01-26.補填
「リソース不足ぅ?」
「すみません。借り物の力だったので加減がわからず」
私が本来得るべきだったスキルは、正確にはその為の力は、私以外の八人に振り分けられた時点で尽きてしまったそうだ。残念……。
「何よ借り物の力って」
「答えられません」
「こ・た・え・な・さ・い」
「いくら攻撃されようと、あばばばばばばば!?」
「灯里さん……どうかその辺で……」
「力云々はどうでもいいわ。それより問題は影裡さんのスキルよ。そちらに落ち度があると言うなら何か補填があっても良いんじゃないかしら?」
「これはあくまで好意で……ひぃっ!? 電撃はやめてください!!」
「灯里さん。話が進まないから少し下がってて」
「がるるぅ!」
幼馴染ちゃんは威嚇してから半歩だけ引き下がった。
「……わかりました。わかりましたよ。私に出来る事ならばしてさしあげますとも。今回限り。特別ですよ」
お! それってつまりスキルをくれるって事!?
「何か希望はありますか?」
う~んとね~♪
「残念ながら本当に時間切れです。これをどうぞ」
神様の指先から何かが私の身体に流れ込んできた。その直後、フェアリスちゃんの身体から何かが抜け出していった。おそらくあれが神様だろう。今度は結界もすり抜けて天に帰れたようだ。
「何を貰ったの?」
う~ん? なんだろう? スキルってどうやって使うのかな?
「なるほど。そういう力ですか」
え? リーダーちゃん何かわかったの?
「リーダーちゃん? そのように呼んでいらしたのですね」
え? あれ? もしかして?
「全部漏れていますわよ」
ノーブルちゃんにも聞こえてる?
「なんですの。ノーブルって。まあ悪くはありませんわね」
なるほど……そういう……。
「ちなみにうちは♪ うちの事はなんて呼んでるの♪」
ギャルちゃん。
「うける♪ うち別にギャルじゃないし♪」
そうなの?
「私は私は♪」
茉白ちゃん。
「なんで茉白さんだけ名前呼びなんです?」
う~ん。なんとなく。ついこの間まで母性ちゃんって呼んでたんだけどね。
「昇格制なのかしら? ちなみに私は?」
クールちゃん。
「ぴったりですね♪」
「そうかしら?」
「カゲリちゃん!」
さくちゃん!
「影裡様……」
リーリャちゃん!
「凜火さんはどうですか?」
武士道ちゃん!
「……ふむ」
ありゃ? お気に召さなかった?
「いや。好きに呼ぶといい」
やった♪ ありがと♪ 武士道ちゃん♪ 大好き♪
「(ぎゅ~♪)」
「……随分と人懐っこいのだな」
皆優しいもん♪ 皆大好き♪
「……正直意外だったわね。いえ。そうでもないかしら」
「触れ合いに飢えているのでは?」
「私の調教の賜物だね!」
自覚あったんかい!
「そうでした。改めて問わねばなりませんね。灯里さんの事はどう思っていらっしゃるのですか?」
リーダーちゃん? 真っ先に気にする所かな?
「カゲリちゃん! どう思ってるの!?」
そりゃあもちろん大好きな幼馴染だね。
「やった♪」
ちょっと結婚とかは無理だけど。
「えぇ!? 約束したじゃん!!」
おままごとにかこつけて言わせてただけじゃん……。
「そんな事をしていたのですか?」
うん。お気に入りのお人形扱いだったよ。
「酷い! 私はこんなにもカゲリちゃんの事を想っているのに!」
それ自体は嬉しいんだけどね。はいぎゅっぎゅっちゅっちゅっ♪
「カゲリちゃぁん♪」
「酷いスケコマシだわ。絶対これ影裡さんの方にも問題があるわね」
「あれだけ過剰なスキンシップをしておいて本人は友達のつもりなのですね」
「しかもこれ心の声だから間違いなく本心だよ」
「あらあら~」
「というか制御出来るんですの? 今後はずっと垂れ流しなんですの?」
どうだろう? やってみよっか。
けどどうやって? う~んて唸れば出来るのかな?
「任せて」
リーリャちゃんが何かを吸い出し始めた。
「……」
リーリャちゃん?
「あら。何も聞こえなくなりましたわ」
え? もしかしてスキルごと引っこ抜いちゃったの?
「……大体理解した」
リーリャちゃんは再び私に力を流し込んできた。どうやら『吸収』のスキルは『放出』もセットになっているようだ。
「心を閉ざして。それで言葉も消える」
無茶言わないで……。
「出来ない?」
無理~。だって皆大好きなんだもん~。
「心を閉ざすってそういう意味じゃない」
なるへそ? わからん……。
「仕方ない。慣れるまでボクが制御する」
あら便利。
「そのままでも良いじゃん! いつでもお話したいよ!」
「それじゃあ影裡様が困る。少しは考えろ」
喧嘩しないで~。




