03-08.偶像化計画
「影裡さんを唯一神として扱います!!」
「「「「「「「「「異議無し!!」」」」」」」」」
異議あり!! どうしてそうなったぁ!? 何でもかんでも取り込んでいくんじゃなかったのぉ!?
「神が複数存在しては私たち自身混乱します」
八百万の神はどうしたの!? 多宗教は!?
「要は偶像です。影裡さんにはその役割を担って頂きたいのです」
なんでぇ!?
「あなた仕事欲しいんでしょ? いいからやりなさい」
それを言われると辛い!
「はい決まり」
けど!
「けどは無しよ」
私は既に姿を見られているんだよ?
「だからこそじゃない。影裡は少しずつ姿を見せていきましょう」
結局?
「あからさまにではないわよ。最初は見間違えくらいの距離感で構わないわ。例えば礼拝堂の上に座っている姿を見たとか。夜の森で歩いているのを見たとか。そんな感じで噂をばら撒いていくの。とにかく実在するって気付かせるの」
都市伝説みたいな?
「考え方は似たようなものよ。けれどもう少しだけ寄り添いましょう。だからアイドルよ。画面の向こうには確実に存在しているの。決して手は触れられないし声も届かないけど、その姿だけは皆が知っているという状況を作りたいのよ。完全に姿も知らない隣人よりは、仕事に行く後ろ姿だけでも見かけていれば幾分か隣人感も湧くものでしょ。先ずは隣人になりましょう。隣りに住む神様になりましょう」
石像と合わせて彼らの想像力を掻き立てるんだね。そうやって親近感と神秘性を両立させるんだね。
「そうよ。理解してくれたようね」
私に務まるかな?
「もちろんよ。むしろ影裡以外では成立しないわね」
なんで? それこそ未来ちゃんやアリシアの方が女神様っぽいんじゃない?
「あなたが言ったことでしょ。皆影裡が大好きなの。私たちの大好きなものを布教するの。曖昧で疑わしい本物の神ではなく、本当に心からお勧め出来るマスコットを紹介するの」
マスコット……。
「だって嫌でしょ? これ美味しくないけど食べなさいなんて言われたって。いくら必要な栄養が含まれているからって嫌いなトマトは食べたくないでしょ? けれどオムライスにしてくれたら食べられるでしょう? 娘が食べられるようにって、お母さんが自分自身も大好きな料理を心を込めて作ってくれたら食べたくなるものでしょう? それと一緒よ」
キスイってトマト嫌いだったんだね。
「例えよ例え。私は好き嫌いなんてしないわ。食べられないのは漬物全般と貝類だけよ」
あるじゃん。好き嫌い。しかも結構幅広い。
「いいのよ、私のことは。今は影裡の話よ」
わかったよ。それが必要なことなんだね。ならやるよ。皆が私の為に頑張りたいって想ってくれているのも伝わっているからね。
「それでいいのよ。最初から素直に頷いておきなさいな♪」
善処するよ。次回から。
「言ったわね♪」
脱がないよ?
「誰もそんな事求めてないわよ。いきなり安売りしてどうすんのよ」
おかしいなぁ。初っ端から脱がされたんだけどなぁ。
「何の話よ?」
石像の件に決まってるじゃん。公衆の面前で脱がしたじゃん。マジックミラープレイ強要したじゃん。
「まだ根に持ってるの?」
いー! だっ!
「はいはい。次から気を付けるわ」
ほんと頼むよ。マネージャーさん。
「就任してしまったわね」
「私プロデューサーやります♪」
未来Pかぁ……。
「なんです? その反応は」
逆じゃない? 普段の役割的にはさ。
「はい! はいはいはい! 私マネージャーさんやる! カゲリちゃんのお世話する!」
「そういうのは後で話し合いましょう。長くなるから」
だね。いつも通り持ち回りでもいいんだし。
「ナチュラルにお世話される前提だよね。かげりん」
ふふふ♪ これもハーレム王の特権だぜ♪
「特権階級だね♪」
まさしく♪
「はいはい。遊ぶのも後よ。時間無いんだってば」
は~い♪
「さて。仕切り直しよ。姿を晒す事も影裡の言っていた歩み寄りの一つよね。完全には晒さない事で神秘性も守るわ」
ふむふむ。
「先ずは衣装を作りましょう。神様らしい衣装よ。遠目からでも石像の少女だとわかるように、特徴的な服を作りましょう。なんなら石像の方も弄ってしまいましょう」
結局脱がすんじゃん。
「茶々入れないで」
ごめんなさい。
「他に反対意見はあるかしら?」
別に反対したわけじゃ。
「黙ってて」
ひどい……。
「影裡さんのお漏らし癖はどうしますか?」
未来ちゃんとキスイが無理やり漏らさせただけでしょ!?
「そっちではありません。思考の話です」
紛らわしい!
「スキルを取り上げますか? それとも敢えてありのままを晒してしまいますか?」
「リスクはあるけど面白い試みね」
「そう思いますよね♪ やはり自然体の影裡さんを紹介したいですよね♪ それこそ我々の大好きな影裡さんですし♪」
「距離感を守ればむしろいいアクセントになるかしら」
「我々が姿を隠している理由付けにもなるやも?」
「それは危険ね。口実にするのはやめておきましょう」
「そうですね。極力嘘は排していきたいところですが」
「だからこそ影裡を晒すのは都合が良いわよね。この子嘘なんてつけないもの」
「その通りです♪」
ジャンケンの件を忘れたの? 影裡ちゃんだって日々成長してるんだぜ?
「大丈夫よ。意識的にしかできないじゃない」
「自然体で過ごしてください♪ 皆さんに姿を晒す時は♪」
まるで写真集でも撮ろうとしているみたいだね。
「だいたいそんな感じよ」
「流石は影裡さんです♪ 素晴らしい理解力です♪」
なんかバカにされているような気がする。
「過剰なヨイショは逆効果よね」
「私たちも気を付けねばなりませんね」
演出家の皆さんは多少過剰なくらいでいいのでは?
「演出はあくまで引き立て役よ。演者を飲み込んでしまえば本末転倒よ」
それはそう。
「影裡さんも負けないでくださいね♪」
なるほど。私にも演技力……は違うけど、カメラ映りを気にする程度のプロ意識は必要なんだね。
「そこまで上等なものは期待していないわ」
はい……。
「いずれは影裡が自らコントロールしてくれると楽だけど、最初は意識しない方がやりやすいわね」
精進します。
「その意気よ♪」
それで? そうやって少しずつ歩み寄った後は?
「先ずは気持ちを通じ合わせる事を考えましょう。細かい計画を気にするのはその後よ」
それって皆がって話じゃなくて、私はって意味だよね?
「そうよ。影裡が知ってしまえば意識しちゃうでしょ」
ごもっとも。
「影裡は集中なさい。先ずは有言実行なさい。私たちがその為の道筋を整えるわ。あなたはあなたのやりたいようにやってみなさい」
演技指導は無しってこと?
「そうよ。あなたが自らの意思で示すことに意味があるわ」
頑張ります。
「よろしい♪」




