03-31.解決策
ダンジョンの奥にもう一つの家を作ろう。
「この家はダミーと割り切るのね」
「別に切り捨てる必要はありません」
そう。普段はこのまま住み続けよう。完全に引き払ってしまっては意味がない。神の住まう家という特異性が失われてしまうから。けれど、この家はあくまで見せる為のものと割り切るんだ。
その上で、私たちの理想を詰め込んだ最高の家をもう一つ作り上げよう。そうすればきっと気にならなくなるよ。その余裕が彼らの興味を失わせることに繋がると思うんだ。
「理屈はわかるわ。ムキになって反応を示すからかえって興味を引いてしまうのよね」
うん。そういうこと。彼らは私たちのことが気になってしかたないんだよ。まるで恋する少年みたいにさ。
「そんな可愛げのあるものとは思えませんが」
「名付けて"見せパン作戦"ね」
ファンサービスを忘れないようにしてあげないとね。
「やめてください。名前一つで名案が愚策に早変わりです」
ふふ♪ 名前はともかく名案だって認めてくれるんだね♪
「もちろんです♪ 流石は影裡です♪」
「私も異論は無いわ。皆はどうかしら?」
「「「「「「「「異議無し!」」」」」」」」
「結構よ♪」
よかった。この家だって思い入れ深いものだから、そんな使い方には抵抗があるかもとも思ったんだ。
「無いわけではないわ。それでも家はまた建てられるもの。この家を建てた経験を元に、次はもっと良いものを作り上げましょう♪」
「「「「「「「「「お~~~!!!」」」」」」」」」
お~!
「さて。話を戻しましょう」
広場の件だね。
「ええ。影裡のお陰で名案を思いついたわ♪」
それは期待出来そうだね。
「泉の中心にステージを設けましょう。集会場として使い勝手が良いように広場自体を整備するの。普段は水汲み場としても使いやすいようにするのがいいわね。各家庭に水道が伸びるのはまだ少し先のことだから」
完璧だね♪ 流石キスイ♪
「やりますね♪ 流石は私の綺透です♪」
「はいはい。皆はどうかしら? 異論はあるかしら?」
「「「「「「「「異議無し!」」」」」」」」
「はい。ありがとう。それでやり方なんだけどね。お伺いを立てるのは無しよ。一方的かつ強制的に施工します。意味はわかるわね? 私たちは彼らの意見に流されないと示すの。けれど歩み寄るつもりはあるのだと気付かせましょう」
「それでも反感を持つ人は出るっしょ?」
「それでいいのよ。たしかに今はまだ彼らの自立を認めるわけにはいかないわ。だからって自立心を完全に失われても困るのよ。ただ従順なだけの子供より、何にでも積極的な子供の方が都合が良いの。その上で最終決定権は私たちにあるのだと示しましょう。神に……親に逆らって好きな道を選ぶのは、大人になってからなのだと理解してもらいましょう」
うん。いいと思う。加減を間違えたら、かえって自立心を奪ってしまう結果に繋がるかもだけど、この程度なら、むしろ効果的に伝わると思う。
「ええ。一晩で仕上げてしまいましょう。万全の準備を済ませて臨みましょう」
「神の御業を見せつけてしまいましょう♪」
さくちゃんとリーリャが頼りだよ♪ よろしくね♪
「任せて♪ カゲリちゃん♪」
「仰せのままに。影裡様」
「デザインはうちらに任せて♪ やろ♪ ティー♪」
「うん! ココア! 合作だね♪」
最強コンビじゃん♪
「ココア、ティエラ。このスケッチブックを。軽いイメージで構いません。微調整は請け負いますわ」
アリシアの側に、影メイドさんが椅子と机とセットで現れた。しかも机にはノートパソコンが開かれている。……え?
えぇ!?!? そんなの出せたの!?
「ええ。ようやく出せるようになりましたの。ワタクシも日々成長を続けているのですわ。もちろん、デザインソフトも入っておりましてよ♪」
凄い! 流石アリシア! ゲームは!?
「あいにくとやったことがありませんの」
くっ! 無念!
「マインスイーパーやソリティアくらいなら入っているんじゃないかしら?」
いっそキスイが作れないの!?
「仕方ないわね。リーリャさん。そのパソコンを複製してくれるかしら? 私も一台欲しいわ」
「無理。けど頑張る」
流石に複雑過ぎるのね。リーリャの吸収と放出ってそのまんま放り出すわけじゃないんだね。
「物質化には必要な素材を合わせて出す必要があるのよ」
なるほど。アリシアの実体ある幻を設計図にしているだけなんだ。
「ええ。察しが良いわね」
それを知っていて複製を頼むなんて……キスイも鬼だね。
「影裡が言ったんじゃない。ゲーム作れって」
楽しみにしてるね♪
「ふふ。調子いいわね」




