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01-03.初めての夜

「ウフフ♪ 造作もありませんわね♪」


「あらあら~♪ 凄いのね~♪」


「……とんだチートだわ」


「チート? 我らの力の事か?」


「……なんでもないわ。それより戻りましょう。もう直日が暮れるわ」




----------------------




 高慢ちゃん、天然母性ちゃん、清楚クールちゃん、武士道ちゃんの四人が帰ってきた。四人は食料や薪を集めに行った筈なのに手ぶらで帰ってきた。それもその筈。彼女達の後方には幾人かの影メイド達が付き従っている。荷物は全てメイドさん達に持たせていたのだ。便利だけど、どうせならアイテムボックスとかも欲しかった。折角の異世界だし。まあ、どのみち私には何も無いんだけど。



「ありがとう! アリシアさん! 茉白ましろさん! 綺透きすいさん! 凛火りんかさん!」


 リーダーちゃんは探索組一人一人と握手を交わしながらお礼の言葉を伝えて労った。この子が皆から好かれるのはこういう所なのだろう。私の事も何かと褒めてくれる。きっとリーダーちゃんにとっては勘違いだとかどうでもいいんだ。


 今のような極限状況下では健全な精神状態の維持が何より大切だ。ああして気持ちを明るくさせようと努力するのは必要な事だ。リーダーちゃんは率先してそんな空気を作ってくれている。本当に凄い子だ。リーダーちゃんは。私もせめて足を引っ張らないようにしなくちゃ。その為には何が出来るんだろう。私なんかに、なんて思わないで考えないとだね。



 夕食の準備はメイドさん達が済ませてくれた。本当なら余裕がある内に色々と試してみるべきなのだろうけど、今日の所は話をする時間を確保する事にしたようだ。食事を済ませて人心地付いた所で、誰かが言い出すまでもなく、自然と話し合う姿勢になっていた。



「現在私達は遭難中です。先ずは現状を整理しましょう」


 と言いつつ既にある程度は話し合った後なのだろう。たぶんこれは私の為だ。私が寝ていた間に話し合った事を改めて伝えようとしてくれているのだ。更新された情報を共有しておく意味合いもあるのだろうけど。



「一先ず食料、水源、寝床の心配は要りません。体温の維持についてもこの環境であれば問題は無いでしょう。気温湿度共に安定しています」


 だね。むしろ快適過ぎる程だ。



「現在地の把握は不可能です。信じ難い事ですが、ここはおそらく地球上のどこでもないのでしょう」


 あら。もうそこまで突き止めたんだ。口ぶり的に根拠があるようだ。私みたいに「なんか特殊能力あるから異世界だ」なんて単純な判断ではないっぽい。どうやったんだろう? 植生とかでわかるのかな? 空や太陽は普通っぽいけど。星空とか見たらまた色々わかりそう。リーダーちゃんなら。



「我々の目的は帰還方法の探求です。異論はありますか?」


「「「「「「異議無し」」」」」」


「……影裡さんは何か気になる事が?」


 しまった。返事が出遅れた。どのみち声は出ないけど。



「あなたはこう言いたいのね? 私達にはもう帰る場所など無いと。もしかしたら転移ではなく転生かもしれないと」


 え? 清楚クールちゃんいきなり何言ってるの?



綺透きすいさん。それはどういう意味でしょうか?」


「……いえ。私には何の事かよくわからないわ」


 えぇ……。



「あれっしょ♪ アニメのやつ♪」


心愛ここあさんは何かご存知で?」


「うん♪ よくあるんよ♪ 異世界転生って定番なの♪」


「なるほど……転移と転生ですか……。しかし我々の肉体は以前と代わりありません。それに制服も着たままです。転生とは赤子からやり直すという事ではないのですか?」


「そこはあれだね♪ わかんない♪」


「状況次第なのよ。私達の記憶はバスに乗った後で途切れているわ。つまり何らかの事故に巻き込まれた可能性がある。容姿については転生させた神が気を利かせたりなんて事も」


「詳しいですわね」


「……たまたまよ」


 なるへそ。清楚クールちゃんは隠してるのか。うんうん。わかるよ。イメージって大切だもんね。あなた程の美人さんなら気も遣うよね。大変だね。うんうん。



「そうですか。影裡さんはそのように」


 あうち。首動いてた? なんか誤解させちゃった?



「わかりました。その可能性も留意しておきましょう。少なくとも今現在の我々には以前と変わらぬ健康な肉体が存在しています。仮にこれが転生であったとしても、さしたる問題は無いでしょう」


 それもそうだね。仮に向こうの私達が死んじゃってたとしても帰りさえすればどうにでもなるかもしれない。私はともかくリーダーちゃん達になら自分を証明する術はいくらでもあるんだろうし。



「では次に皆さんの力を教えてください」


 割とショッキングな事を話していた筈なのに誰にも動揺する気配が無い。……いや。ギャルちゃんだけ震えてる? 気のせいかな? 一瞬そんな気がしたけど今は普通に見える。


 けどそうだよね。普通は動揺くらいするよね。それか私みたいに現実を受け止めきれてなくて、何だかふわふわしていたりとかね。正直真面目に考えると泣きたくなりそうだから敢えて考えないようにしてる部分もあるよね。



 それはともかく能力発表会も大切だ。今後私達が無事にこの世界を生き抜く事が出来るのかどうかがかかっている。こればかりは聞き逃すわけにはいかない。……別に興味本位だけってわけじゃないんだからね!



「私の能力は『未来予知』です。少し先の未来を知る事が出来ます」


 なるほど。それで自信があったのか。リーダーちゃんなら能力なんて無くても似たような言動してそうだけど。



「ワタクシは『シャドー・メイド』♪ 我が従僕達の写し身を呼び出す事が出来ますわ♪」


 多分高慢ちゃんのこれが一番のチートだよね。出せるのは影メイドだけじゃない。お嬢様っぽい家具まで一緒に出せるのだ。(中身入りの)食器やカップだけでなく、ポットやベット、果ては着替え入りの洋服棚まで。しかも戦闘までこなせちゃうっぽい。本当に万能な能力だ。きっと高慢ちゃんこそが私達の要となるだろう。呼び方改めた方がいいかな? 高貴ちゃんくらいにしとく? でもなんかナチュラルに偉そうなんだよね。別に悪意があるとかじゃなくて、なんというか自分が偉くて当たり前っていうか。ノブレス・オブリージュって言うんだっけ? 私の事とか守る対象としてしか見ていない感じが伝わってくるのだ。もちろん良い子だとは思うんだけどね。やっぱり高慢ちゃんの方が合ってる気がする。どうせ直接呼ぶ事は無いんだしね。心の中だけの渾名だし。



「『身体強化』だ。戦闘は請け負おう」


 武士道ちゃんはシンプルだね。得てしてそういうシンプルなやつ程強いんだよね♪



「私は『治癒ヒール』かな~?」


 天然母性ちゃんは何故か半信半疑だ。



「たぶんそうかな~って思うんだけど。まだ誰も怪我してないから~」


 なるほど。使ってみた事も無ければ疑問にも思うか。



「うちのも聞いちゃう~♪」


 まただ。ギャルちゃんは少し無理をしているのかも。一瞬そんな感じがした。気のせいかもだけど。



「うちは『魅了チャーム』♪ 安心して♪ 皆には効かないみたいだから♪」


 試したんかい。



「私は『構造把握』よ。正直これ単体ではあまり意味がないわね。もっと扱いやすいスキルがよかったわ」


 構造把握? 鑑定とは違うの? 文字通りに受け取るなら知識が必要って事? さっき地底湖の水を確認してたけど、そもそも安全な水の知識が無いと問題無いってわからないよね? ……そりゃ不満も言いたくなるわ。凄い能力だとは思うけど。



「次は私だね。私は『結界』。カゲリちゃんは私が守るから安心してね♪」


 やっぱりあの壁は幼馴染ちゃんが出してたんだね。それはそうと、やっぱり距離が近いと思うの。もう少し離れてほしいなぁ……。……でもやっぱいいかな。なんか落ち着くし。



「ズルいです……」


 うん?



「影裡さんのも教えて頂けますか?」


 あかん。注目されてる。幼馴染ちゃん。今だけはもっとしっかり抱き締めてくれて……あれ? なんで離れるの?



「影裡さん?」


 やばい……。



「もしかして影裡さんの能力は話せないものですか?」


 いえ! そもそも能力スキルが無いんです! 私はやっぱりモブキャラなんです!



「あなた探知系か直感系よね?」


 なにそれ!? 私知らない!



「ですよね! 綺透きすいさんもそう思いますよね!」


 なんでリーダーちゃんのテンション上がるの!?



「影裡さんは凄いんです! 私より早く皆さんの事も見つけてくださったんですから!」


 違うってば! あれは偶然! 見つけたのはリーダーちゃん! 未来予知の先回りなんて出来ないから!



「(ぶんぶん)」


「違うの? もしかして喋らない事と関係あったりして♪」


「成る程。現実改変系の能力ね。まだ手にしたばかりで制御が甘いから暴発しないように気を遣っていたのね」


 言霊!? というかクールちゃん隠さないで良いの!? 色々漏れてるよ!? 漏れ出してるよ!? ダダ漏れだよ!



「ふふ♪ さっすがカゲリちゃんだね♪」


 ああ。幼馴染ちゃんに抱き締められると安心する……。今みたいな時は特に。ありがとう、さくちゃん。もうあなたはさくちゃんだ。そういう事にしてしまおう。うん。

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