない。そこは人並みだ。ただ、今を惜しむ気持ちも強いだけだ。カゲリ殿と寝食を共に出来るこの時間が愛おしいのだ。元の世界に帰ればその時間が失われるだろう」
学校をサボりたいってこと?
「家が厳格でな。いずれ婚約者も充てがわれるだろう。影裡殿と結ばれる道は間違いなく存在せんだろう」
そっか……。
「だからといって足を引っ張るつもりはない。皆が帰るのなら向こうで努力を続けよう。いずれまた影裡殿の前に戻れるようにな」
ならその時は私が攫いに行ってあげる。
「ふふ♪ その言葉を信じよう♪」
うん。任せて。絶対に約束を果たすよ。凜火ちゃんは私のものだもん♪
「ならば凜火と」
うん♪ 凜火♪
「ワタクシもですわ」
愛してるよ♪ アリシア♪
「~~♪」
アリシアが抱きついてきた。グリグリと頬ずりしながら全身を撫で回してきた。
「アリシア殿。暫し待たれよ」
「……そうでしたわね。話を続けましょう」
話が終わったら襲われちゃうのかしら?
「「♪」」
あらま。良い笑顔。
「巻きでいきますわよ」
「うむ」
燃えてるね。
「フェアリスの件は心配要りませんわ。彼女は二つ返事でカゲリの告白を受け入れるでしょう」
「違いない」
まあね。フェアリスちゃんの気持ちは十分知ってるよ。
「問題はティエラの方ですわ」
「彼女の本心は分かりづらい」
正直そういう気持ちは無いと思うよ。あったとしても軽い憧れとかその程度だと思う。むしろ私たちがイチャイチャしているのを眺めて楽しむ気持ちの方が強いんじゃないかな
「カゲリの言う通りですわね」
「それは間違いあるまい」
ならどうする? そもそも無理やり引き込む必要なんて本当にあるのかな?
「ありますわ。興味が無いわけではありませんもの」
「ティエラ殿は一歩引いているのだ。我々を上位の存在と崇めるが故にな」
加わるのは烏滸がましいとか思っているから自分が加わる光景は想像すら出来ないんでいるんだね。
「そのもう半歩くらいは進んでいると思いますわ」
「それ故の憧れだ」
なるほど。
「時間の問題ですわ」
「見せつけ続けるのも酷だろう」
もう少し自重するとかどない?
「なりませんわ」
「実現不可能な未来を選択肢とは呼ばない」
そすか。
けどなぁ。大人の目がなくて、家が出来て、さくちゃんの隠蔽結界もあるからって、最近の私たちは羽目を外し過ぎてると思うんだよ。もう少し年相応に大人しい恋愛を心がけるべきだと思うんだよなぁ。
「今更我慢なんて出来ますの?」
「影裡殿も言えたことではあるまい」
だからこそでしょうに。こういう事こそ私が率先して舵を切っていかないと。
「断固拒否します」
「影裡殿に休んでいる暇はない」
……なるほど。私は毎日いつでもイチャついてる気でも、皆はその十分の一なのか。王になれだのなんだのも、つまるところはそういう不満やすれ違いが原因なのかしら。
「否定はしませんわ」
「我々はいつだって触れ合いたい」
だからティエラも巻き込むと。
「遠慮したくはありませんの」
「必要なことだ」
開き直ってらっしゃる。
「カゲリだって開き直ると誓ったではありませんの」
「故にこそだ」
そうだった。そもそも自分で言い出したことだった。
……腹をくくろう。今度こそ。




