02-31.デート勝負・後半戦
四組目は、キスイちゃんとアリシアちゃんだ。
来たね♪ 大本命♪
「その言葉、取り消させないわよ?」
ごめん。冗談。こう言ったらキスイちゃん喜ぶかなって思っただけ。
「ちょっと。どうしてそういう事考えられるのに、わざわざ伝えてくるのよ」
無茶言うね。私のスキルはよく知っているでしょうに。
「そんな事よりさっさと移動しますわよ。時間は限られているのです」
「そうね。行きましょう」
とか言いつつ、二人は家の中に入っていった。
二人は私を椅子に座らせると、少し離れて横並びに立ち、一礼してから向かい合った。
そこから始まったのは演劇だった。私もよく知る定番の恋物語だった。二人は偶然の出会いから意気投合しつつも、立場の違いから引き離される事になる、そんな話だった。
「そこのあなた!」
え?
「あなたよあなた!」
もしかして私に言ってる?
「そうよ! こちらにいらして!」
アリシアちゃんに手を引かれて立ち上がる。どうやらここからは私も参加するようだ。セリフとか喋れないけどいいのかしら?
「あなたからも何か言っておやりなさい!」
え? アドリブでいくの?
う~ん……。
「難しく考える事はありません。心のままに思いの丈をぶちまけてしまいなさい」
フォローが入った。
え~っと……。やっぱり諦めるのは良くないと思うの。どんな障害があったって、本当に大切なら掴み取らないと。立場の違いは大変だろうけど、私が望むのはいつだってハッピーエンドだけだから。悲恋はあんまり観たくないかな。
「その通りですわ!」
私の援護を得たアリシアちゃん扮するお嬢様は、心が折れかけていたキスイちゃん扮する若者を奮い立たせた。
私も段々と演劇にのめり込んでいた。後になってよく考えてみるとちょっとだけ複雑だ。私の恋人たちがくっつくのを援護してしまったみたいだ。演劇の話ではあるけども。
それでも演劇の最中は全く気にならない程夢中になっていた。二人は小道具や衣装も無しに見事にやり遂げてみせた。
「満足してもらえたみたいね」
もっちろん♪ ありがとう♪ 二人とも♪ とっても楽しませてもらったよ♪
「それは何よりですわ」
「ただ少し興が乗りすぎてしまったわね。あまり話す時間が残っていないわ」
そうだった。これは私達のデートだもんね。観賞後の感想会まで含めてデートだもんね♪
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五組目は、フェアリスちゃんとティエラだ。
今回はこれまでと少しだけ毛色が違う。二人が私を饗したりエスコートしたりするのではなく、私とフェアリスちゃんでティエラを饗すのだ。
私達は森の中で遊ぶことにした。
私は様々な遊びを教える事にした。かくれんぼに鬼ごっこ、だるまさんが転んだ、ドロケイ、けんけんぱ、縄跳び、椅子取りゲーム、etc……。
どの勝負も私はすぐに負けてしまったが、全力で遊ぶのはとても楽しかった。二人にもとっても楽しんでもらえたようだ。今まではこんな風に遊ぶ余裕は無かったのだろう。ティエラは他の子供達にも教えるのだと張り切っていた。
「ありがとう♪ カゲリ♪」
ふふ♪ こちらこそ♪
けどごめんね。ティエラにも何かやりたい事があったんだよね? もう時間なくなっちゃったね。
「大丈夫! また今度!」
そう? ティエラは別枠だし、もう少しだけ延長しても。
「大丈夫~!」
ティエラは自分の村の方へと駆け出していった。もしかしたらまだまだ遊び足りないのかも。今すぐ皆に遊びを教えるつもりなのかも。ふふ♪ 少しはお礼も出来たかな♪
フェアリスちゃんもありがとう♪ 私達も帰ろっか♪
「うん♪」
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さて。
「いよいよですね!」
「うむ」
「楽しみ♪ もちろん私達だよね♪ カゲリちゃん♪」
「負ける筈ない。影裡様はボク達を選ぶ」
「いやいや♪ うちらに決まってるじゃん♪」
「自信はあるわ~♪」
「残念ですわね。我々には及びません」
「……頼むわよ、影裡」
「カゲリ♪ フェアリスだよね♪」
う~ん……。
「あら?」
「ちょっと。もしかしてまだ決めてないの?」
いや、あの……ね? 甲乙付け難いというか……ですね?
「ダメだよ! カゲリちゃん!」
「勝敗は決すべき。気を遣う必要はない。ボク達の勝利を宣言して」
いやぁ……。
「影裡さん!」
「影裡殿」
「カゲリちゃん!」
「影裡様」
「かげりん♪」
「影裡ちゃん♪」
「影裡」
「カゲリ」
「カゲリ♪」
うっ……。
仕方ない……結果は!
「「「「「「「「「結果は!?」」」」」」」」」
明日発表します!!
「「「「「「「「「今すぐ!!」」」」」」」」」
あ、はい……。




