03-36.新たな力
「「カゲリ~~~~~~!!!!」」
あれ? フェアリスちゃん? ティエラ?
何かに追われてる?
「行く!」
「任されよ!」
リーリャと凜火が飛び出していった。
「あ♪ お手柄じゃん♪」
フェアリスちゃんとティエラが引き連れてきたのは人型の何かだ。手には三叉の槍のようなものを持っている。所謂リザードマンというやつだろうか。水棲だから違うのかな? サハギンは頭魚だっけ? マーマンは人魚だよね。
とにかく、水棲リザードマン的な魔物たちが数匹追いかけてきている。
リーリャと凜火が割って入り、さくちゃんが結界でフェアリスちゃんたちを保護し、心愛ちゃんが魅了スキルで無力化した。
「やりましたね♪ これで四階層の攻略も楽になります♪」
この階層は一面海だから、ゴブリンさんたちに任せるわけにもいかないもんね。
「お仲間呼んできて♪」
「「ギョギョッ!!」」
鳴き声、リザードマンなのにそれなんだ。
その後は続々と水棲リザードマンたちが現れ、あっという間に心愛ちゃんの傘下に加わった。
「王よ! お納めください!」
演技がかった声を張り上げながら、心愛ちゃんは私の前に跪いた。
リザードマンたちも一斉に後に続いた。まるでよく鍛えられた軍隊のようだ。一斉に膝をつく様は圧巻の一言だった。
「ごーろー」
ご苦労って言おうとしたんだけどなぁ……。まいっか。
「どうぞご命令を♪」
未来もノリノリだ。
じゃあ、皆。この階層の攻略は任せたよ。
「「「「「「「「「ギョギョッ!!!」」」」」」」」」
リザードマンたちは一斉に海へと飛び込んでいった。
「凄いわね。全然飛沫が上がらなかったわ」
ね。びっくり。
「ふふ♪ 思わぬ収穫でしたね♪」
心愛ちゃん。フェアリスちゃん。ティエラ。リーリャ。凜火。さくちゃん。全員集合。
「「「「「「はい!」」」」」」
よしよし♪ 良い子良い子♪ ありがとう♪
ぎゅっちゅぎゅっちゅ♪
次々に抱きしめて口付けて頭を撫でていった。
「わくわく♪」
未来が並んでる。しゃあないなぁ♪
ぎゅっちゅぎゅっちゅ♪
「♪」
キスイも? 何もしてないよ?
「食料見つけたじゃない」
そうだったね。はいぎゅっちゅ♪
アリシアと茉白ちゃんもカモン♪
「「♪」」
ぎゅっちゅぎゅっちゅ♪
ふふふ♪ よいよい♪ よいぞ皆の者♪
影裡ちゃんの王様ランクが上がった!
……神様ランクは上がらないのかな? 人間じゃなきゃダメかな?
「……」
リーリャ? どうしてそんな顔してるの?
「……なんでもない」
なんでもなくないよ。
ついさっきまで一緒に喜んでたじゃん。
「……」
何を思い出したの? 言いなさい。
「……」
言え。
「……ない」
「リーリー」
「……」
あら。泣き出しちゃった。
「リーリー」
抱きしめながら繰り返す。
まだ上手く呼べないけど。いずれちゃんと呼べるようになるからね。
「~~♪」
歌まで歌っちゃうぜ♪
「……ひっぐ」
よしよし。良い子良い子。リーリャはいっぱい頑張ってくれてたもんね。今も頑張ってくれてるんだもんね。いつもありがとう。もう良いんだよ。楽になっていいんだよ。
教えて。リーリャ。
今の私になら出来る筈だ。
ごめんね。リーリャ。
リーリャの守る秘密を覗かせてもらうよ。
大丈夫。リーリャ。
私は全てを受け入れるよ。
さあ。見せてみて。リーリャの全てを。
「っ!?」
リーリャが慌てて飛び退いた。
「ダメ!! ダメだよ! 影裡様!!!」
けれど意味はない。私の力は接触を必要としているわけじゃないから。
「くっ!!」
リーリャは姿を消してしまった。今も走り続けている。私から遠ざかろうと、海の上を駆け続けている。凄いね。そんなことまで出来るんだ。
ふふ♪ けど凄いのはリーリャだけじゃないんだぜ♪
影裡ちゃんの成長だって著しいのだ。
リーリャの思考が頭に流れ込んでくる。なんて疾走感。けど視界が滲んでる。不安。恐怖。悲しみ。様々な感情が流れ込んでくる。
リーリャは今泣いている。そうまでして隠しておきたい秘密が伝わってきた。
……うん。全部わかったよ。
ごめんね。リーリャ。それに皆も。




