最終章1 世界の最後
その日、この世界が――見つかった。
夏が近づくある日のことだった。
俺たちパーティは、アレクスに呼び出された。
応接室にいたのは、
アレクス。
その隣にレイナさん。
そしてギルド長。
普段なら穏やかな笑みを浮かべているアレクスの顔は、今日はひどく硬い。
何かを覚悟している――そんな目だった。
アレクスは重たい口を開く。
「今日、集まってもらったのは……
外の世界から来た君たちに、知らせねばならないことがあるからだ。」
広間の空気がひやりと冷える。
「この世界は、今まで君たちをかくまってきた。
本来いるはずのない君たちを
……理由はわからないが、深く追及せず、守り続けてきた。
だが――それがついに“気づかれた”。」
息が止まるような静寂。
「……誰に気づかれたか。どう言えば伝わるだろうか……?」
アレクスは視線を揺らし、覚悟を決めたように言った。
「いうなれば、“神”だ。
この世界をつかさどる存在が、君たちの存在を“許していない”。」
アレクスを含め、この世界の住民は、それが“わかる”のだという。
「近いうちに……君たちは、この世界に留まれなくなる。
すまない。俺たちには、それを止める力はない。」
レオたちが驚きの声を上げる中、俺だけは静かだった。
(……やっぱり、そういうことか。
こんな奇跡が、永遠に続くはずがない。)
俺は元の世界で倒れたとき、あのままなら死んでいた。
だが――誰かが、命を一時的にここへ“退避”させた。
そんな“例外”は、神……あるいはこの世界の“システム管理者”に、
いずれ修正される。
(俺たちは……もともと、ここにいてはいけない存在だったんだ。)
胸の奥で、何かが静かに落ちた。
気づけば、俺は立ち上がっていた。
「マイト?」
アレクスが驚いた声を漏らす。
俺は三人を見渡し、深く息を吸い込む。
「……いつ、別れが来てもおかしくない。
だからまず言わせてほしい。」
部屋の空気が張りつめる。
「アレクスさん。レイナさん。
そして、この世界の皆さんに。
俺たちを守ってくれて、本当にありがとう。
どうなるかわからないけど……決して忘れない。」
アレクスが微笑んだ。
「……ありがとう、マイト。
どんな時でも、お前はお前だ。」
その横でレオが拳を握る。
「なあ……正直いまの話、よくわかってねぇ。
けどよ、どこに行くことになろうが、俺たちは仲間だろ?
そういう気がしてならねぇんだ。
だから、大丈夫だ。」
リオンもルナも静かにうなずいた。
その後、俺たちは仲間にも事情を話し、
しばらくギルドに身を寄せることにした。
宿に戻り、荷物をまとめていると――
コン、コン。
部屋のドアをノックする音。
(レオか……?)
そう思ってドアを開けた瞬間。
そこに立っていたのは――
制服姿のキララだった。
一瞬、息が止まった。
「兄さん、迎えに来たよ。」
キララは微笑んでいた。
昔、最後に見たときのままの姿で。
「キララ……どうして、ここに?」
そう言いかけたところまでは――覚えている。




