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02-09.王都行進

「それでは皆さん! 張り切って行きましょう!!」


「「「「「「お~~!」」」」」」


 お~!



 王都潜入二日目。今日は移動が無いのでほぼ丸一日使って人々の治療を進められる。夜にはリーリャちゃんと合流して反乱組織と会合を行う予定だ。もちろんこれは未来ちゃんの未来予知で勝手に決めただけで、相手方にアポ取りしたわけじゃない。単に秘密会議があるから乗り込むってだけだ。


 既に王都は結構な騒ぎになっている。これまで寝たきりだった重傷病者達すらも完全回復したのだから当然か。ともかくこの騒ぎが切っ掛けで、反乱組織が急遽会議を開く事になったのだ。全く無駄の無い完璧な計画だ。流石未来ちゃん。



 けれど、こんな事を言うのはあれだけど、流石に少しやりすぎたのかもしれない。茉白ちゃんの治癒は失われた手足ですら再生してしまう程だ。


 今回ばかりはあの王様だって興味を示すだろう。町作りがある程度済むまでは密かに動くべきだったのかもしれない。



 とはいえだ。私達は神様の代理だからね。一人でも多くの人々を救うべきだ。自分達の保身の為に手を抜くなんて論外だ。きっとそんな神様は人々も認めてくれないだろう。


 だからこれは、神様の顔に泥を塗らないようにってだけでなく、皆の未来の為になると信じての決断だ。



「力はどう? この調子で続けても大丈夫?」


「ええ。問題ないわ。この王都にも届いているのね」


 それは良かった。森ブーストがなければスキルの性能は低下するもんね。砂嵐の内側であるこの場所なら問題無いとは思っていたけど、そもそも茉白ちゃんがスキルをここまで酷使するのは初めてだ。万が一って事もあるからね。もちろん未来ちゃんが事前確認済みでもあるけれど。



「影裡。今日は一日茉白さんに引っ付いていなさい」


 おっけ~♪ 望むところだぜい♪ もしかしたら電池代わりになるかもだもんね♪



「うふふ~♪ 漲るわ~♪」


 私を膝に抱えて抱き締めた茉白ちゃんが祈るように集中し始めた。


 おかしいな。私は今、後ろから抱きついた筈だったんだけどなぁ。何故か気付いたらこの体勢になっていたよ。茉白ちゃんも武術かなんかの心得があるのだろうか。流石お嬢様。皆当たり前のように強いんだね。本当に驚いたよ。



「うちら暇だね~」


「万が一に備える。それも肝要だ」


 心愛ちゃんと凜火ちゃんはもしもの時要員だからね♪ 頼りにしてるぜ♪



 キスイちゃんも昨日の続きだね。一つでも多くの情報を持ち帰るつもりのようだ。張り切ってるね♪


 未来ちゃんは当然未来観測だ。不測の事態がいつ起こるかわからないもんね。念の為警戒は続けよう♪


 さくちゃんは結界で私達を運び続けている。後でさくちゃんの事も抱き締めてあげよう。けど今はやめておこう。本人からも断られちゃったし。結構集中力を使うみたいだ。高さがギリギリなのだ。高所恐怖症のさくちゃんにとっては。


 アリシアちゃんは影メイドさんを派遣して調査中だ。今回は布お化けモードとは逆に、一切の衣服を身に着けていない状態だ。影に紛れてこっそりと下の様子を確認している。私達は屋根の上だからね。場所によっては死角になるのだ。



 そんなこんなで各自の役割をこなしつつ、王都中を飛び回り続けた。


 次第に王都の人々も私達の存在に気が付き始めてきた。もちろん姿は見られていない。けれど私達の通り過ぎた後には治療された人々が残されている。見えも聞こえもせずとも、そこに何か居ると気付かれるものだ。


 当然これは織り込み済みだ。私達は町を作った後にも姿を見せないつもりだ。だからこそ今回のこの経験は人々にとって私達を信じる第一歩となり得るだろう。姿も見せない相手を信じ続ける事は難しい。それを覆すにはいつまでも記憶に残る大きな出来事が必要だ。この出来事は人々が神を信じる切っ掛けになり得る筈だ。



 人々は私達のだいたいの位置を把握し始めた。時にはこの先に病人が居るのだと指し示してくれた。


 私達に付き従う人々の列が段々増えていく。最早波だ。かえって怪我人が出そう。そろそろいいのではなかろうか。



「休憩しましょう。少し距離を置いて別の場所で再開です」


 壁際に辿り着いた所で未来ちゃんがそう宣言した。



「皆さんお疲れ様でした♪」


「今のところは順調ね」


「はい♪ この調子で午後からも頑張りましょう♪」


「けれど少し考えないと。あの調子ではかえって怪我人が増えかねないわ」



 未来ちゃんの未来予知は案外と限定的だ。私達が今日一日を無事に終える事がわかっていても、その過程の全てがいっぺんに視えるわけじゃない。楽観して問題を放置すれば結果が変わってしまうのだ。それも未来を知った事による変化となり得るわけだ。


 かと言って何も考えないまま未来予知に頼れば、ただ何もしなかった結果が示されるだけなのだ。選択に関して出来るのは答え合わせであってカンニングではない。未来ちゃんでなければ殆ど意味のない能力で終わっていたかもしれない。少なくとも私だったら使いこなせない。流石未来ちゃん。さすみく。



「……そうですね。午後には軍も現れます。多少は緩和もされますが……問題ありません。タイミングを見計らって私が一度声を掛けます。その際に例の影武者もお披露目しましょう。後の反乱組織との打ち合わせにも役立つようですから」


「そう。なら任せたわ」


「はい♪ アリシアさんもスタンバイお願いしますね♪」


「承知致しましたわ」


 午後の作戦会議はこんなところかしら。


 さて。なら私はっと。



「カゲリちゃん? どうしたの?」


「元気注入♪ だそうです♪」


「ふふ♪ ありがと♪ カゲリちゃん♪」


 こちらこそ♪ 午後も頑張ってね♪ さくちゃん♪

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