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SE転職。~妹よ。兄さん、しばらく、出張先(異世界)から帰れそうにない~  作者: しばたろう


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第51章 SE、ドラゴンを狩る。

第48章 SE、ドラゴンを狩る。


 その知らせは、朝一番にギルドへ飛び込んできた。


――近くの街がドラゴンに襲われた。


 受付嬢の声は震え、ギルド内が一気にざわめく。

 モンスターの中でも“別格”とされる存在。

 単独で街をひとつ滅ぼすことさえ可能な災厄。


 すぐに、討伐依頼がギルド長権限で発動された。


 そして、ギルドの中央に立った英雄アレクスが、冒険者全員を見渡す。


「集まってくれて感謝する。だが、ドラゴンは通常の戦い方では倒せん。

 弱点を突き、戦略的に動かなければ、死人が出る。

 今回――俺が指揮を執る。」


 重い緊張が、ギルド中に広がった。


「討伐メンバーは俺が選定する。いいな。」


 そして選ばれたのは三つのパーティ。


・俺たちのパーティ(戦士レオ、魔法戦士リオン、魔法使いルナ、レンジャーの俺)

・ギルド最強と呼ばれる戦士パーティ

・防御を最も得意とする重盾パーティ


 ドラゴン戦に必要な「機動力・火力・防御力」を完備した、最精鋭だ。


 討伐当日。


 俺たちはアレクスを先頭に、ドラゴンの居座る地点へ向かった。


 到着したのは、崖に囲まれた広い窪地だった。

 風が重く、何か焦げた匂いが漂っている。


「作戦を確認するぞ。」


 アレクスの声が静かに響く。


第1作戦 “誘導”


「ドラゴンは人間を餌と認識している。

 だから――俺たちが“近づく”のを待っている。」


 案の定、ドラゴンはゆっくりと首をもたげ、こちらを見据えた。

 巨大な影が揺れ、地面がわずかに震える。


 前衛はアレクスとレオ、そして最強戦士パーティ。

 後衛はレンジャーの俺、魔法使いと僧侶たち。

 

 重盾パーティのメンバーと、魔法戦士となったリオンは、後衛の護衛に徹する。


第2作戦 “魔法は効かない”


「ドラゴンには魔法攻撃は通らん。

 魔法使い、僧侶は支援に徹しろ。」


 直後、後衛から次々に詠唱が響き、

 前衛の体に光のエフェクトが宿る。


「《防御力向上》展開!」

「《速度向上》、前衛三名に!」


 戦士たちの動きが目に見えて鋭くなる。


第3作戦 “一撃離脱”


「ドラゴンの皮膚は鋼鉄以上に硬い。

 剣の連撃は通らん。攻撃してはすぐ離脱――しつこく当てろ。」


 戦士たちはドラゴンの脚へ一撃を叩き込み、

 すぐに後ろへ跳んで距離を取る。


 ドラゴンはそれを嫌がるように咆哮を上げた。

 その一撃一撃が、地面を抉るほどの破壊力。


 「うおおっ!?」「近い近い近い!!」

 戦士たちは、叫びながら、右へ左へ駆け回る。


第4作戦 “後衛防衛”


「ドラゴンは環境を武器にする。

 岩を蹴り飛ばし、木をへし折り――飛ばしてくる。

 後衛も常に警戒しろ。」


 戦場は混沌と化していた。

 飛来する岩が後衛へ降り注ぐ。


「リオン!後ろっ!!」


「任せろ!」


 リオンは防御魔法を展開しつつ、

 飛んできた岩を剣で弾き落とす。


 魔法戦士としての成長が、確かにそこにあった。


第5作戦 “飛翔”


 「ドラゴンは追い詰められると、必ず空へ逃れる。――ここからが本番だ。」


 アレクスの言葉どおり、

 一撃離脱を繰り返す戦士たちに苛立ったのか、

 ドラゴンは大きく翼を広げた。


 次の瞬間、暴風のような突風が戦場を薙ぎ払う。

 巨体が地を蹴り、一直線に天へ――

 ドラゴンは、咆哮とともに空へと舞い上がった。

 

第6作戦 “炎の咆哮“


「ドラゴンは空に舞い上がった直後、全てを焼き払う炎で決着をつけに来る――

 その瞬間こそ、唯一の好機だ。」


「来るぞ……っ!」


 上空で姿勢を止め、こちらを睨みつけるドラゴン。


(炎を、吐く……!)

 俺は、ゆっくりと弓に矢をつがえた。

「《リンク》、オーバードライブ起動。」


第7作戦 “口内射撃クリティカルポイント


「ドラゴンの急所は口腔内だ。

 炎を吐くために大口を開いたその一瞬――

 そこへ致命の一撃をねじ込め。」


 ドラゴンが炎を放たんと、大口を開く――

 ...この時を、待っていた。

 

「《リンク》倍化モード……係数、百倍!」


【戦闘力:×100】

【俊敏性:×100】

【集中力:×100】

【運  :×100】


 刹那、時間が止まった。

 ドラゴンの顎の奥が良く見える。

 まるで、ドラゴンの口の中に顔を突っ込んでのぞき込んでいるみたいだ。

 そこでは、真紅の炎が暴れ狂うように脈動していた。

 

 ――今!。

 弓を放つ。

 

 時間が唸りをあげて動き出す。

 

 矢は白い光の尾を引きながら飛翔し――

 ドラゴンの喉を貫通した。


「バシュッ!」


 爆音とともにドラゴンの炎が霧散し、

 その巨体が重力に引かれるように落下していく。


 地面に激突するまでの間、

 ドラゴンの瞳から光は完全に消えていた。


 即死だった。


 こうして俺たちは、ドラゴン討伐を成し遂げた。


 アレクスは俺の肩を軽く叩き、静かに言った。


「……よくやった、マイト。」


 胸の奥が、熱くなった。


 SEとして、

 冒険者として、

 ようやく一つの大きな壁を越えた気がした。

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