03-15.制御不能
「綺透さん♪ 綺透さん♪」
「……」
「きっすー♪ きっすー♪」
「……」
「綺透ちゃん♪ 綺透ちゃん♪」
「……」
「綺透……くっ!」
「えぇ……」
キスイを囲む方位陣が狭まっていく。
キスイ♪ キスイ♪
「ちょっと!」
なんじゃらほい?
「なんであんたまで混ざってるのよ!」
面白そうだなって♪ にゃは♪
「どうにかしなさいよぉ!! 遊んでないでぇ!!!」
ごめんちゃい♪
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「ダメだったね。これ」
「だらしないですわね」
「修行が足りておらんな」
未来ちゃん、心愛ちゃん、茉白ちゃん、リーリャに追いかけ回されるキスイを眺める、さくちゃん、アリシア、凜火の三人。
フェアリスとティエラが留守にしていてよかったね。
むしろ居た方がよかったのかな? 人数が多ければもっと分散されていた筈だもんね。
逆になんで三人は平気な顔してるんだろう?
「カゲリちゃんを愛しているからじゃないかな」
なるほど。さくちゃんは私への愛の強さで打ち勝ったと。
「ワタクシだってそうですわ」
「同じく」
本当に? 二人は単に痩せ我慢してるだけじゃなくて?
「我慢でどうにかなるのであれば、リーリャが苦戦する筈もありませんわ」
なんでだろうね。リーリャの場合はまだ前のを引きずっているのかな。あの子の愛や我慢強さが誰かに劣るものとも思えないし。
「そこまで言い切るのは他の子に悪いんじゃない?」
「リーリャ殿は間違いなく精神の鍛錬も収めている。なにか別の条件があると考えるのも妥当だろう」
「それもそっか」
ふふ♪ 流石は私のリーリャだぜ♪ 実際一人で全てを受け止めてもなんとか耐えきっていたもんね♪ 黒歴史は刻まれたっぽいけど♪
「あんまり依怙贔屓はよくないよ。カゲリちゃん。リーリャちゃんが凄いのはその通りだけどさ」
実はさくちゃんが一番贔屓されてるって知らないの?
「何の話?」
「カゲリは灯里が一番だと言って譲らないのですわ」
「えぇ~♪ そんな事言ってくれてたのぉ~♪ も~♪ そういう事は直接言ってよ~♪」
この間真面目な場で言ったよね?
「そ・れ・よ・り!!」
ごめんて。キスイ。
リーリャ。もっかい回収。
「無理。ボク自身はともかく、他者のはどこからどこまでが影裡様のお力なのかわからない」
なるへそ。この状態で回収しちゃうと、それぞれが元々持っているキスイへの好意まで吸い上げてしまうと。
「なによそれぇ!?」
「綺透さ~ん♪」
「ええい! 離れなさい! 正気に戻れ! 未来!!」
「えへへ~♪ 呼び捨ても~♪ 良いですね~♪」
あかん。私の未来ちゃんが……。
「リーリャさん! 構わないわ! やってしまいなさい!」
「やだ」
「なんですって!?」
「これ以上綺透を傷つけられない」
「なっ!?」
あ~あ。リーリャまで。
「これは本当にカゲリの感情だけなんですの?」
「力を介して増幅されたと見るべきかもしれんな」
「そのうち慣れるんじゃない? たぶん今だけだよ」
私もそう思う。感情が浮いちゃってるんじゃないかな?
「寝取るわよ!!」
無理だよ。今だけのボーナスステージだもん。
「なんの確信があって言ってるのよ!?」
勘。かな?
「無いじゃない! 確信なんて!!」
まあまあ。私が許可するからさ。今だけ楽しんじゃえよ♪
「そういうのはね!! 後で全部自分に帰って来るものなのよ!!」
よくわかってらっしゃる。危機管理がバッチリだね。
しゃあない。影裡ちゃん様が一肌脱いであげよう。
キスイ。こっちへおいで。
キスイを背に庇い、暴走状態の未来ちゃん、心愛ちゃん、茉白ちゃんの前に立ち塞がる。(リーリャは辛うじて自分で抑え込むことに成功したようだ)
「影裡!」
へへ♪ 任せろやい♪
「影裡さん♪ 綺透さん♪」
「かげりん♪ きっすー♪」
「影裡ちゃん♪ 綺透ちゃん♪」
くるぞ! ジェットストリームアタックだ!!
「ちょっ!? 影裡!? なんでこっちに倒れ込んで!?」
ぐはー! や~ら~れ~た~!
「あんたねぇ!? 少しは粘りなさいよ!?」
「「「もう逃さない♪」」」
「いやっ!? どこ触って!?」
ふっ。……あかんな。これは。
「何諦めてんのよ!? 任せろって言ったじゃない!?」
でもだよキスイ。
「でももだっても無いわよ!?」
けどだよキスイ。
「このっ!!」
よく思い返してみぃよ。私は八対一でこれを受け入れたんだよ。その時に比べたら十分マシな状況じゃんか。今は三対二なんだしさ。
「あんた重しにしかなってないじゃない! 私の足止めしかしてないじゃない! さっさと退きなさいよ! 私が逃げられないでしょ!」
酷い! 影裡ちゃんを置いて逃げるだなんて!
「だいたいあなたは!」
「「「喧嘩はダメ♪」」」
「むぐっ!?」
あ~あ。ついに仕留められちゃった。
頑張れキスイ。私も一緒だ。




