02-42.まだまだ
第一回炊き出しパーティーは無事に終わりを迎えた。村人たちからは大好評だった。次の開催を心待ちにする多くの声が寄せられた。けどダメだ。年一か、何かの記念やご褒美にするつもりだから。悪いけど出し惜しみさせてもらうよ。ただでさえ物資は限られているからね。特別感を損なうと何かあった時に困るからさ。生かさず殺さずを徹底させてもらうとしよう。フフフ。
「何悪い顔してるのよ。似合わないわよ?」
うっさいやい!
「カゲリちゃんって全部ダダ漏れだもんね。悪いことなんて出来ないよね」
そこは普通に良い子だからって言ってほしかった。
「カゲリちゃんは良い子に決まってるじゃん♪」
ありがと♪ さくちゃん♪
「けれど影裡様の調教には需要がある」
何を期待しているのかな? リーリャちゃんは。
「呼び方」
リーリャ。
「きゃぅん♪」
リーリャが犬なの? それは解釈不一致だよ。
「じゃあカゲリちゃんは何の動物に近いと思う?」
う~ん……強いて言うなら兎とか?
「リーリャちゃん白いもんね♪」
綺麗な銀髪だよね♪
「献上する」
待て待て待て! ダメだよ切っちゃ! もったいない!
「なら伸ばす」
それは楽しみだね♪
「愛でて」
喜んで♪
イチャイチャ♪ らぶらぶ♪ グリグリ♪
「リーリャさんの扱いだけ少し乱暴では?」
「きっと灯里さんの影響よ」
リーリャってお人形みたいだもんね♪ スリスリ♪
「♪」
ほんと、サイズ感がちょうど良いのだ。腕の中にすっぽり収まって♪ うふふ♪ 可愛い♪ もうずっとギュってしていたい♪ いいよね♪ これ私のだもんね♪
「ぁはぁ~♪」
雪のように溶けてしまった。
「やっぱり悪人だわ」
「今のカゲリちゃんは悪い子だった」
あはは♪ 恐れ入ったか♪
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「村人たち同士の仲はあまり改善されていませんね」
喉元すぎればってやつだよね。同じ釜の飯を食えばもっと仲良くなるかと思ったのに。一時的には同じように盛り上がっても、落ち着いてしまえば元の関係に戻ってしまうものらしい。皆仲良くって伝えている筈なんだけども。
「早速信仰内容にもズレが生じているようです」
どうしてそうなるのか。
「他に娯楽が無いからよ」
だから今最もホットな話題である、神様について延々と考えたあげく、自らの信仰こそが最良であると主張したくなるんだね。
「要約ありがとう。つまりはそういうことよ」
人間が考えることはどこでも一緒なんだね。折角の神様の御業も承認欲求の口実にされるだけだなんて堪んないよ。
「影裡さん、珍しく辛辣ですね」
そりゃあ私の石像も関係してますし?
「もしかして根に持ってます?」
持ってますとも。けどそれはそれとしてだよ。
「と言いますと?」
皆があれだけ頑張ったのに、全然想いが伝わってないのがさ。
「ふふ♪ ありがとうございます♪ ですがご安心を♪ 決して皆無というわけではありません♪ まだまだこれからです♪ 何もかも始まったばかりなんですから♪」
未来ちゃんは前向きだね。それでこそ私の未来ちゃんだ♪
「はい♪ 影裡さんの未来ちゃんです♪」
ナデナデ♪
「うふふ♪」
「はいはい。次の作戦を考えるわよ」
キスイはいいの?
「抱きしめなさい」
それは無理かな。リーリャも抱っこしてるし。キスイも撫でてあげるからこっち来て。
「仕方ないわね」
なでなで♪
「カゲリちゃん、最近増々開き直ってるよね」
さくちゃんがしれっと後ろから抱きついてきてくれた。顔が近い。キスしよ♪ ちゅ~♪
「ちゅ~♪」
「私もよ」
順番ね~♪
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「それで次の村興しについてなんだけど」
皆でたっぷりとイチャイチャしてから、キスイが再び話を切り出した。
「仕事と報酬について見直しましょう」
あれ? 娯楽じゃないの? リバーシとか作るんじゃないの?
「それは次の段階よ。既に私達は十分なものを与えたわ」
働いて返せと?
「ええ。いずれは彼ら自身にこの村を育てて貰わないとならないもの。人が暇を潰す手段は何も娯楽だけではないわ」
争う暇があるなら仕事しろってことだね。
「そろそろお客様待遇は終わりにしましょう」
私達はあくまで見守るだけ。ゆくゆくはそういう立ち位置になれるといいよね。
「そうよ。その為にも組織化が必要よ」
つまり上下関係を作るの?
「ええ。今のうちに作っておかないと、王都から人を呼び寄せたら丸め込まれてしまうもの」
なるほど。ここの人達を守るためでもあるんだね。
「そうよ。反乱組織だって曲がりなりにも組織ですもの。ここの人達にも同程度の知識と経験は積ませておかないと」
「一致団結してもらわねばなりませんね♪」
「そういうことよ」
これはまた忙しくなりそうだ。




