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02-15.不相応な願い

「はふぅ~~~~極楽ですぅ~」


「しゃぁ~わせ~~」


 未来ちゃんとフェアリスちゃんが溶けている。お風呂気持ちいいもんね♪ フェアリスちゃんに至っては初めてだろうし♪




 にしてもポヨンポヨンだ。



「あらあら~♪」


 浮くって本当だったんだね。ツンツン。



「ふふふ~♪ くすぐったいわ~♪」


「こら! カゲリちゃん!」


 さくちゃんに抱き寄せられてしまった。まるで他所様に迷惑を掛けた子供を慌てて連れ戻す親のようだ。



「はいどうぞ! 私のなら好きに揉んでいいよ!」


 揉む程無いじゃない。……いや? 僅かに膨らんでる? むむ。これはこれで中々。



「ふふ♪ カゲリちゃん赤ちゃんみたい♪」


 さくちゃんは少し落ち着きすぎじゃないかしら? こんな至近距離で覗き込まれて割とガッツリ揉まれているのに照れる様子もない。高低差の激しい子だ。そういう気分じゃない時はとことん気にしないものだ。ぺろん。



「かっカゲリちゃちゃん!!!?」


 流石にこれなら反応するんだね。


 ふふ♪ 顔真っ赤にしてかぁ~わい♪ ペロペロ♪



「ひゃんっ!?」


「おいこら」


 今度はキスイちゃんに捕まった。



「流石にやり過ぎよ。それ以上は冗談じゃ済まなくなるわ」


 ごめんちゃい。



「も~。かげりんやめてよね~」


 心愛ちゃんも顔が真っ赤だ。割と本気で困ってるっぽい。



「(ゴロゴロにゃ~♪)」


 私を捕まえたキスイちゃんの胸(平面)に寄りかかって、全力で媚を売ってみた。



「なっ!? だれが平面ですって!? ちょっと誰よ! 影裡にお酒なんか飲ませたの!!?」


 飲んでないよ? どうしてその結論に至ったん?



「え!? 嘘でしょ!? 素面でそんな事やってるの!?」


 そんな事とは酷い言い草だ。私はただ全力を尽くしているだけだ。言ったはずだよ。もう遠慮はしないって。



「あなたねぇ! 本当にわかってるの!? ここでそんな事してたら襲われてしまうわよ!?」


 それも本望。ばっちこ~い♪



「っ!?」


 キスイちゃんは急に立ち上がると、私を抱えたまま風呂から飛び出していった。



「待てやこらぁ!!」


「させませんわよ!!」


 さくちゃんとアリシアちゃんがキスイちゃんに飛びかかり、手を離れて投げ出された私をリーリャちゃんが空中でキャッチした。



「影裡様。ボクに」


「させぬ」


 今度は凜火ちゃんだ。リーリャちゃんごと風呂の中へと投げ飛ばされた。



「「キャッチ♪」」


 リーリャちゃんの手を離れた私は茉白ちゃんと心愛ちゃんに受け止められた。



「皆さん!!」


 フェアリスちゃんと一緒に蕩けていた筈の未来ちゃんが遂に立ち上がった。堂々たる立ち姿だ。おっぱい大きいね。思っていた以上にあるよね。というか成長した? 心愛ちゃんは越えてそう。アリシアちゃんにも迫るかも。流石に茉白ちゃんのはまだ遠い。そんな塩梅。



「燥ぎすぎです! お風呂場で走り回るなんて論外です!」


「「「「「ごめんなさい」」」」」


 素直。



「影裡さんもです! いきなり飛ばしすぎです!」


 次は時と場所を考えるよ。そこは反省する。けど飛ばしすぎ云々に関しては納得出来ないかも。先に手を出してきたのは皆の方だし。寄って集って私でキャッチボールしながら唇を貪ってきたのは正直怖かったもん。今でもたまに夢に見るくらいには。



「「「「「「「「ごめんなさい!!!」」」」」」」」


 大丈夫。もう十分謝ってもらったよ。けどほら。それはそれとして責任は取ってもらわないとね。一生私の言いなりになってね。私が望んでる時はたっぷり甘やかしてね。



「それはそれです! 雑に済ませるのは嫌です!!」


 大丈夫。私からそこまではしないよ。ちゃんと皆が理性を働かせれば心配は要らないよ。私はただ全力で甘えるだけだもん。自分から手を出す度胸なんてあるわけないじゃん。



「開き直ったわね」


 ふっふっふ♪ 私はあらゆる意味で開き直るぜ♪



「それがやり過ぎなんです!!」


 だから言ってるじゃん。火を付けたのは皆だよ。勘違いしないで。私は皆の気持ちに応えようとしてるだけだよ。


 一人一人と丁度良い距離感を維持した上で全員の足並みを揃えさせるなんて器用な真似が私に出来ると思う? そんなの不可能でしょ? だから私は何も気にしないよ。気を揉むのは皆の役目だよ。皆が勝手に自制心を働かせて足並みを揃えるんだよ。喧嘩したら嫌だからね。皆で頑張ってね。



「「「「「「「「……」」」」」」」」


 ふふふ♪ 私のこの完璧な理論武装の前に成すすべもないようだね♪



「調子に乗っているわよ」


「調子に乗っていますね」


「調子こいてるね」


「うふふ~♪ 絶好調ね~♪」


「少々甘やかしすぎたようですわね」


「ダメだよ、カゲリちゃん。そういうのダメだと思う」



「流石影裡様。それこそ王のあるべき姿」


「うむ。リーリャ殿に同感だ。良き覚悟だ。どのような結果になろうと全てを受け止めるつもりなのだな」


 ふふ♪ 理解者も少しはいるようだね♪ そうだよ♪ 皆がどんな風に暴走しちゃっても全部受け止めてあげる♪ 私に必要なのはその覚悟だけなんだよ♪ 細かい事は皆に任せるぜ♪ 皆で好き勝手生きようぜ♪



「影裡さん……」


「ちょっと未来さん。あなたまで流されるつもりなの? 影裡にそんな覚悟があるわけないじゃない。よしんば今はあったとしても貫き通せる筈がないわ」


 流石キスイちゃん。グウの音も出ない正論だ。


「開き直りすぎよ。そこで肯定されたらこっちだって困るじゃない。せめて『そんな事無い』くらい言いなさいよ」


 時には見切り発車って大事だよね。


「よく言うわ。リスクに対応出来る体力も無いくせに」


 だからそこを皆に頑張ってほしいのさ。


「丸投げし過ぎだって言ってんのよ! あなたそんな事言って途中で逃げ出したら承知しないわよ!?」


 逆に逃げさえしなければ皆が甘やかしてくれるんでしょ?


「どうかしらね。流石の私達でもいつかは愛想も尽かすんじゃないかしら」


 皆に嫌われたらそこまでだよ。私にとって皆が全てなんだもん。そこから先を考える事に意味なんて無いんだよ。


「そこは信じてるとでも言ってほしかったわ。そんなふざけた考えは聞かせてほしくなかった」


 ごめんね。そんな顔しないで。脅すつもりはないんだよ。私はただ皆に委ねようと思っただけなの。私の全てで皆の想いに応えたいと思ったの。こんな私に差し出せるものなんてそれこそ自分自身しかないからさ。後の事を考えて遠慮なんてしないよって。そう言いたかったの。


「ただの思考停止っていうのよ。それは」


 そうかもね。うん。キスイちゃんの言う事はいつだって正しいね。


「そう思うなら私に従いなさい」


 うん。いいよ。なんでも従ってあげる。私からキスしてあげよっか? それとももっと先がいい? なんでもやるから私を捨てないでね。約束だよ?



「「「「「「「「……」」」」」」」」


 あら?



「そう。結局それが本音なのね。やっと理解出来たわ。あなたがこんな事を言い出した本当の理由が」


 何か誤解させちゃったかな?



「影裡さん。そんな風に必死になる必要はないんです」


 未来ちゃん? 泣いてるの?


「泣きません。もう二度と影裡さんを不安にさせたりなんてしません」


 違うんだよ。私は皆にそういう気遣いをしてほしくないんだよ。皆にもっと自然体でいてほしいの。本当に、心の奥底から私の事を好きになってもらいたいの。



「やっぱり信じてないんじゃない」


 信じてるよ。いつか本当の家族になれるって。


「カゲリー……」


 そうだね。フェアリスちゃんもだね。もう巻き込んじゃったんだもんね。未来ちゃん達だってそのつもりで連れてきたんだよね。


「「……」」


「影裡。あなたにとって私達は重荷なの?」


 そんな関係になれたら嬉しいな。皆が私に本気で寄りかかってきてくれたら私は喜んで潰れるよ。


「……そう。わかった。なら私も遠慮はしないわ」


 キスイちゃんって遠慮してたっけ?


「ちょっと。ここで梯子外さないでよ」


 ごめんごめん♪ ありがとう♪ キスイちゃん♪


「今に見てなさい。大言吐いたことを後悔させてやるわ」


 言ったでしょ。私は後悔なんてしないよ。


「あなたやっぱり調子に乗っているのよ。私達が全力であなたに身体を預けたらあっという間に潰れてしまうんだから」


 それを補うのも皆の役目だよ。私がペラッペラの下敷きになっちゃったら意味が無いでしょ。私に皆の重さを感じさせつつ、倒れないように支えるんだよ。皆なら出来るでしょ。


「まったく。どこまで他力本願なんだか」


 私にこんな選択をさせたのは皆だよ。


「せめてそこだけは自分の意思だって言い張りなさい。かっこつかないじゃない」


 もちろん責めてなんてないよ。感謝してるんだよ。皆のお陰で選べた道だよ。私の道は皆が作るんだよ。私はただそれを享受するだけ。皆に支えられながら歩き続けるだけだよ。


「私達が求めているものとは相反するわね」


 私が手を引く必要は無いと思うけど。


「隣を歩いてほしいに決まってるじゃない。自分の意思で。なんでそんな事もわからないのよ」


 ……無理だよ。皆が手を引いてくれなかったらあっという間に置いていかれちゃうよ。私は常に遅れているくらいで精一杯なんだよ。


「どうしても差をつけないと気が済まないようね」


 事実だもん。


「とにかくわかったわ。影裡の問題が何一つ改善していなかった事は。けれど話はここまでよ。これ以上続けたら未来さんが泣いてしまうわ」


 なんでそんな結論になるのさ。折角前向きになれたのに。


「根本が曲がってるのよ。影裡にとっての前方は私達にとっての前方と違うのよ」


 酷い言われよう。そこまで言う?


「安心なさい。引きずってでも正しい道に戻してあげるわ。いつまでだって手を引き続けてあげる。あなたが自分の足で歩けるようになるまでね」


 結果的に私達の想いは一致したのかな?


「全然違うわ。誰も怖くて乗れないもの」


 なるほど。そっか。そうだね。私の不安はそのまんまなんだね。


「そうよ。私達はただ手を引くだけよ。今の影裡に全てを預ける者なんて誰一人いやしないわ」


 ふむふむ。たしかにそれじゃあ意味がないよね。


「皆を乗せて走りたいのなら自分の足で立つことね。誰かに引いてもらう事を前提とするのなら諦めて委ね続けなさい。例えあなたが重荷を背負えずとも、私達は一生その手を引き続けるわ」


 私は皆の重荷で居続けたいわけじゃないんだけど。


「なら自分で努力なさい。私達が支える事を前提に勝手に背負い込もうとするのはやめなさい」


 ごもっとも。


「やっと理解できたようね」


 けど。


「けどは無しよ。話は終わりと言ったでしょ。そろそろ上がりましょう。皆のぼせてしまうわ」


 は~い。

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