01-22.アウトドア趣味
「むっす~」
幼馴染ちゃんがご機嫌斜めだ。目覚めた時に私が隣で忍者ちゃんに押し倒されていた(ように見えた)のが気に入らないらしい。
「(すりすり♪)」
「カゲリちゃんってワンパターンだよね」
さくちゃんが手を差し出してきたんじゃん。
「まさか私が寝ている隣で堂々と浮気するとは思わなかったよ」
違うんだって。ちょっとした事故なんだって。……え? あれは見てないよね?
「それで? いつまでそうしてるの?」
え? ああ。そこは見逃してあげてよ。リーリャちゃんのしてくれた事を思えば腕枕くらい安いもんでしょ。
「いいもん。カゲリちゃんがそのつもりなら私もこっち使わせてもらうんだもん」
「(ニコニコ♪)」
「私怒ってるんだよ? なんで嬉しそうなの?」
「(すりすり♪)」
「またそうやって」
ごめんごめん♪
「皆何話してるのかな」
皆もすぐ近くにいるんだけど微妙に声が届かない。今の今までさくちゃんが寝ていたから声を抑えているんだ。さくちゃんがいないと姿を隠せないからね。万が一村人さんにでも見つかったら面倒な事になっちゃうし。
「あ、そっか。結界張り直さないと」
さくちゃんが結界を張ると皆も気付いて近づいてきた。
「また侍らせてるわね」
ふっふっふ♪ 残念だったねクールちゃん♪ 私の腕は埋まってるぜ♪
「うっわ♪ すっごいドヤ顔♪」
むっふ~♪
「絶妙に腹立つのよね」
いやん♪ そんな目で見ないで♪
「けど可愛いわ~♪」
けど?
「あはは~♪ 影裡さんはいつだって可愛いですよ~♪」
君もだぜ♪ リーダーちゃん♪
「調子に乗っていますわね。そんなんではダメダメですわ。ワタクシが正しい添い寝の作法を教えて差し上げます。今晩隣を空けておきなさい」
作法ってなに? お嬢様はそんなことまで習うの?
「……」
武士道ちゃんは何を考え込んでるの?
「ごめんね、寝過ごしちゃった。今日は何するの?」
「今日はお休みです♪」
「いいの?」
「リーリャさんが起きたら頼みたい事はあったのだけどね」
「頼みたいことって?」
ことって?
「村に偵察に行ってほしかったのよ。それで出来ることならフェアリスに連絡を取ってほしかったの。もしあの子がまたこの森を訪れる事があるなら話を聞いておきたかったのよ」
なるほど。けれど一昨日のあの様子を見た限りだと難しいかもしれない。なんなら村から出るのも止められてるかも。
「お芝居の練習は?」
「偵察が十分に済んでからよ。焦る必要はないわ」
昨日は中途半端になっちゃったんだもんね。私は途中で気を失ってしまったから詳しくは知らないけど。
「この世界に来てからはずっと動き続けていましたから。ここらで一日休んでも問題は無いでしょう」
ほんとよく歩いたよ。皆は。
「カゲリちゃんはどう思う? こんな時って何をするべきかな?」
さくちゃんは動きたいのか。う~ん……何があるかな?
さくちゃんが私の指先を自分の手の平に押し付けた。まだ考えてる途中だけど、取り敢えず何か答えてみよう。
「つり? お魚釣り?」
「(こくこく)」
「お魚食べたいの? なら私の結界で取ってあげるよ♪ 指定したものだけ捕らえる方法もわかったし♪」
さくちゃんって何気に天才肌だよね。昨晩結界を改良してみせたのもそうだけど。
「ダメよ灯里さん。そんな乱暴な獲り方をしたら後にどんな影響が残るかわからないわ」
そうだね。根こそぎ掬い上げるような乱獲はマズいよね。最悪湖が濁って使い物にならなくなるかも。
「そっか。なら普通に釣ろっか。アリシアさん。メイドさん達って糸も出せたよね?」
「普通の裁縫用ですわよ?」
「問題無いよ。ボタン付け用のやつ頂戴」
糸を受け取ったさくちゃんは慣れた手つきで数本を編み込んで太く丈夫な糸を作り、影メイドさんが加工してくれた針と錘と落ちていた枝を結んで急拵えの釣り竿を完成させた。
「やりますわね」
「ふふふ♪」
「もう一本出来ました♪」
リーダーちゃんも流石だ。見様見真似で作っちゃった。
「私も手伝うわ」
「うちもやる~♪」
皆であっという間に人数分の釣り竿を作り上げ、急遽魚釣り大会の開催が決定した。
「ミミズ~♪ ゴカイ~♪ ブドウ虫~♪」
へんな歌。
「淡水域にゴカイは居ないわよ?」
なんでも知ってるクールちゃん。
「虫さんは苦手です……」
今更だね。リーダーちゃん。
「うちもな~」
「針を刺すのはね……」
ギャルちゃんと茉白ちゃんも脱落だ。
「いいよ~♪ 皆のもつけてあげる~♪」
さくちゃんがご機嫌だ。もしかしなくても釣りが好きっぽい。
「う……うぅ……」
あ。リーリャちゃんが起きた。
「!? きゅぅ~……」
私の顔見た途端にまた気絶しちゃった……。腕枕は先ずかったらしい……。
仕方ない。少し離れているとしよう。私も釣りやってみたいし丁度良い。
「カゲリちゃんもやるの♪ はい♪ どうぞ♪」
ありがと♪ さくちゃん♪




