02-27.労働
「流石にお尻ペンペンはないわね」
良かった。冷静になってくれて。
「なら他には何がありますか?」
「労働を手伝わせましょう。建設予定地の区画の一つを彼らに任せましょう」
「危ないですよ?」
「最初は草むしり程度よ。敢えて残して彼らにやらせるの」
「なるほど……悪くない案です」
「自分たちが作った村に人々が住むなら彼らも強気になれるでしょう」
あの子達だって大人から邪険にされるかもだもんね。自信を付けさせてあげるのも大切だね♪
「「「「「「「「……」」」」」」」」
え? 何? なんで皆で私を見るの? 呆れてるの?
「まあいいわ。私達の言葉が届いていなかったわけじゃないって証拠だものね」
「そうですね。後は自覚の問題だけですね」
なんかごめん……。
「謝る必要はないわ」
「はい! 影裡さんは頑張ってます!」
甘々だぁ~。
それよりカップとか作ってもらうのはどう? なんなら服もさ。試作布はあるけど、服作るには縫わないとじゃん? 手に職つけてもらえば町での立場も確保出来るでしょ?
「それも良い案ね。流石は影裡だわ♪」
もういいから。一々付け足さなくていいから。
「照れる必要はないわ♪」
はいはい。
「私達の為ではなく、将来の町の為という口実なら問題もありませんね♪」
あ、そっか。普通の人らしいところはあんまり見せられないんだもんね。そういう要求をしちゃうと色々察しちゃうもんね。口実は必要だよね。
「ペナルティとしては草むしりで、それはそれとして製造業もやらせておきましょう。暇を持て余しているから覗きなんてするのよ」
だね。
「決まりですね♪」
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子供達の労働が始まった。とは言え基本は内職だ。覗きを行った数名だけに草むしりを命じた。罰掃除組の監督はフェアリスちゃんだ。チーフ君には他の子達を見ておいてもらわないとだからね。
それから先日私を介抱してくれた少女、ティエラちゃんとも度々会うようになった。先日の一件から、フェアリスちゃん以外の協力者も確保しておく事になったのだ。
ティエラちゃんはチーフ君の次に年長で、私達と同い年だった。ちなみにチーフ君は私達より年上だった。
子供達と一括りにしてしまっていたが、当然その年齢層はバラバラだ。フェアリスちゃんと同じように身長が低いだけで、リーダー格の二人は私達と変わらない年頃だったのだ。
「カゲリ」
おはよう、ティエラちゃん。今日もパトロール?
「……ちがう。……これ」
覚えたての辿々しい言葉と共に出てきたのは、真新しい木のカップだった。
もしかしてティエラちゃんが作ってくれたの?
「……そう。カゲリ……つかう」
ありがとう♪ とっても嬉しいな♪ 宝物にするね♪
「えへへ♪」
ふふふ♪
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「また誑かしていますね。影裡さんは」
「早計だったかしら」
「考えすぎっしょ」
「甘いですよ、心愛さん」
「そうよ。影裡を甘く見てはダメよ」
「なんかうち、自信無くなってきたかも。かげりんの事は大好きなんだけど、二人や、あかりんとりーたんみたいにやれる自信が無いんだけど」
「手を引いていただいても構いませんよ♪」
「うっわ。すっごいイイ笑顔。なんか癪だからもうちょい頑張ろっと」
「やる気出させてどうすんのよ」
「まあいいじゃないですか♪ 仲間を蹴落とすなんて私達らしくありません♪」
「手を引けって言ったのは未来さんじゃない……」
「まさかあのみくちーがここまで恋愛脳になるなんてね~」
「影裡さんにはそれだけの魅力があるのです♪」
「そうね」
「まあね」
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「カゲリ♪」
ティエラちゃんはほぼ毎日通うようになった。言葉もどんどん覚えていく。これはこれで問題ではなかろうか。他の子達に罰を与えたのに、ティエラちゃんだけは特別に通う事を許しているのだ。最初は程々だったのに頻度が上がってしまえば話は別だ。他の子達だって不満に思うだろう。
「心配ない♪ わたし奉仕してる♪」
なるへそ。そういう設定なんだ。考えたね。
「秘密、守る♪」
ありがとう。助かるよ。
「カゲリ、守る♪」
それは必要無いかなぁ~。私には頼りになる恋人がいっぱいいるからね。
「コイビト!」
その天啓を受けたみたいな反応はなにさ。ダメだよ。これ以上恋人作ったりしないよ。絶対に。
「違う!」
なにがさ。
「ステキ♪」
???
「~♪」
あ、ダメだ。もう聞いてない。
まあ、幸い自分が加わる事に興味がある様子でもないし、問題はないだろう。きっとたぶん。めいびー。




