02-41.信仰の芽生え
シクシク……。
汚された……。辱められた……。
公衆の面前で全裸に布一枚……しかも生着替え……。
さくちゃんの隠蔽結界は所謂マジックミラーだ。見えないのは向こうからだけ。こちらからは見えている。超恥ずい。
「ふふ♪ 完璧よ♪」
さいでっか。
村の広場の中央には私の石像が建てられた。私から直接型を取った一品だ。これを仕上げるまでには何度もポーズを取らされた。酷い辱めだった。ぐすん。
「素晴らしい仕上がりです♪ 是非我々の家にも同じものを建てましょう♪」
「「「「「「「「「賛成~♪」」」」」」」」」
はんた~い。
「賛成多数により可決されました♪」
ひどい……。
「ゆくゆくは小型の像も用意しましょう。各家庭に一つずつ配るのよ」
やだよぉ……。
「流石にそれはマズいかと」
「そうだよ! カゲリちゃん人形なんて渡したら何に使われるかわかったもんじゃないよ!」
ひぃっ!?
「そうね。慎重に検討して事を運びましょう」
「「「「「「「「「お~♪」」」」」」」」」
そもそも却下していただくわけにはいきませんかねぇ? いきません? そっすか……。
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私達は一旦上空に退避して、村人たちの反応を見守ることにした。
「「~~~」」
石像の側にはフェアリスちゃんとティエラが立っている。案内人も一緒だ。三人で村人たちにこの石像のありがたみを説いている。これが巫女のお仕事、記念すべき第一回目だ。
二人はアリシアちゃんのスキルで生み出した神聖な雰囲気の衣装を身に纏いつつ、それでいて人間離れし過ぎない態度を心がけている。あくまで少女達らしい言葉で上位存在について語っているのだ。
その内容はこの村の成り立ちについてだ。私達がどんな風にこの村を建てていったのか、事実ベースで、少し脚色しながら、神の力と努力と想いを語り聞かせていった。
急に振られた役割だというのに、二人は難なくこなしてみせた。どころか心底楽しそうに言葉を紡いでいる。まるで大好きな家族の思い出話を語って聞かせるかのようだ。心境的には似たようなものなのかもしれない。私はもっぱら部屋に籠もって勉強漬けの毎日だったけれど、外で働き続けていた皆には色々な思い出も出来たのだろう。ちょっと寂しい。けどこうして話を聞けるのは嬉しい。
「「~~~」」
二人は手本を示すように石像の前で跪いた。頭を垂れ、石像に向かって祈りを捧げ始めた。これまでの感謝と、どうかこれからも見守ってくださいと、そう言葉にした。
村人たちも二人に続いていった。二人の言葉は彼らの心に届いたようだ。今この瞬間、ようやく信仰と呼べるようなものが誕生したのかもしれない。
今までは得体のしれない存在に過ぎなかった神も、こうして石像として姿を表したことで、ようやく人々の心に根付いたのかもしれない。その姿が私のものである事には異議を申し立てたい所だけど。
というかこれ、大丈夫なの? 私もう二度と出歩けなくない? 子供達も私の姿は知ってるんだよ? だからこそいいの? 信憑性が増すの? 子供達の見たって言葉を噂として流す? そんなことしたら覗きに来るんじゃない? あの家にさ。さくちゃんが寝てる間は結界の維持も出来ないよ?
「まあなんとでもなるわよ」
「任せてください♪」
見切り発車だぁ~。
未来予知だって完璧じゃないのに。
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あれから村人たちの諍いは僅かに減ったそうだ。そう。減ったのは僅かだけ。しかも今だけだろう。要はあれだ。親が近くで見てるかもって思って自重する子供のあれだ。
やっぱり何かもう一押しが必要だ。お祭りを開くには色々と足りていないものが多い。ならせめて炊き出しでもしてみる? アリシアちゃんのスキルも使って調味料をふんだんに使った料理を振る舞うのもいいかもしれない。これもまた神の御業と喜んでくれることだろう。例の中毒症状には気を付けないとだけど。
「流石は影裡さんです♪ ナイスアイディアです♪」
いつも通りだ。私の思考は勝手に実現されていく。
未来ちゃんが拾い、キスイが計画を立て、アリシアちゃんが人手を用意し、凜火ちゃんが材料を切り出し、茉白ちゃんが複製、補完し、さくちゃんが型を作り、リーリャちゃんが溶かして流し込み、心愛ちゃんが整える。完璧な流れだ。
更にはフェアリスちゃんとティエラがそれを人々に伝えてくれる。こうして発案製造から流通までの流れが完成した。




