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01-05.透明人間?

「三日目です! 今日も張り切っていきましょう!」


 リーダーちゃんは今日も今日とて元気いっぱいだ。お陰で皆もまだ笑えている。暗くなっていてもしかたない。塞ぎ込んでいる場合なんかじゃない。立ち止まっている暇はない。



「今日は水筒を作りましょう!」


 昨日と同じ蔦に加えて、今日は樹皮と大きな葉っぱも集めるようだ。作業には火も使うらしい。火は今朝メイドさん達が起こしてくれたやつだ。これが消えてしまうともう一度点け直すのは大変だ。そんなこんなで私は火の番を任された。責任重大だ。ふんす!



「気をつけてね、カゲリちゃん」


 幼馴染さくちゃんが本気で心配そうだ。もちろん焚き火じゃなくて私の方だろう。この過保護ちゃんは私が火傷しないかと不安でたまらないのだ。



「(ぐ!)」


 取り敢えず親指を立ててみた。



「あはは♪ もう♪ カゲリちゃんったら♪」


 何故この子はサムズアップを見て腹を抱える程に爆笑しているのだろう? 私なにか変な事した?



「行ってくるね♪」


 取り敢えず安心はしてくれたようだ。いってらっしゃい。さくちゃん。



 ……。


 …………。


 ………………ひまだ。



 火を眺めてるだけってなんだか眠くなってくる。けど眠るわけにはいかない。これは現状私に出来る唯一の仕事だ。こんな簡単な仕事も出来なかったら、いよいよ皆に顔向け出来なくなる。


 少し立ち上がろう。火から離れすぎない程度に外を眺めてみよう。いつもの三人は極力近くで作業をしている筈だから、誰かしらの様子が観れるかもしれない。眺めていれば少しは退屈を紛らわせるだろう。



 ぱちっ。


「!?」


 音に慌てて振り向いた。……おかしな所はない。薪が爆ぜたのだろうか。……うん? あれ? 薪増えてない? 気の所為? いや……やっぱり変だ。さっきより多い。幼馴染さくちゃんが余裕を持って山積みしてくれていた分より更に多い。おかしい。誰か戻っているのだろうか? でも近くに見当たらない。洞窟の奥に進んだのだろうか。様子を見に行くべきだろうか。けど火から目を離すわけにも……。



「カ~ゲ~リ~っちゃん♪」


「!?」


「ふふふ♪ びっくりした?」


 さくちゃん!? なんでここに!? 今見回した時には居なかったよ!?



「ふっふっふ♪」


「っ!?」


 消えた!? さくちゃんが消えた!?



「いな~いな~い、ばぁ♪」


 また現れた! なにそれ!? 透明人間!?



「ふふふ♪ その様子ならやっぱり見えないみたいだね♪ 実験成功♪ やったね♪ カゲリちゃん♪」


 いえ~い、と私の腕を持ち上げてセルフハイタッチを交わす幼馴染さくちゃん。



「???」


「ふふふ♪ 結界を少し弄ってみたの♪ カゲリちゃんに見せたくて♪」


 なるほど……。カメレオンみたいに……。凄い! 結界ってそんな使い方も出来るんだ! なら薪を追加してくれたのもさくちゃんだったんだね!



「あれ? カゲリちゃんも薪集めてくれたの? やっぱり今朝のだけじゃ足りなかったよね♪ 流石だね♪」


 ……え? さくちゃんじゃないの?



「これ上手く使えれば水筒の代わりになりそうだよね♪ 練習したいから後でカゲリちゃんも手伝ってね♪ 出来るまで皆には秘密だよ♪ 透明化の事もね♪」


 さくちゃんはそう言って作業に戻ってしまった。今は結界の練習より水筒作りに専念する事にしたようだ。


 ここに戻ってきたのは私が心配だったのもあるのかも。それに既に結構な量の樹皮と葉っぱを集め終えていたようだ。私の脇にいつの間にか山と積まれていた。さくちゃんが置いていったのだろう。結界はアイテムボックスみたいな使い方も出来るのかもしれない。便利。



「か・げ・り、さん♪」


 今度はリーダーちゃんが戻ってきた。



「あら? 先を越されてしまったみたいですね♪」


 リーダーちゃんも持ちきれなくなって置きに来たようだ。



「凄い♪ いっぱいです♪ 私も負けていられませんね♪」


 リーダーちゃんもすぐさま素材集めに戻っていった。入れ替わるようにして、今度はギャルちゃんが戻ってきた。



「かげりん♪ 見て見て♪ いっぱい採れ、ありゃ? もうこんなに? 二人ともすっご♪ うちも負けてられんね♪」


 ギャルちゃんもすぐさま戻って行った。



「ふぅ……」


 え?



「っ!」


 誰!? ……あれ? やっぱり誰もいない? もしかして幼馴染さくちゃん? また戻ってきたの?



 ……。


 …………。


 ………………いない?


 おかしい。さくちゃんならこんなに焦らしはしない筈だ。むしろ我慢できなくてすぐに飛び出してくる筈だ。やっぱり誰かいるみたいだ。透明人間になれそうな能力を持ってるのって他に誰かいたっけ?


 リーダーちゃんの未来予知や、武士道ちゃんの身体能力なら私の死角に回り続ける事で見られないようにとか出来るかもだけど、どちらの可能性も低いだろう。そもそも音や気配が全く無いのも不自然だ。先程ため息みたいなのが聞こえたように、能力で一切の音を断っているわけではない筈だ。



「……」


 もしかして魔物? どうしよう。逃げるべき? けど攻撃するつもりならとっくに……。それにリーダーちゃんが一度戻ってきた時にも何も気にしていなかった。私が害される未来は見えなかったのだろう。なら一先ず安全? やった事と言えば薪を追加してくれたくらいだ。別に害意があるわけじゃないのかも……って! やばい! 焚き火! 目を離しすぎた!!




----------------------




「たっだいま~♪ ……あれ? カゲリちゃん?」


 え? なに? 火は消えてないよ? ギリギリの所で息を吹き返えしたよ?



「これカゲリちゃんが作ってくれたの?」


 え? うん? ???



 幼馴染さくちゃんが手に持っているのは樹皮と葉で作られた水筒だ。私は知らない。あれから誰も戻ってきてない。



「ううん。違う。カゲリちゃんのじゃない」


 流石さくちゃん! 私の事よくわかってる!



「戻りましたよ♪ 影裡さん♪」


「たっだいま~♪ かげりん♪」


「二人とも。これ知らない?」


「え? いえ。私ではありません。見事な作りですね。流石は心愛さんですね♪」


「え? うちじゃないよ? じゃあ、かげりん?」


「ううん。カゲリちゃんのじゃないよ。誰か戻ってる?」


「(ぶんぶん!)」


 首を横に振って否定を示す。



「かげりんがスキルで作ったわけでもなくて?」


「(ぶんぶん!)」


「カゲリちゃん? 何か隠してる?」


「(ぶんぶんぶんぶん!)」


 少しだけ声音の変わったさくちゃんにおびえて、慌てて地面に先程あった事を書き出した。



「透明人間?」


「もう! カゲリちゃん! 秘密って約束したのに!」


「(ぶんぶん!)」


「違うの? もう一人いるって事?」


「(うんうん!)」


 今度は首を縦に振って答えた。



「いったいどういう事でしょう……」


 わかんない……私も知りたい……。

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