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【完結済】異世界合宿サバイバル ー チートお嬢様たちに溺愛された日陰少女のハーレム異世界復興譚 ー  作者: こみやし
01.少女たちの夏休み

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01-41.広がる選択肢

「茉白さんの治癒スキルを活用する方法について案を出してみましょう。一つは今日のあれね。自ら礼拝堂を訪れた者達に癒やしを与えるの。同じ事を続けましょう。人々の間に噂が広まって、それが真実と気付けば、神への信仰心も自ずと取り戻せるかもしれないわ」


 ふむふむ。礼拝堂を起点に自然と神様が敬われるのを待つパターンだね。



「後は二つ。取り敢えず私が思いついたのはそれくらいよ。一つは旅の治癒師とでも名乗って正面から王都に入る案。もう一つは徹底的に姿を隠して、王都中に治癒を振りまく案。前者は論外よ。茉白さんの美しさは必ず王の目に留まるわ。後者は得られる効果が未知数よ。多くの人を助ける事は出来るでしょうけど、一時的な治癒が必ずしも未来の為になるとは限らないわ。私達が能動的に動くだけでなく、彼らにも考えを改めてもらう必要があるの。だから私はここで待つ案を推奨するわ。皆の意見も聞かせてもらえるかしら?」


「待ち構えれば手遅れになりますわ」


「そうですね。王都は閉鎖されています。それに重病者程自力で動く事は困難です。そういう方々だけでも先に治療して回るべきかもしれません」


「尤もな意見だわ。下手をすると一部の連中が金儲けまで始めかねないものね。特別な通行許可の交付と森までの護送費用を高額にして神の恩寵を牛耳ろうとするかも」


 そもそもこんな世界で貨幣がまともに機能してるのかな?



「……配給制です。基本的には」


 リーダーちゃんの未来予知だ。



「貨幣も存在しないわけではありません。ただし価値を見出しているのは極僅かな者達だけです。一般市民にとっては配給と物々交換が主流です」


 なるほど。そもそも紙幣や硬貨は新しく作れないもんね。木とか下手に切れないし。紙だけでなく、硬貨を作るにしたって燃料や水が必要だ。どう考えたってそんな余裕はない。既にあるものを使い回しているだけなのだろう。



「もっと身近な存在になる必要があるわね。出来る事なら王都の中に診療所、或いは教会を設けたいわ。回診なんかも出来ると尚良いわね」


 だね。確実に王様が手を出してくるだろうけど。



「こんな言い方はあれだけど、人も大切な資源よ。これ以上の人口減少はなんとしても抑える必要がある。ある意味では水や食料より大きな問題なの」


 そう簡単には増やせないもんね。その上減れば減るだけ衰退も早まる事になる。確かにのんびり待ち構えている余裕は無いのかもしれない。



「治癒は動植物にも使えるのかしら?」


「使えるわ♪」


「木の実を取って治癒をかけた場合はどうかしら?」


「それは生えてこないわね」


「木の実を半分だけ削り取って治癒をかけた場合は?」


「ごめんなさい。試していなかったわ」


「そう。なら明日試してみましょう。それからもう一つ。治療の為のエネルギーはどちらから失われるのかしら?」


「私から分け与える形よ。正確にはスキルがって言うべきなのかしら? 心配しないでね。これは自然と回復するわ」


 茉白ちゃんだけMP制なの?



「それはどこから生み出されているのかしらね。この森を離れたら回復しなくなるのかしら?」


 あ~なる。神様が供給してくれているかもしれないんだ。



「う~ん……その可能性は高いかもしれないわ。完全に途絶えるって事は無いと思うのだけど、力の回復が遅くなるかもしれない。なんとなくだけどそんな気がするわ」


「それで正解です。茉白さんもご自身のスキルについてよく研究されていますね♪」


 リーダーちゃんのお墨付きが出た。未来予知便利。



「とはいえまだまだ研究のし甲斐がありそうよね。もしかしたら茉白さんの力は治療に限ったものではないのかもしれないわ」


 この森の中でならもっと出来る事があるのかもって事? 神様の代行として力を扱えるかも?



「ええ。もしこの地に溢れる莫大な力を思いのままに操る事が出来たら選択肢も格段に増えるでしょうね」


 いっそ魔術とか使えないのかな? 折角の異世界だよ?



「……いません」


 リーダーちゃんがまた険しい顔に……。



「あ、すみません」


 ううん。ごめんね。何か嫌なものを見せちゃったよね。



「いえ。これは……」


「無理はしなくていいわ。大方の想像はつくもの。かつて魔女狩りでも起きたのでしょう? この世界の魔術師達は途絶えてしまったのね」


「……はい。その通りです」


 とっくに滅びちゃったのか……。



「ある意味私達にとっても都合が良いわ。想像を超えた強者が敵になる可能性は格段に減るんですもの」


 クールちゃんたら。気を遣うにしてもそんな悪ぶる事ないじゃん。



「うっさい」


 ふふ♪ 可愛い♪ 大好き♪



「この……はぁ……」


 ごめんて。



「話を戻しましょう」


「はい♪ 綺透さん♪」


 結局タイミングを見て王都には忍び込むけど、それ以外は基本的に待ちの姿勢でって事だよね?



「ええ。調査員を上手く引き込めたなら彼にも手伝ってもらいましょう」


 手伝う? 情報でも集めてもらうの?



「内容はなんでもいいわ。ただ神の下で善行を積むことに意味があるのよ。神の奇跡を間近で見学させれば身に染みるでしょう。それが彼の意識改革に繋がるわ。そうやって一人ずつ変えていきましょう」


 最初の信徒かつ、宣教師になってもらうんだね。



「ゆくゆくはね」


「手伝ってもらうにしても、やり方はある程度こちらで考えておくべきですね」


「そうね。最初は全部指示するくらいで構わないわ。考えが変わってくれば自ずと自分で動くようになるでしょうし」


「結局姿は表さないんですの?」


「ええ。私達は常に灯里さんのスキルで姿を隠しましょう。そして意思の伝達には影裡さんのスキルを使いましょう」


 王様対策としてもそれが無難だよね。



「手の届く所から一つずつ着実に進めましょう。急ぐ必要はあるけど慌ててしまうのはダメよ。藻掻けば藻掻く程身動きもとれなくなるものよ。選択肢を広げようとして狭めてしまえば本末転倒よ。慎重さを常に忘れないで」


「仕方がありませんわね。性には合いませんが、その方針に賛同いたしますわ」


 やったぜ♪ ちゅっ♪ 投げチッス♪



「なんですの?」


 え? 何が?



「聞いているのはワタクシですわよ」


 う~ん? アリシアちゃん大好き♪



「あら。もう渾名では呼んでくださらないの? ワタクシ気に入っていましたのに」


 ノーブルちゃん♪



「こちらにいらっしゃい」


 なっ! ノーブルちゃんが手を広げて待ち構えてる!? これは行かねば! けど私の前後はリーリャちゃんと茉白ちゃんが! ぐぬぬ! 身動きが取れない! そうか! これが選択肢を狭めるという事なのか! 私はもちもちやわやわふわふわに囲まれるという最高の未来を勝ち取った代わりに他の選択肢を選べなくなっていたのか! なんてこった! このカゲリの目を持ってしてもこの結末を読めなかった!



「今回だけですわよ」


 ノーブルちゃんは自らこちらに近づいてきてくれた。そのままリーリャちゃんごと私を抱き締めてくれた。



「邪魔」


 リーリャちゃん。



「……はい。影裡様」


 うふふ♪ しゃぁわせ~♪



「うわ~ん!! カゲリちゃんの! カゲリちゃんのばぁ~かぁ~~~~!!!」


 あかん。ごめん、皆。ちょっと。



「あら。あっさり出てきたのね」


「なんだかんだと灯里さんの事は大切にされていますよね」


「あんなデレッデレだったのに♪」


「影裡殿は義理堅い」


 さくちゃんてば意外と泣き虫さんだからね。慣れたもんだよ。こういうのも。はい、ぎゅっちゅ♪



「ひっぐ……ぐっす……ごめんね……カゲリちゃんが……幸せなの……止めちゃった……うわぁ~~~ん!!」


 大丈夫大丈夫。怒ってないよ。あのふわやわ空間は至高だったけど。また頼めばやってくれるよ。きっと。うん。



「未練タラッタラじゃない」


「無理もありません……」


「ましろん! ありりん! りーたん! うちもうちも! かげりんの幸福波動が伝わってきたせいで我慢できない!」


「……ふむ」


 あっ! 取られた! 私の特等席!



「カゲリちゃぁ~~ん!!!」


 あかん。こっちに集中しないと。よしよ~し。大丈夫でちゅよ~。怒ってないでちゅからね~。ママは側にいまちゅからね~。



「まぁま~~~!!」


 あれ? なんか油注いだ?

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