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公爵令嬢様と二人からの迷惑な応援

王子に紹介された公爵令嬢はとても美しい人だった。

実際に仕事もできるようだった。


二人は寄り添いお互いに微笑みを浮かべる。

最初からそうあるべき様な二人だ、と宮中では言われていた。


自分にはよくわからない。

そもそも顔を合わせたことはあるが、視線が合ったことは一度もない。

他の側近とは笑顔で話しをしているので、多分そういう事なのだろう。


傷つかないと言えば嘘になるが、これは彼らの結婚を機に側近をやめやすいという事だろうとポジティブに考える。

王子妃になるであろう人と相性が悪いのは充分やめる理由になる。


父にも相談しようと思っていたところ、王子は言った。


「本当に今人生で一番最高に幸せなんだ。

これも、私の愛を受け止めてくれたジョセフィーヌのおかげだ」


うっとりと王子が言った。

最近はずっとこんな様子で人目を気にせず花を贈ったりしている。


「それはよきことですね」


その返事が悪かったのだろうか。

うらやましいなどと言ってはいないし、別に思ってもいない。


「そうだな。

この幸せをハインリヒにも分けてやりたいが……。

そうだ!!」


王子が何かを思いついたらしい。

成婚記念のメダルと皿はすでに打ち合わせが終わっており、二人が成婚した際メダルは貴族に配られ、皿は市井で販売されるらしい。

おすそ分けはそれを配れば充分だろう。

それ以外は正直何もいらない。


王子は公爵令嬢に耳打ちをした。

公爵令嬢は一瞬驚いた顔をしていたけれど、だんだん王子の言っていることを理解している顔になり頷く。


「そうだよ。

お前も、愛の尊さをしるべきなんだよ。

真に愛するものができるこの喜びを知ればもっと人生がきっとよくなる」


王子が今幸せなのは分かった。

だが幸せというのは人それぞれだ。


愛を知りたいと王子に言ったことは一回もない。


「いや、何を言っているんですか?」

「私が婚約を今まで誰ともしなかった所為で、私の世代はまだ婚約が調ってないものも多い。

是非ハインリヒも素敵な女性に出会うといい」

「は?」


何を言っているのかが全く分からなかった。

素敵な女性は、素敵な男性と出会いたいのだろう。

だから王子の婚約者になれるかもしれない可能性が捨てられず婚約が調ってない人間が多いのだろう。

決して俺の様な者のために今まで婚約をしていない訳じゃない。


「他の側近もな、お見合いを勧めているのだよ。

もうすでに彼女が連れてきた侍女と宰相補佐の婚約が調いそうなんだ」


ニコニコという。

この国の令嬢がまだ婚約をしてない話と何も関係が無かった。

他の側近は公爵令嬢のお気に入りと縁を結ぶというだけの話だった。


「国内で適当な令嬢を候補として選出しよう。

その中で顔合わせをして相性を見ると良い」


王子は言った。

ああ、やっぱり公爵令嬢のお気に入りからではない。

しかもお見合いだ。

公式行事でまるでつまはじきの様になっていることを王子も知っている筈だ。

学園でもそうだった。

それなのに何を言っているのだ。

そう言い返したいのに言い返せない。


なぜなら彼は王子様だからだ。


「持ち帰って父と相談させてください」


貴族の結婚は政略を孕むものだ。

この答えは間違っていない。

けれど王子は「政略も大切だが、愛も大切だぞ」と言った。


無理だろう。と答えることはできず「家から返事をいたします」と答えた。


頭が痛いが、これは見合いを持ち込まれる令嬢も頭が痛いだろうと思った。




主人公の名前がようやく出ました。ハインリヒで。

(後で別キャラにフォンが必要なのでドイツ風に…)

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