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02-10.満場一致?

「……」


 あれ? 未来ちゃん? どったの怖い顔して。


「……いえ」


「未来さん。何かあるなら言いなさい。秘密は無しよ。例え私達が気分を害するような事であってもよ。むしろそういう事は必ず伝えなさい。救うべき人達がいるのでしょう?」


「そうでなかったとしても抱え込むのは無しだよ! 私達は苦楽を共にする家族なんだから!」


「ミクだけが抱え込むのは無しですわ」


「我らを頼れ。未来殿」


「はい……。皆さん。一つご相談があります」



 この近くには子供達が集まっているそうだ。


 これは別に今回偶々というわけではなく、元々子供達だけで集まって暮らしていたそうだ。



 この国に孤児院は存在しない。スラムすらありはしない。思っていた以上に人は多かったけれど、それでも管理しきれない程に多すぎるわけでもない。



 ただ、子を手放す親が存在しないわけじゃない。或いは親を亡くした子がいないわけもない。


 子がいると偽って少しでも多くの配給を得ようとする者がいる。


 子に少しでも多くの食料を与えようと無理をして、命を落とした親がいる。


 怪我や病気で早くに亡くなってしまう人だって……。


 そんな子供達に手を差し伸べられる大人はそう多くない。



 その結果出来上がったのが、子供達だけの共同体だ。或いは互助会とでも呼ぶべきものだろうか。子供達は同じ境遇の者達で集まり、互いに助け合いながら生きてきた。


 しかし状況は芳しくない。多くの子供達が飢えている。見かねた配給担当が一部の水や食料を流してはいるものの、正式に認可された存在というわけでもない。数は到底足りていない。


 かといって国は動くつもりがないようだ。誰もが日々を生きるので精一杯だ。そもそも王は気にしてすらいないのが現状だ。



 未来ちゃんはどうにかして内緒で食料を分け与えたいそうだ。もちろん私達も賛成だ。その手段は考える必要があるけれど。



「先ずは注意点よ。あまり余分には渡せないわ。彼らが盗んだと思われても困るもの。最悪それが原因でもっと酷い目にあわされるかもしれないわ」


「かと言って一時しのぎの食料を与えたところであまり意味はありません。私達の持ち込めた物資は全ての人々に十分な量を配れる程に多いわけでもないのです」


 既に傷病者を癒やすついでにいくらかは配った後だ。そろそろ限界も見えてきた。ここで多くの食料を吐き出してしまえば他の飢えた人達に行き渡らないかもしれない。


 ならばいっそのこと子供達だけでも連れ出せないものだろうか。もう一日、二日分だけの食料を与えて急場を凌ぎ、森に連れて帰ることが出来れば全員を救えるだろう。



「影裡さん……」


 うん? どうしたの?



「いいのですか?」


 え? 何が?



「そう。影裡は決めたのね」


 何の話?



「さっすがカゲリちゃん!」


「ワタクシも賛成ですわ、カゲリ」


「うむ」


「賑やかになるね♪」


「あらあら~♪」


 なにこれ? どういうこと?



「やりましょう! 影裡さん!」


 うんん?? 未来ちゃん? またなんか暴走してない?



「皆さん! 作戦会議です! 方法を考えてみましょう!」


「「「「「「お~~!!」」」」」」


 何かが満場一致で可決された。らしい。




「案内人を出しましょう。先ずは勧誘よ。問題がなければもう一つの結界に搭乗させましょう」


「勧誘の手段については……問題ありません。今回も私に任せてください」


「そう。ならいつも通りにね。灯里さんはどうかしら? もう一つ維持できるかしら?」


「あんまり広くは出来ないけど、やってやれない事はないと思うよ」


「十分よ。運び出せさえすれば問題はないわ。そうよね? 未来さん」


「はい! 回収は明日の朝一とさせて頂きます! 今日のところは根回しに留めましょう!」


「早速始めましょう」


「「「「「「お~~~!!!」」」」」」


 お~。



 ……えっとつまり? 子供達も連れて行くの? 森の町はまだ着手もしてないけどいいのかな?


 まあどうとでもなるか。私達だって生きてこられたし。


 確かに賑やかになりそうだ。けどかえって都合は良いかもね。今後人が増えていく事も考えたらさ。最初の町民確保って結構大変だっただろうし。ある程度人が住んでいれば説得力も生まれるもんね。それが例え子供達だけであってもさ。



 その後すぐに子供達と接触を果たした。


 アリシアちゃんの影メイドさん(布お化けモード)、案内人? 影武者? もう面倒くさいから案内人で統一するか。それとももっと神様の遣い的な……いや、いいや。今そこはどうでも。人が増えたら考えよう。勝手に名付けてくれるかもだし。



 ともかく案内人を派遣し、子供達のリーダーに水と食料を分け与えながら森に来ないかと誘いをかけてみた。


 当然最初は警戒していたリーダー君だったが、未来ちゃんの説得が功を奏し、無事に約束を取り付ける事に成功した。


 明日の朝一でまた迎えに来ると告げ、私達は再び王都巡りを再開した。

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